神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十八話 仙人達その四
「大好きでな」
「結構食べてるな」
「しかも仕事さぼってな」
「そうしてるな」
「あたればええってな」
「ほんま思うな」
「あの娘達はそうよね、この前なんてね」
アレンカールも言ってきた。
「長嶋さんみたいになるとか言うて」
「ってあいつ等阪神ファンやろ」
「四人全員そうやろ」
「何が長嶋さんや」
「長嶋さんいうたら巨人やろ」
トウェインもメルヴィルも羅も施も一斉に言った、長嶋といえば長嶋茂雄でありミスタージャイアンツである。
「今や二十年連続最下位の」
「過去の栄光にばかりすがってる」
「あのカスチームの巨人やろ」
「人気ダントツで星のモンにファン一人もおらん」
「学園でも数える位しかファンの人いないわね」
アレンカールは自分達が起きた世界で通っている八条学園の話もした、この学園があるのは関西である。
「いや、ほんまに不人気ね」
「その巨人やろ」
「長嶋さんっていうたらな」
「何でそこで長嶋さんや」
「理解不能やが」
「何でも長嶋さん河豚がお好きらしいのよ」
他には甘いものも好きだというの。
「もうお皿のてっさ自分だけでごっそり取って一気に食べる位にね」
「それあかんやろ」
「他の人も食べてたら」
「長嶋さんらしいけどな」
「それはかなりな」
「あたいもそう思うわ、そやけどほんまに河豚がお好きらしくて」
それでというのだ、
「長嶋さんみたいにね」
「河豚たらふく食べたいか」
「そういうことやな」
「普段から何かと食うてるが」
「河豚もか」
「そうみたいね、そして綾乃ちゃんもなのね」
その彼女を見て話した。
「河豚好きなのね」
「そやねん」
綾乃もその通りだと答える。
「めっちゃ好きやねん」
「めっちゃね」
「そう、めっちゃやねん」
笑顔で言うのだった。
「ほんまに」
「そやからなのね」
「この塔でも機会があったら」
「河豚食べたいのね」
「是非共」
こう答えるのだった。
「思ってるで」
「食べられたらいいわね」
「ほんまね」
こう言うのだった。
「そうなったら嬉しいわ」
「今度の宿屋で食べられたらいいわね」
「そやね、それが出来たら嬉しいわ」
綾乃はアレンカールに笑顔で答えた、そして神霊達が待っている階に向かう階段の傍に他の階の様にある宿屋に入るとだ。
蛙人の若い女の店員、青い割烹着を着た彼女が綾乃に河豚はあるかと聞かれると明るい笑顔で答えた。
「この宿屋は歌舞伎の神霊の方々にお仕えしている者達が奉職していますので」
「それやと」
「日本ですから」
それ故にというのだ。
ページ上へ戻る