新オズの臆病ライオン
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第五幕その一
第五幕 必要なものを受け取りに
ドロシー達は動物園に行った次の日は会議の場所となるオズの神々の神殿で会議の準備をしていました。
そこにはオズの国のお役人の人達も働いていましたが。
役人さんのお一人、エメラルドの都の人である証の緑のスーツとネクタイと靴、ライトグリーンのブラウスを着た若い身だしなみを整えた男の人がドロシーに言ってきました。
「実は飾りたい絵がです」
「ないのね」
「そうです、その絵はオズマ姫とです」
オズの国家元首である彼女がというのです。
「今回列席される方々と共にいるところを描いた」
「そうした絵なのね」
「オズマ姫は来られないですが」
「オズマはオズの国の国家元首だからね」
ドロシーは役人さんに答えました。
「だからね」
「はい、絵の中心におられます」
「そうよね」
「ですがその絵がです」
ドロシーに残念そうに言うのでした。
「見付かりません」
「この神殿にあるのよね」
「いえ、それが」
お役人は困ったお顔で答えました。
「どうもない様です」
「あら、そうなの」
「この神殿に持って来たと思ったら」
それがというのです。
「どうもです」
「ないのね」
「そうなのです」
「じゃあ何処にあるのかしら」
ドロシーはそのお話を聞いて考えるお顔になりました。
「一体」
「それはあれじゃないかな」
ここでかかしが言ってきました。
「実は忘れてきたんじゃないかな」
「忘れてきたといいますと」
「うん、今回この神殿に色々なものを持って来ているね」
かかしは自分達の周り神殿の中の一室を見回して言いました。見れば紫色でかつてのメソポタミアのそれを思わせる石造りの神殿の中に緑のエメラルドの都の芸術品や装飾品が神殿の中に入れられて飾られています。
「そうだね」
「はい、そうですが」
「それがあまりにも多くてね」
その為にというのです。
「ついついね」
「忘れてしまいましたか」
「そうじゃないかな」
「ああ、持って行くものがあまりにも多いとね」
樵もかかしのお話を聞いて頷きました。
「どうしてもね」
「忘れものが出るわね」
「だから持ちものはね」
「あまり多過ぎない方がいいわね」
ドロシーは樵の言葉に頷きました。
「そうね」
「うん、かかし君が言う通りにね」
「そうなんだ、僕もそう考えたけれど」
かかしはまた言いました。
「どうかな」
「僕もそうだと思うよ」
樵はまた頷いて応えました。
「かかし君の言葉を聞いて思ったよ」
「私もそうだと思うよ、それならね」
魔法使いも言ってきました。
「ここは都の方に確認しよう」
「あちらにあるかどうかですか」
「そうしたらどうかな」
こうお役人さんに言うのでした。
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