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星河の覇皇

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第八十五部第三章 北京星系を見てその三十三

「まことにだ」
「食事も使えますね」
「情報収集や工作に」
「左様ですね」
「これは酒も同じだ」
 これもというのだ。
「例えばトカイを使ってだ」
「ハンガリーがやっていましたね」
「今も行っているそうですが」
「最高の貴腐ワインを飲ませ」
 それこそルイ十四世やマリア=テレジアの様な王侯が愛した様な酒であった、この時代でもハンガリーの名産である。
「そうしてでしたね」
「飲みたいならどうかと情報を聞き出す材料にしたり」
「輸入の切り札にしていましたね」
「あのワインを」
「大使館の中で飲んでいてだ」 
 その中でというのだ。
「やはりな」
「軽くですね」
「口が滑りますね」
「そうなりますね」
「そこで情報を仕入れることもな」
 このやり方もというのだ。
「出来る」
「左様ですね」
「それで、ですね」
「我々もですね」
「情報を収集しますね」
「酒を使っても」
「そうすればいい、外のバーのカウンターでは迂闊に喋らないが」
 職場を出ればプライベートだ、連合では公私の区別に五月蠅いのでそれでプライベートではそうそう仕事の話も出ないのだ。
「しかしだ」
「大使館ではですね」
「領事館もですし」
「そして外務省の中では」
「一体どうなのか」
「そうだ、中ではな」
 まさにというのだ。
「食事をしつつ打ち合わせやな」
「酒の場で、ですね」
「話が洩れますね」
「そうなりますね」
「工作員を送り込んでもいいしだ」
 それにというのだ。
「盗聴器もだ」
「仕込んでもいいですね」
「そちらも」
「そうしてですね」
「情報も収集しますか」
「そのやり方もあるしだ」
 それにというのだ。
「食事や酒の賄賂もな」
「やっていきますね」
「賄賂の中に入れていきますね」
「とかく賄賂の種類は色々で」
「何かと使っていきますね」
「贈りものとしてな、付け届けはな」
 これはというのだ。
「連合ではある程度は許される」
「そのある程度の度合いによりますが」
「許されていることは事実ですね」
「そのことは」
「そのある程度以上のものを渡すものが賄賂だが」
 付け届けという名目であるがそうではない、この曖昧さも連合にはあり線引きが難しいのは兎角言われている。
「しかしな」
「使っていきますね」
「連合はくれるならもらっておくです」
「そうした国ですね」
「もらってもなびかない者がいても」
 それはというと。 
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