X ーthe another storyー
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第四十六話 結想その八
「名前でね」
「呼んでええんか」
「ええ、私達はもうね」
「そうか、ほなな」
空汰も微笑んで応えた。
「これからは嵐って呼ぶな」
「では私もね」
嵐は空汰のその呼び名に応えて今度はこう言った。
「空汰ってね」
「名前で呼んでくれるか」
「お互いに」
まさにというのだ。
「そうね」
「呼び合ってな」
「生きていきましょう」
「ほなな、そういえばわいこれでな」
空汰は微笑んでこうも言った。
「運命変わったな」
「貴方は死ぬ筈だったわね」
「嬢ちゃんいや嵐を護ってな」
「それがな」
「戦いで傷付いて」
「逆に嵐に助けられてな」
星見の僧正が言った運命が代わってというのだ。
「そうなったな」
「そうね。そうなって」
「それでな」
「変わったわね」
「そうなったらな」
「私達はこのままね」
「戦いが終わったら」
その時はというのだ。
「もうな」
「一緒に生きていけるわね」
「じっちゃんに嵐紹介して」
そしてというのだ。
「行き別れたお父ちゃんとお母ちゃんにもな」
「会うのね」
「折角やしな」
「生きていたら」
「もうわい寺に暮らしてるけど」
「ご家族のことは」
「やっぱり気になるさかいな」
だからだというのだ。
「生き残れたんやったら」
「それなら」
「もうな」
「ご両親にもなのね」
「嵐を紹介するわ」
そうするというのだ。
「勿論じっちゃんにもな」
「そうしてくれるのね」
「その時が来ることをな」
まさにというのだ。
「楽しみにしてな」
「そのうえで」
「今は怪我の治療にな」
「頑張るのね」
「そうするわ、それで戦いは」
「任せて」
これが嵐の返事だった。
「私達に」
「そうしてええか」
「怪我をしているから」
「ほなほんまにな」
空汰も嵐の言葉を受けて答えた。
「休ませてもらうわ」
「ゆっくりとね」
「出来れば終わるまでに戻りたいけどな」
「その前に終わらせるわ」
これが嵐の返事だった。
「だからね」
「ここであんじょうか」
「そうしていてね」
「そうするな、ほなゆっくりするな」
「ええ、私も傍にいるから」
ここでだ、嵐は。
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