人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
89話 Polarisに映る幻影
「うらぁぁぁ!!!」
竜が日月の剣を振るい、半径100メートルの怪人たちを光と闇の相反する力が救済してゆく—————しかし悪意に染まる怪人は一向に数を減らさない。
彼らは……東京に来ていた。それもサウザーに引導を渡すためだ。しかし東京の郊外まで来たところでこの有り様。いくら人口の多い東京とはいえ、この数はおかしかった。
理由はともあれグレートクローズ、クウガ ライジングドラゴンフォーム、仮面ライダーウォズはふとした隙に怪人の群衆に囲まれる。
「くっそ……東京に来た途端にこれか———虎太郎、どうにか出来ねぇのか!?」
「ここは仮にも人口密集地……アルティメットなんか使ったら、それこそ被害が計れん。」
「私のシノビの力でも限度がある……この数は対処しきれない!」
「ごちゃごちゃ考えても仕方ねぇ!」
『終末!』
突如として囲んでいた怪人が、ことごとくドロドロに溶ける————素体の人間に戻る。そんな終末的な現象が起こる。
不可思議な現象にクローズは拍子抜けする。
「んだよこれ………」
「竜介先生、あれ————」
クウガの指差す先。
……………幻影が映る。
「黒いエグゼイド……?才なのか!?」
「いや……違う。」
突如として戦いに乱入した仮面ライダー————突拍子もなく、黒いエグゼイドはクローズに殴りかかる。
油断してしまったクローズはボディーブローを食らってしまう。
【チュ・ドーン!】
「————!」
「「がっ(!)」」
援護に入ろうとしたクウガとウォズもガシャコンバグヴァイザーのビームガンを喰らい、吹き飛ばされてしまう。
「テメェ!」
【ギュ・イーン!】
チェーンソーがクローズの顔に直撃する。
しかし日月の剣を持つクローズ、好きにさせるほど弱くはない。左に持つ闇黒剣月影で脇腹に払い斬りする。
「!———なるほど、これが《《陰陽統合の者しか両方使えない》》日月の剣か。」
「テメェ……誰だ!?」
「今は名乗る必要はない。私はキミたちの敵ではない……」
「!?」
ノイズがかった声。言ったこととは裏腹に、黒いエグゼイドは再度クローズを強襲する。咄嗟に光剛剣日光を振り下ろすが、見透かされてそれを奪われてしまう。剣を1本奪われたクローズは一気に流れを失い、光剛剣に3回ほど斬られる。
「—————」
「ぐっ……!」
「竜介君!」
「邪魔はしないでもらおう。」
再びビームガンがウォズに炸裂する。そして黒いエグゼイドはゲーマドライバーに挿さった黒いマイティアクションXをキメワザスロットホルダーにセット—————必殺待機する。
【ガシャット! キメワザ!】
無言のまま、スイッチを押す。
【MIGHTY CRITICAL STRIKE!】
お手本のようなライダーキックがクローズの胸部にGREAT判定される。変身解除こそしないが、それ寸前の発煙と電流がクローズに流れる。流石にここまでやられてクウガとウォズは黙ってもいられない。
「お前……何が目的だ?」
「私は———仮面ライダーゲンム。前にも言ったが、キミたちに敵対するつもりはない———むしろキミたちの味方かもしれん。」
「何だって!?」
「すまないが浦江竜介、キミにはデータ回収に協力してもらったまで。」
「データ回収……?」
先程の戦闘はかなり激しいと実感した竜介にとっては拍子抜けした答えだった。ゲンムは話を続ける。
「ただ強くなる……それが私の使命だ。」
「!?———消えた……」
ピクセル状となってゲンムと名乗るライダーは姿を消した。
——————天の極……星に隠れる影が、今姿を現した。
——————※——————
俺はAqoursの9人から引き離され、秋葉原の路地までやってくる。魁に引っ張られた腕をここでようやく振り払うことができた。
「おい、急に何だよ!?」
「—————これから大事な事を話す。よく聞いておいてくれ。」
「………?」
厳粛な雰囲気がピリピリとした肌に触れる。魁はいつもとは似つかない、静かな声で話し始める。
「俺は覗に聞いた。稜の父親———深天大地は、古代神代文字の解読に尽力した人物だってな。」
「それで……?」
「そして………稜の使っていたゴーストドライバーのシステム設計者であるという事だ。」
「!?!?!?」
魁の話した2つのこと………これはとんでもない事を指し示していた。
「そんな……じゃああの2人は———!?」
「あぁ—————鹿角聖良・理亞の2人は、深天大地の実娘。そして………稜の義兄妹ってことになる。」
世間は狭い、腐れ縁とはこの事か……よりにもよって幼馴染の義兄妹とライバルだったとは————だが、ここで膠着していたことの突破口が見えてくる。
「じゃあ鹿角姉妹の母に会えれば……!」
「ああ……稜の復活も見えてくる。」
「しかしあの姉妹が住んでいるのは函館……かなり遠い。流石にまとまった時間は取れそうにはないが———」
「居るじゃないか適任者が。俺たち以外のライダーが。」
「まさか……覗に?」
「そういうこと!」
なるほど、人使いの荒い2人だとこんな結論になるのか。しかしヤツしか今すぐ対応できるのは…特に、隠密行動ができるのは。
早速魁が電話をかける。俺は路地から離れ、再び大通りに出る。
すると、聞き慣れた声が響く。
「才くん!!」
「千歌、それにみんな…随分早かったな。」
「何か……行った時に《《わかった》》感じがしたんだよね。」
「……?」
いまいち分からないでいると、善子がズバッと答えてくれる。
「つまり……共鳴!!」
「えぇ……てか、誰もツッコまないし。」
「今回ばかりは善子ちゃんのいう通りね。」
「ふっ、堕天使長ヨハネって呼んでくれてもいいのですよ…?」
「わーかったずら、《《善子》》ちゃん。」
梨子の肯定意見に図に乗った善子だが、やっぱり花丸に煽られる始末。
しかし共鳴か……心を同じくできたってことか——?
考え込んでいると、電話を終えた魁が戻ってくる。
「才、OKだと。」
「そうか……さて、任務も完了したことだし帰るか。」
『うん♪』
—————何かおかしい………
〜〜〜〜〜〜〜
電車の窓から赤い太陽を眺める。
徐々に日が沈んでゆく………しかしその帰り際に彩雲を見せてくれる。
「才、これ東京に行く意味あったのか?」
「さぁな。でも————」
俺は千歌たちを指差す。
眠っている者が多い————しかし俺には満足感に溢れているように見えた。まるで全て見通したような……俺の先見でも彼女らが見るものは見えないかも知れない。その点ではAqoursは俺に追いつき、さらに追い越したのかも知れない。
「あいつらを見てると、行く意味はあったんじゃねぇか?」
「……そうなのか?」
『次は〜赤蛇岬〜赤蛇岬〜』
すると今まですやすやと可愛く眠っていた千歌………いやAqours全員が起きる。そして突拍子もなく俺に話しかける千歌。
「ねぇ、ここで降りよ!」
「は、えぇ!?」
俺の手を引っ張る千歌に続いて、同期したAqours全員が停まった電車から降りる。
状況をいまいち飲み込めなかった魁はみんなから出遅れてしまう————彼が電車を降りた時には……俺とAqoursは夕陽輝く海岸まで来ていた。
くたびれた俺は海岸沿いの段差に座る。すると、千歌の後を追って他の8人が俺を追い越す。
水の音が響く。
「才くん。」
「?」
「私……ううん、私たち————ようやくわかった。才くんの考え。Aqoursが進む道。私たちが一緒に見る景色。」
「—————」
千歌の言葉を、梨子が続ける。
「真似する必要なんてない———不恰好でもいい。」
「自分たちだけの……全速全身のわがままな道!」
「それでいて———そんな姿はみんなが感動できる。勇気をくれる。」
梨子の言葉。それを曜、さらに果南が紡ぐ。そしてそれを鞠莉が受け取る。
「自由気ままに……自由に走る!」
「自分の気持ちに従って……!」
「手段はバラバラでも、団結しない!」
「まさに調和……!」
「それが———才くんとAqours!!!」
ダイヤと花丸、善子、最後にルビィが締めくくる。
———————なるほど……だがこれはメンバー個人に言った言葉の数々のはず。彼女らが情報共有したとも思えないが………そんな考えはすぐ吹き飛ばされる。
Aqours全員が海に入って手を繋ぎ、そして俺の方を向く。
そして再び言葉が千歌に戻ってくる。
「そして……未来へのレールを、次の世代に用意する。私たちが—————《《喜びを分かち合う自由な未来》》を創るんだ!!!」
「!!!!!!」
太陽に照らされた9人の影…………それは見間違いなどではない。
1人の女神の影を作り出した。
そうか………これが、Aqoursの意思なんだな。
俺はニヤリと笑った。
「想定………いや、想定以上だ。よくここまで辿り着いた!!!」
『才くん……』
「お前らのそれを全力で支えるのが俺の使命………!」
『違うよ?』
「え?」
突如の否定に戸惑う俺。Aqoursは続けて言う。
『未来を創るのは……才くんと私たちだよ!!』
俺は———————
『わかった。俺とお前たちなら————最高の未来を創れる!!』
!?!?!?!?————————意図しない言葉。
俺はそんな言葉を発するつもりはなかった………だが体がそう発していた。まるで自我をも超える存在——————自分の中に宿る超越意思のような何か。
俺は———————
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
赤蛇棚から彼ら10人を見下ろす………そんな存在が3人。9色で構成された勾玉を首にかけ、沙羅双樹の衣装を身につけた女性が9つの音色をエコーをかけて問う。相手は夫であろう白い布でできたまさしく神様の衣装を身につけた男。
『あなた、これでいいの?』
『まぁ、俺たちが力添えする運命にあるのはここまでだ。』
『お母様声きれいだった〜』
父の足に乗る男幼児が自分の母親を褒める。彼もまた父と同じような神らしい白い布でできた服を羽織っている。
『ありがとう♪』
『お前もよくやるよ。仮にも身重なのにさ。」
『ふーん。孕ませたあなたがそんな他人事みたいに言うなんてね……』シュン
しゅんとした女神は、その盛り上がった下腹部をさする。男神は妊娠を振りかざす彼女を見て、面倒だと言わんばかりの顔をする。
『これだから嫌だったんだ……』
『次は女の子かな〜♡』
『はぁ……さて————ん?』
男神が人の気配を察知する。彼は…………
「才〜?千歌〜?曜〜?梨子〜?どこだー?」
魁はちょうど上にある赤蛇棚を見上げる………しかし、そこには誰もいない。
「あれ……この辺りでみんなの声が聞こえた気がしたんだが———こりゃ疲れてるな。」
そして………その頃。
駅でみんなと列車を待つ千歌—————そこに羽が。
「?………これは————///」
ふと笑顔になる千歌………伝説は受け継がれる。1つは実力……声を上げた名もない少女たち。
彼女らの意思を継ぎ、生まれた—————母なる海……Aqours。
その母なる天使の羽が……Aqoursに宿る。
『運命の神話は動き出した。おそらく人である限りは想像つかぬ世界へ誘われることだろう………さぁ、覚悟はいいか?』
————————※————————
〜富士樹海遺跡〜
「ナムロド様。」
「なんですか?」
滅亡迅雷の1人 亡が玉座に座るナムロドに謁見する。
「敵対する仮面ライダー3人が東京に現れたそうです。」
「ほう…アークの予測では現地に赴く予想でしたが……まぁ、いいでしょう。」
「我々が向かいましょうか……?」
「今あなた達に死なれては困ります————では、こうしましょう。このバグヴァイザーΧは仮面ライダーたちを葬ってきた怪人や悪のライダーの収納場所………そう、ただのデータではない。」
ナムロドはバグヴァイザーΧからピクセル状のデータを放出する。徐々にその禍々しいフォルムがその場に見え隠れる——————そしてその巨人は顕現する。
「紹介しましょう……彼は私の忠実な僕の1人———仮面ライダーアークだ。」
「アーク……?」
「——————」
ナムロドの頭脳 アークと同じ名を持つライダーを呼ばれた亡は疑問を感じる。それを感じ取ったナムロドが話し始める。
「かつて、私たちと共に至高の神に反逆した種族……それがレプティリアン。彼らはその巨体から人間種を喰うトカゲで、自分達を創造した神たちに反旗を翻した。その結果彼以外は神の加護を受けたヴァンパイア一族に全て殺され、彼自身もデータでしか存在できなくなった。しかし今のライダー達なら彼を止めることは難しい————さぁ、人間たちをたらふく食べてきなさい。」
「————————」
仮面ライダーアークは翼を広げ、遺跡から空へと飛び立つ。
「さて……亡、悪意はどれほど集まりましたか?」
「すでにかなり溜めっていると—————」
「流石は私の頭脳が設計した者ども。これからも我が使命を果たすように。」
「はっ、全ては……アークの意思のままに。」
彼は神への反逆者。自分こそ神だと言い張る悪魔…………生贄を欲し、その絶望の心を食う魔王。
彼の名はナムロド—————その名の意味は……『我々は反逆する。』
ページ上へ戻る