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星河の覇皇

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第八十五部第三章 北京星系を見てその六十四

「そのウォッカがある」
「そのことはですね」
「実際にその通りですね」
「まさに」
「あのお酒がありますと」
「やはりいいですね」
「そうだ、だから飲む」
 今夜もというのだ。
「そうしたい、肴は何でもいい」
「左様ですね」
「そこにあるものであれば」
「何でもいいですね」
「肴については」
「ロシア人は無欲だ」
 グリーニスキーはこのことも話した。
「だからな」
「ウォッカの肴もですね」
「これといって求めませんね」
「あるものでいい」
「左様ですね」
「そうだ、肉でも魚でもいい」
 酒のあてはというのだ。
「特にな」
「はい、それはです」
「構いません」
「そのこともまた」
「無欲です」
「だからいい、あるものでな」
 ホテルに注文出来るものでというのだ。
「特にな」
「そうですね」
「ではですね」
「あるものをです」
「それを楽しみましょう」
「そうしよう」
 こう言うのだった。
 そうしたことを話しつつだ、今は。
 グリーニスキーはスタッフと共にサウナを楽しんだ後で酒を飲んだ、そして翌朝電話の音で起こされた。
 電話の向こうの外務省の者が一人で寝ていた彼にこう伝えていた。
「メキシコ政府からです」
「申し出か」
「はい、若し朝食の時にです」
「相手がいないとか」
「お二人でとです」
「わかった、ではだ」
 それならとだ、グリーニスキーは電話の向こうの外務省の者に笑って返した、今はまだパジャマ姿だ。木綿のいい仕立ての青いパジャマだ。
「この度はな」
「朝食の時にですね」
「メキシコ側とな」
「共にテーブルに着かれますか」
「そうしよう、そしてあちらからか」
「来られるとのことです」
 宿泊先のホテルからというのだ。
「どうやら」
「わざわざ来てくれるとはな」
「有り難いですね」
「今日の午前も予定があるが」
「それでもですね」
「誰かと会見する余裕はあった」
 それだけの時間はというのだ。
「それでだ」
「こちらからですね」
「朝食の後でも連絡をしてな」
「急遽でもですね」
「会談したいと思っていた」
 メキシコ側と、というのだ。
「いい時だった、それでだが」
「来られるのはどなたか」
「大統領か外相か」
「いえ、首相がです」
「来られるか」
「何でも大統領がとのことですが」
「何か事情があるな」
「朝食の時は」
 メキシコ大統領はというのだ。
「カナダそしてチリの首脳とです」
「三者でだな」
「お話をされるとのことなので」
「だからか」
「申し訳ないですが」
 メキシコ側からそう言ってきたというのだ。
「その様に」
「それで首相が駄な」
「そうだとのです」
「事情はわかった、ではな」
「それで、ですね」
「会談を受けよう」
 グリーニスキーは答えた。
「喜んでな」
「では」
「朝食はな」
 この時はというのだ。
「二人だ、そしてメニューもな」
「そちらもですね」
「ビュッフェだが」
 ホテルの朝食では多いこの形式だがというのだ。
「二人でな」
「召し上がられますね」
「そうしてな」
「政治のお話を」
「進めていこう」
 こう言ってだった、グリーニスキーは朝目覚めたばかりだたすぐにメキシコ首相との会談の場をむけさせた。そうしてその話の後でまずはシャワーを浴びてから身支度をはじめた。 
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