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新オズの臆病ライオン

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第五幕その九

「そうだね」
「ええ、あるわよ」
 ドロシーはトトに明るく笑って答えました。
「王宮の美術館から持って来たわ」
「そうだね」
「それでね」
「この神殿を飾るね」
「そうするわ」
「この神殿ってね」
 トトはこちらのお話もしました。
「壮麗で神聖でね」
「それで、でしょ」
「うん、重厚な感じがあるね」
「この神殿は何でもね」
 臆病ライオンもトトにお話しました。
「メソポタミアの神様のね」
「確かギルガメスさんの神殿だね」
「それで神塔もあって」 
 そうした建物もというのです。
「その頂上に庭園もあるよ」
「屋上にだね」
「空中庭園っていうんだ」
 神塔の頂上の提案はです。
「そこがまた奇麗らしいよ」
「そうなんだね」
「緑豊かでね」
「へえ、それはよさそうだね」 
 腹ペコタイガーはそのお話を聞いて言いました。
「それじゃあ僕達もね」
「空中庭園に行きたいね」
「とてもね」 
 トトは尻尾を振って答えました。
「今思ったよ」
「バビロンの空中庭園ともいうらしいよ」
 こうもでした、臆病ライオンは言いました。
「何でもね」
「へえ、バビロンなんだ」
「空中庭園なんだ」
「この神殿の庭園はね」
 神塔の屋上にあるそちらはというのです。
「そう言うらしいよ」
「何でもね」
 魔法使いがお話しました。
「ギルガメスさんはメソポタミアの神様だけれど」
「外の世界で言う中近東だね」
 臆病ライオンが応えました。
「確か」
「そう、シュメールとかアッシリアとかバビロニアとかね」
「そんな国があった場所だね」
「フェニキアやヒッタイトという国もあってね」
「ペルシアやマケドニアもだね」
「そうした国もあって」
「アラビアンナイトの舞台でもあったね」
 臆病ライオンは魔法使いに応えました。
「あちらは」
「そう、チグリス=ユーフラテスという川の流域でね」
 それでというのです。
「砂漠が多い場所なんだ」
「そこにだね」
「ギルガメスさんがおられてね」
 そうしてというのです。
「砂漠が多いから」
「川の周りでも」
「周りに緑が乏してくね」
「庭園がだね」
「尊ばれてね」
「それで空中庭園なんだ」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「ギルガメスさんもね」
「この神殿になんだ」
「庭園を築いたんだ」
「そういうことだね」
「だからね」
 魔法使いは笑顔でお話しました。 
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