星河の覇皇
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第八十五部第三章 北京星系を見てその三十四
「流石に趙普の様な人物ならな」
「あの宋の宰相ですね」
「太宗の時に」
「かなり有能でしたが」
「そうした一面もありましたね」
非常に厳粛でかつ退くべきでない時は何があっても退かない人物ではあった。その為人選で太祖と衝突したこともある。
「くれるものは貰う」
「家にそれなりの財もあったそうですね」
「その付け届けで」
「そうだったと聞いています」
「こうした人物にも先程言った通りだ」
「その好むものを贈る」
「そうしますね」
「そうしてこちらに組み込みますね」
「そうしていきますね」
「そうする、とにかくだ」
まさにというのだ。
「賄賂は汚いと言われているが」
「工作としては有効ですね」
「かえって安くつきしかも効果があります」
「だからですね」
「これからも使っていきますね」
「中央政府相手にもな、連合のこうした体質はよく批判されるが」
特にエウロパからであることは言うまでもない。
「暗殺などとは違う」
「殺して終わりではない」
「だからですね」
「よいですね」
「これもまた」
「いいのだ、政治には工作が必要だが」130
このことは古来からだ、やはり政治には何かとやり取りがありそこには工作も存在するものだからである。
「暗殺に比べるとな」
「まさにですね」
「遥かにましですね」
「そうしたものと比べると」
「賄賂なぞは」
「平和だ、ボルジア家の様にだ」
それこそというのだ。
「暗殺を得手とするよりはな」
「遥かにましです」
「現実として」
「それは事実です」
「賄賂の方がどれだけましか」
「命を奪うことに比べれば」
「政治に良心やモラルは不要か」
李は周りの者達に問うた。
「果たして」
「よく言われますね」
「その言葉は」
「確かにある程度はそうですが」
「完全にではないですね」
「良心やモラルが完全にないとだ」
それこそというのだ。
「最早サイコパスだ」
「そちらですね」
「人格障害と言っていいです」
「そして人格障碍者が政治を行うと」
「恐ろしいことになります」
「張献忠や魏忠賢なぞだ」
その彼等はというと、どちらも明代末期の人物だ。
「それこそだ」
「政治の世界に出たからこそ」
「ああなりましたね」
「一方は稀代の殺人狂でした」
張献忠のことである、四川省において遅るべき殺戮を行ったと言われているが実はその逸話はかなり作り話が入っているらしい。
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