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表情変えてリラックス

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第一章

               表情変えてリラックス
 最近何かと忙しくてだった。
 アイドルの桜田香菜は疲れ切っていた、アイドルだけあって可愛らしい外見である。セットした茶色のショートヘアに大きな黒目がちの目にピンクの奇麗な唇に人形の様な顔立ちに小柄ながら均整の取れたスタイルだ。
 歌もダンスも得意で最近は声優業もしている、ステージにドラマに握手会にグラビアの撮影にである。
 声優業もしていてだ、兎角多忙で疲れきっていてだった。
「何か香菜ちゃん暗いね」
「お仕事終わったらいつもそうね」
「忙しいからかな」
「やっぱりね」
「ううん、オーバーワークね」 
 マネージャーの小岩井文も思った。スーツを突き破らんばかりの巨乳が童顔とのギャップになっている。黒髪は長い。
「やっぱり、もっとお仕事減らすわね」
「そうですか」
「幾ら売れっ子でも」
 それでもというのだ。
「やっぱりね」
「働き過ぎはですか」
「よくないからね」
 だからだというのだ。
「減らすわ、ただあと少しね」
「忙しいですか」
「我慢してね、今クールが終わるまでは」
「忙しいですか」
「それが終わったら幾分減らすから」
「そうしてですか」
「身体も癒しながら」
 そのうえでというのだ。
「頑張っていってね」
「わかりました」
 香菜は文の言葉に頷いて仕事を頑張っていった、仕事とレッスンと打ち合わせと食事それにシャワーの間以外はだった。
 もう寝る位だった、兎角多忙でだ。
 表情も暗くなっていた、だがその彼女に。
 ある日仕事で一緒だったお笑い芸人の並川やすおベテラン芸人でありひょっとこの様な顔をしてセットした髪の毛の彼が言ってきた。
「香菜ちゃん顔動かしてみ」
「お顔をですか」
「まずは笑って」
 そうしてというのだ。
「にこにことな」
「こうですか?」
 香菜は言われるままそうした。
「こんな感じで」
「そうそう、後はにやりってな」
「笑うんですか」
「やってみ」
「はい」 
 今度はそうして笑った、それから。
 やすおは香菜にウィンクさせたり口を尖らせたり怒らせたり惚けさせたり困らせたりと色々とだった。
 表情を変えさせた、それを暫くさせてから言うのだった。
「そや、ええ感じになってきたで」
「いい感じっていいますと」
「暗い雰囲気がかなりなくなったわ」
「そうですか」
「人間あれや、沈んだ顔のままやと」
 そうであればというのだ。
「気分がそのままな」
「沈んでいきますか」
「そうなるさかいな」
 だからだというのだ。
「表情をどんどん変えるとええねん」
「表情の体操ですか」
「そや、それや」
 まさにというのだ。
「それでや」
「今私にですか」
「少しでもリラックスしてもらいたくてな」
 そう思ってというのだ。 
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