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星河の覇皇

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第八十五部第三章 北京星系を見てその四十一

「阿片は置く」
「麻薬ですから」
「それは論外ですね」
「何といっても」
「だから置いておいてだ、紅楼夢はだ」
 この長編恋愛小説はというと。
「実際は読まない者も多い」
「中国では誰もがタイトルは知っています」
「非常に有名な作品です」
「連合全体でも」
「清代を代表する作品です」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「上流階級の恋愛小説というものはな」
「読む人と読まない人がいます」
「どうしても」
「今の時代でもそうですが」
「当時も然りですね」
「むしろ同じ清代なら聊斎志異か」
 この怪奇小説集かというのだ。
「すぐ読めるのはな」
「左様ですね」
「聊斎志異はファンタジーとしても読めます」
「ならですね」
「聊斎志異の方が読みやすいですね」
「むしろな、だから紅楼夢も置いていいだろうが」
 それでもというのだ。
「麻雀はな」
「実際に中国人はよく遊びます」
「今でもそうですし」
「当時は尚更ですね」
「何かあればだ」
 十九世紀後半から二十世紀にかけての中国ではだ。
「よく遊ばれていた」
「左様ですね」
「アメリカでも日本でも遊ばれましたが」
「今もですね」
「遊びますね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「それが中国人の発展を妨げるというのはな」
「それはですね」
「どうしてもですね」
「否定出来ないですね」
「このことは」
「そうだ、兎角我々はな」
 中国人はというのだ。
「麻雀をよく打つ」
「楽しみそこから学ぶ」
「そうしてますね」
「麻雀から」
「だからな」
 そうしたものだからだというのだ。
「やはり礼儀を守り」
「正しく遊ぶ」
「そうしていくものですね」
「麻雀というものは」
「そうだ、ではな」 
 李はさらに言った。
「今日はな」
「お仕事の後はですね」
「麻雀をして」
「そして勘を磨き」
「あらためてですね」
「中央政府への策を考えていこう」
 こうしたことを言いつつ北京ダッグを食べた、高官達も同じだった。中国も中国で動いていたのだった。
 グリーニスキーは今はホテルのサウナ室にいた、自身が泊まっているロイヤルスイートのそこで、である。
 その中で汗をかきつつ共にいる外務省のスタッフ達に言った。
「いいサウナだが」
「ロシアのものではないですね」
「言うならフィンランドのものですね」
「そちらのサウナですね」
「そうだ、サウナといってもな」
 一口にこう言ってもというのだ。 
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