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星河の覇皇

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第八十五部第三章 北京星系を見てその五十一

「その飴の量と質にもよるだろうが」
「それでよし」
「満足してですね」
「そうしてですね」
「完全にだ」
 腰を据えてというのだ。
「各国政府につくだろう」
「馬鹿でないなら」
「そうしますね」
「左様ですね」
「そして今のフィジー政府は愚かではない」
 今の彼等もというのだ。
「だからな」
「ここはですね」
「貰うものを貰う」
「そうしてですね」
「中央政府に対してくれますね」
「我々と」
「そうする筈だ、まあそれ位は本当に連合の常だからな」
 連合の政治のそれだというのだ。
「まずはオーストラリア政府の動きを見よう」
「どうフィジーに応えるか」
「そのことをですね」
「見ますね」
「そうする、だが飴も出すとは」
 グリーニスキーは自分の言葉を思い出してそのうえで笑った、そうしてスタッフ達にこうも言ったのだった。
「ロシアも変わったな」
「左様ですね」
「実際昔は鞭だけでした」
「飴なぞ出しもしませんでした」
「考えもしませんでした」
「それも全くでした」
「相手は奪うかだ」
 それかというのだ。
「差し出させる」
「それがロシアでしたね」
「飴なぞ与えず」
「ただひたすらそうする」
「反抗するならその鞭を使いましたね」
「それがイワン雷帝でありだ」
 ロシア最初の名君にして暴君である彼のやり方でありというのだ。
「スターリンだった」
「そうでしたね」
「仮に援助をしてもです」
「遥かに大きい奉仕を要求しました」
「ソ連時代もそうでした」
「ワルシャワ条約機構を力で支配してきました」
「それがだ」
 今のロシアはというのだ。
「それがな」
「今は飴も出しますね」
「飴と鞭両方出します」
「そして飴で済めばよし」
「そうした国になりましたね」
「連合では随分非道だと言われるが」
 それでもというのだ。
「ロシアの過去を考えるとな」
「随分変わりました」
「事実として」
「丸くなりましたね」
「左様ですね」
「わざと見返りを求めてくる相手にもだ」
 今のフィジーが仮にそうだとしてもというのだ。
「それでもだ」
「しっかりと飴を与える」
「それで済めば」
「それでよしとするからですね」
「丸くなった、しかしな」
 グリーニスキーはこうも言った。
「国民性は変わらないな」
「ロシアのそれは」
「どうしてもですね」
「変わらないですね」
「今も尚」
「素朴で無欲で親切だ」
 ロシアの国民性はというのだ。 
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