英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第164話
ステルスシステムで今まで姿を消し続けたレボリューションはステルスシステムを切ってその姿を現すとその存在はクロスベル解放勢力を驚かせた。
~エルム湖~
「な、なんだ、あの灰色の飛行船は……!?」
「バカな……”灰色のアルセイユ”だと!?」
「ったく、まさかとは思うが敵の魔煌機兵のような存在か?」
突如姿を現したレボリューションに警備隊や警官たちが困惑している中ダドリーは信じられない表情で声を上げ、セルゲイは溜息を吐いた後目を細めてレヴォリューションを見つめた。
~アルセイユⅡ・ブリッジ~
「ええっ!?は、”灰色のアルセイユ”……!?」
「まさか魔煌機兵のように、アルセイユまで複製したの……!?」
「……………………いや、もしかしたらあの灰色のアルセイユは”敵ではないかもしれません。”」
レボリューションの登場を目にした”クローディア王太女”は驚きの表情で声を上げ、”ルーシー”は厳しい表情で推測し、”カシウス中将”は真剣な表情で黙ってレボリューションを見つめてレボリューションの機体に刻まれている紋章――――――メンフィル帝国の紋章に気づくと推測を口にし
「ッ!?……………………」
「エリゼ、どうしたの!?」
突如胸の高鳴りを感じた”エリゼ”は胸を抑えながらもレボリューションを見つめ、”エリゼ”の様子に気づいたアルフィン皇太女は血相を変えて声をかけ
「わかりません………あの灰色のアルセイユを目にした途端、突然胸が高鳴ってきたのです……」
アルフィン皇太女に声をかけられた”エリゼ”は戸惑いの表情で答えた。するとその時アルセイユⅡに備え付けられている古代遺物――――――”響きの貝殻”が反応し始め
「!?これは……!まさか………あの灰色のアルセイユにリィンくん達がいるのか……!?」
「……ぇ………」
「!?お兄様、それはどういう事ですか!?」
”響きの貝殻”の反応に逸早く気づいた”オリヴァルト皇子”は驚いた後信じられない表情でレボリューションを見つめて呟き、”オリヴァルト皇子”の発言にその場にいる全員が血相を変えている中”エリゼ”は呆けた声を出し、アルフィン皇太女はオリヴァルト皇子に問いかけたその時レボリューションからレンの声が聞こえて来た。
~レボリューション・ブリッジ~
「え~、こちらメンフィル帝国所属、アルセイユ三番艦――――――”灰色の翼”レボリューションよ。無駄とは思うけど”エリュシオン”に最終勧告するわ。この艦は現時点では中立なのでレボリューションへの敵対行動を直ちに止めなさい。もしさっきみたいに明確にこちらを攻撃したなら、その時点で直ちに殲滅対象に認定して、メンフィル帝国に喧嘩を売った事を心の奥底まで後悔する程徹底的に叩き潰してあげるわ♪だから、この艦にこれ以上喧嘩を売らない方が貴方の身の為にもなるわよ♪」
「レン、貴女ね……」
「全然勧告になっていない所か、むしろ相手を煽っているじゃないですか。」
レンの敵勢力へ向けた最終勧告にその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中プリネは呆れた表情で頭を抱え、ティオはジト目で呟いた。
「!敵の機甲兵の一部がこちらに向かってきました!」
「直ちに距離を取って下さい!」
するとその時敵の一部がレボリューションを攻撃しようとしている事に気づいたメンフィル帝国の軍人が報告するとプリネが指示を出し
「あ~あ、せっかく忠告してあげたのに、やっぱり無駄だったようね。そっちがそのつもりならこっちも”自重”や”遠慮”は一切なしで、殲滅してあげるわ。――――――メンフィルを敵に回した事、今から後悔しなさい♪」
レンは不敵な笑みを浮かべて敵勢力への対しての宣戦布告をした。
~アルセイユⅡ・ブリッジ~
「い、一体どういう事……!?”アルセイユ三番艦はカレイジャスⅡ”でしょう……!?」
「え、ええ……それに”メンフィル帝国”という今まで聞いた事がない国を名乗った事もそうですが、さっきの声にも聞き覚えが……」
「しかも先程の発言からして、どうやら”灰色の翼”とやらはこちらの敵ではなく、むしろ味方になり得る存在のようですな。――――――直ちに”灰色の翼”への通信を。」
「は、はいっ!――――――え。」
レボリューションによる勧告を聞いた”ルーシー”は困惑の表情で”クローディア王太女”に確認し、”ルーシー”の確認に対して”クローディア王太女”は戸惑いの表情で答え、レボリューションが敵でないと判断した”カシウス中将”はレボリューションへの通信の指示を出し、”カシウス中将”の指示に頷いたアルフィン皇太女が通信をしようとしたその時レボリューションの格納庫が開いて、そこから次々と飛び立った存在の中にヴァリマールがいる事を目にすると呆けた声を出した。
~レボリューション・格納庫~
「騎神部隊、これより、魔煌機兵の掃討を開始する!相手からこちらに敵対行動をしてきた以上、並行世界の俺達が気を付けるべきだった自重や遠慮は無用だ。行くぞ、みんなっ!!」
「おおっ!!」
リィンの号令にそれぞれの起動者達は力強い答えを返した後騎神達は次々と戦場となっているエルム湖の空へと飛び立ち
「白翼隊、出陣!敵を迅速かつ確実に討ち取りますわよ!」
「はいっ、ルシエル様!!」
「黒翼隊、出陣!リィン様の片翼たる我らの力、敵に存分におもいしらせるぞ!!」
「ハッ!!」
ルシエルとベアトリースはそれぞれ部下達に号令をかけた後ヴァリマール達の後を追うように次々と飛び立ち
「能天使ユリーシャ、我が主の為、正義を執行します!!」
「ふふっ、二つの”奇蹟”で霊脈が活性化された事によって誕生した機械知性の複製によるものとは興味深い。早速調べさせてもらおうじゃないか。」
「くふっ♪いっぱい遊んで、並行世界のみんなを驚かせてやるよ♪」
「さあさあさあ!楽しい楽しい”戦争”の始まりだよっ!!」
「うふふ、それじゃあいきましょうか♪」
更にルシエル達に続くようにユリーシャ、レジーニア、エヴリーヌ、エルンスト、ベルフェゴールもそれぞれ飛び立った。
~クロスベル領空~
ヴァリマール達が戦場に姿を現すと敵勢力――――――”エリュシオン”の未来演算を越えた事で魔煌機兵達の動きは止まり、それを逃さないかのようにヴァリマール達やレボリューションは次々と魔煌機兵達に攻撃を叩き込んで魔煌機兵達を撃破し続けた。
「灰の騎神――――――リィン教官!?」
「生きていらしたのですね……!」
「し、しかも他の騎神達まで……一体どういう事なんですか、教官……!?」
ヴァリマールの登場に機甲兵を操縦しているトールズ第Ⅱ分校の生徒達は驚き
「こ、皇太子殿下……!?」
「シュバルツァー教官達といい、灰色のアルセイユや翼を生やした人らしき存在といい、一体何が起こっているんですの……!?」
テスタ=ロッサの登場にはトールズ本校の生徒達も驚いたり混乱していた。
「リアンヌ!?それにリィン達もそうじゃが、”あの者”は今バベルの中のはずなのに何故”金の騎神”が………それに白き翼に頭上に光の輪のあの者達はまさか……”本物の天使”!?」
「一体何が起こっているというの……!?」
一方アルセイユⅡの甲板からクロスベル解放勢力の援護をしていた”ローゼリア”はアルグレオンの登場に信じられない表情で声を上げた後困惑の表情でヴァリマール達やルシエル達を見つめ、”クロチルダ”は困惑の表情でレボリューションやヴァリマール達を見つめ
「だ、団長!?」
「いや――――――得物もそうだが、あの動きは団長ではない。あの得物や動きから考えられる人物は――――――」
同じように結社の飛行艇からクロスベル解放勢力の援護をしていた”ゼノ”はゼクトールを見つけると信じられない表情で声を上げたが、ゼクトールの武装や動きを見てすぐにゼクトールの起動者がルトガーではない事に気づいた”レオニダス”は真剣な表情で自身が推測した今のゼクトールの起動者の名前を口にしようとした。
「あ、ありえん!?シュバルツァー達どころか、我らの目の前で消滅したはずのマスターまでこの場に現れるなんて……!」
「………フフ、シュバルツァー達といい、リアンヌ様といい、どうやら私達と敵、双方にとってとんでもない想定外が起こったようね。」
”ゼノ”達のように結社の飛行艇から援護をしていた”アイネス”はアルグレオンを目にすると信じられない表情で声を上げ、”エンネア”は一瞬呆けた後苦笑を浮かべて呟いた。
~メルカバ弐号機・ブリッジ~
「ラ、ライサンダー卿…………あの灰色のアルセイユから灰の騎神達――――――リィンさん達が現れた事もそうですが、あの翼を生やした人らしき人達は一体………」
「さて……本当に何が起こったのか私にも全くわかりませんが、どうやら女神は”私達にとって最高の奇蹟”を起こして下さったようですね。」
ヴァリマール達の登場に信じられない表情を浮かべた”ロジーヌ”の疑問に”トマス”は苦笑を浮かべて答えた。
~アルセイユⅡ・ブリッジ~
「に……い……さ……ま………ううっ……あぁ………あああぁぁぁぁぁぁ……ッ!」
「生きて……帰って下さったのですね、リィンさん……!グスッ……よかった……本当によかったわね、エリゼ……!」
「フフ、今回の件が終わったら”色々な意味での覚悟”をしておいた方がいいよ、リィン君。それと――――――お帰り、リィン君、クロウ。」
「ハハ……まさに狙っていたかのような最高のタイミングじゃないか、リィン君、クロウ君。」
「あんたじゃないんだから、本人達はそんなつもりは一切ないでしょうけど………それはともかく、彼らが生還してきてくれてよかったわね。」
「皇太子殿下といい、死亡したはずの”槍の聖女”や”猟兵王”、それに金の騎神や白い”神機”もそうだが、あの翼を生やして飛行する”人”らしき存在といい、あの”灰色のアルセイユ”は一体何なんだ……?」
同じ頃ヴァリマールの登場を目にした”エリゼ”は呆けた後嬉しさのあまりその場で両手で顔を覆って声を上げて泣き始め、アルフィン皇太女は涙を流しながら嬉しそうな表情でヴァリマールを見つめ、二人の様子を見て苦笑を浮かべた”アンゼリカ”は静かな笑みを浮かべて呟き、苦笑しながら呟いた”オリヴァルト皇子”に指摘した”シェラザード皇子妃”は口元に笑みを浮かべ、”ミュラー”は困惑の表情でレボリューションやヴァリマール達を見つめ
「い、一体何が起こっているのでしょう、カシウスさん………」
「正直私もお手上げですな。ただ一つ確実に答えられるとすれば………”灰色の翼”は明確にこちらの味方である事が判明している事くらいですな。」
戸惑いの表情で訊ねられた”クローディア王太女”の疑問に疲れた表情で答えた”カシウス中将”は静かな笑みを浮かべてレボリューションやヴァリマール達を見つめた。
「!灰色の翼の甲板にも人が出てきまし――――――なあっ!?」
するとその時レボリューションの甲板に人物達が出てくる事に気づいた”ナイトハルト中佐”だったが、すぐに出て来た人物達を目にすると信じられない表情で声を上げた。
~レボリューション・甲板~
「それじゃあそろそろわたし達も行くよ、みんなっ!!」
「特務支援課、これよりレボリューションに加勢する!!」
「灰獅子隊並びにその協力者一同、出陣!レボリューションの周囲の魔煌機兵の掃討並びにレボリューションに近づいてきた魔煌機兵の殲滅を開始します!!」
「行くわよ、みんなっ!!」
「おおっ!!」
一方その頃空中戦やブリッジでの戦闘指揮やハッキングの担当では無かった残りの面々や戦闘開始前にリィンとプリネが予め召喚した使い魔達、更にエステルやロイド達の使い魔達、そしてメンフィル帝国の軍人達がトワ、ロイド、ツーヤ、エステルの号令に力強く答えた後次々に甲板に現れて戦闘を開始した。”逆しまのバベル”に突入したはずの顔触れも現れた事で再びエリュシオンの未来演算を狂わせた事で、魔煌機兵達の動きは止まり、その隙を逃さないかのようにヴァリマール達や甲板の面々、そしてレボリューションは凄まじい勢いで魔煌機兵達を次々と撃破し続けた。
~メルカバ伍号機・ブリッジ~
「ケ、ケビン。まさかとは思うけど彼らは………」
「十中八九”並行世界”のエステルちゃん達なんやろうな…………って、オイオイ、よく見たら俺やリースどころか、”リベールの異変”で亡くなった”剣帝”までいるや――――――ぇ………」
映像端末に映るレボリューションの甲板で戦っている面々を見て何かに気づいて信じられない表情で呟いた”リース”の推測の続きを口にした”ケビン”は目を丸くして甲板で戦っている自分自身やリース、レーヴェを見つけた後ある人物を見つけると呆然とした様子で呆けた声を出し
「?どうしたの、ケビ――――――ぇ………そ、そんな……………………――――――ルフィナ姉様……!?」
”ケビン”の様子に首を傾げた”リース”は”ケビン”同様レボリューションの甲板で戦っているある人物――――――ルフィナを見つけると呆けた声を出した後、信じられない表情で声を上げた。
~アルセイユⅡ・甲板~
「あ、ありえん………!何故、お前が今の時代で生きて並行世界のロイド達と共にいるのだ――――――空の女神よ!」
「ハアッ!?」
「空の女神じゃと!?」
同じ頃、レボリューションの甲板で戦っている面々の中にいるエイドスを見つけた”ツァイト”は信じられない表情で声を上げ、それを聞いた”クロチルダ”と”ローゼリア”は驚きの表情で声を上げた。
~アルセイユⅡ・ブリッジ~
「に、”兄様が二人”……!?」
「リィンさん達もそうですが、”わたくし”もいますわ……!?」
「しかもよく見たらリィン君達やバベルに突入したトワ達どころか、”私”自身までいますね………状況はさっぱりわかりませんが、ミリアム君も二人いる事から察するに恐らく幽体の方のミリアム君は私達の知るミリアム君でしょうから、ミリアム君も生きて帰ってきてくれたようですね。」
レボリューションの甲板に現れて戦闘を開始した面々を目にした”エリゼ”は困惑の表情でヴァリマールと甲板に現れた”リィン”を見比べて混乱し、アルフィン皇太女は甲板で戦っているアルフィンを見つけると困惑の表情で声を上げ、甲板で戦うアンゼリカにも気づいた”アンゼリカ”は目を丸くして呟いた後、幽体のミリアムを見つめながら安堵の表情で呟いた。
「!?ちょ、ちょっと!あの銀髪の剣士って……!」
「結社の執行者No,Ⅱ――――――”剣帝”レオンハルト……!」
「ど、どうして”リベールの異変”で亡くなったレーヴェさんまで………」
「ハハ……まさかリィン君達どころか彼までいるなんて、まるで”影の国”の時のような状況じゃないか。」
レボリューションの甲板で戦っている面々の中にいるレーヴェを見つけて血相を変えた”シェラザード皇子妃”と”ミュラー”は信じられない表情で声を上げ、”クローディア王太女”は困惑の表情で呟き、”オリヴァルト皇子”は苦笑していた。
「”カレイジャスⅡではないアルセイユ三番艦”…………”呪い”から解放された様子の灰の騎神に、”相克”によって”灰の騎神”に吸収されたはずの他の騎神達………”巨イナル黄昏”の件以前に亡くなったはずの人物達の生存………二人の同じ存在………なるほど。一体何があったのかはわかりませんが、恐らく”灰色の翼”の彼らの大半は”並行世界の彼ら”なのでしょう。」
「ええっ!?へ、”並行世界”!?」
「あらゆる異なる選択肢の”もしも”によって無数に枝分かれしている世界――――――いわゆる”パラレルワールド”ね。科学者としてはそんな非現実的な事は否定したい所だけど……その非現実的な事が今目の前で起こっているのだから認めざるをえないわね……」
ヴァリマール達やレボリューションの正体に気づいた”カシウス中将”の推測を聞いた”ルーシー”は驚きの表情で声を上げ、ティータの母――――――”エリカ・ラッセル”は真剣な表情で呟いてレボリューションやヴァリマール達を見つめた。
「うふふ、”理に至った”貴方なら真っ先に気づくとは思っていたけど、さすがにヒントをあげすぎちゃったかしら?」
するとその時映像端末の画像にレンが映った。
「あ、貴女はまさか………――――――レンちゃん……!?」
映像端末に映るレンを目にした”クローディア王太女”は信じられない表情で声を上げ
「ふふっ、”そちらのレン”を知っているのだから自己紹介なんて必要はないと思うけど、”レンとそちらのレンは色々と異なる部分がある”から、一応自己紹介はしておくわ。――――――メンフィル帝国の皇女の一人、レン・H・マーシルンよ。初めまして、並行世界の皆さん♪」
「ハアッ!?あ、あんたが”皇女”!?」
「……なるほど、どうやら”そちらのレン”にどんな経緯があったのかは知らないが、そちらの世界に存在しているメンフィル帝国とやらの皇女になったようだな。それにしてもハッキングでこちらの通信に干渉しての自己紹介とは、世界は違ってもレンらしいやり方だな。」
レンの自己紹介を聞いてその場にいる全員が驚いている中”シェラザード皇子妃”は困惑の表情で声を上げ、”カシウス中将”は静かな表情で呟いた後苦笑しながらレンを見つめた。
「クスクス、褒め言葉として受け取っておくわ。見ての通りお互いにとって忙しい状況だから、並行世界の存在であるレン達がどうやってここに来たとかの経緯等は省いて”本題”に入らせてもらうわ。現在レン達が戦闘をしている理由はレン達に明確な敵対意思を示した敵勢力に対しての”正当防衛”をしているのであって、そちらの味方になって連携とかするつもりはないから、レン達の行動に干渉せず、そちらはそちらで当初から考えていたそちらの作戦を続けてちょうだいという要請よ。」
「要するに”相互不干渉”の要請か…………というか、お前さん達の登場によってお前さんが言う当初に考えていたこちらの作戦に思いっきり影響が出てしまっているんだが?」
レンの要請に対して真剣な表情でレンの考えを悟った”カシウス中将”は真剣な表情で呟いた後疲れた表情でレンに指摘し
「その点については不可抗力だと割り切ってちょうだい。そもそもレン達は双方にレン達の存在が悟られないようにこちらの世界のリィンお兄さん達の望む場所に送り届けた後静かに元の世界に帰るつもりだったのに、向こうの方がレン達の存在に気づいた上レン達に対して明確な攻撃までしてきた挙句最終勧告までしたのに敵対意思を示したのだから、レン達は”正当防衛”の為に反撃せざるを得なかったのよ。」
「せ、”正当防衛”ってあんたね………どう見ても”過剰防衛”も真っ青になるような猛反撃をしているじゃない!?」
レンの話を聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中”シェラザード皇子妃”は呆れた表情で呟いた後疲れた表情で指摘し
「あ、あの……ッ!先程レンさんは『私達の世界の兄様達の望む場所に送り届けた後去るつもり』と仰ったという事は、私達の世界の兄様達は無事にこの世界に帰ってこられたのですよね………!?」
レンの話からある事実が判明している事に気づいていた”エリゼ”は真剣な表情でレンに確認した。
「ええ。”今も甲板でレン達の世界の人達と一緒に戦っているリィンお兄さんがこの世界のリィン・シュバルツァーよ。”ちなみに、ヴァリマール達と共に戦っている白い”神機”の起動者はレン達の世界のエリゼお姉さんで、”金の騎神”の起動者はエリゼお姉さんの双子の妹よ♪」
「……………………え。」
「エ、エリゼが白い”神機”の起動者……!?」
「しかも”金の騎神”の起動者はルーファス公子ではなく、こちらの世界には存在していないエリゼ君の双子の妹とはな………」
「白い神機や金の騎神もそうだけど、私達の世界では実現しようと思ってもできなかった”黒を除いた全ての騎神を共闘関係にする”なんて、少しだけそちらの世界の私達が羨ましくなってきたよ。」
レンの口から語られた驚愕の事実を知った”エリゼ”は石化したかのように固まった後呆けた声を出し、アルフィン皇太女は信じられない表情で声を上げ、”ミュラー”は真剣な表情で呟き、”アンゼリカ”は苦笑しながら呟いた。
「クスクス、そういえばリィンお兄さんの件で思い出したけど、レン達の世界のリィンお兄さんはこの世界のリィンお兄さんとは比べ物にならないくらい出世した上十数人もの女性を侍らせるハーレムを築いていてね♪そのハーレムの中にはエリゼお姉さんもそうだけど、ミルディーヌ公女や”アルフィン元王女”もいるわよ♪」
「え。」
「ええっ!?リ、リィンさんが………!?し、しかもその侍らせている女性の中にエリゼどころか、ミルディーヌや”わたくし”までいるなんて、”そちらのわたくし達”には一体何があってそのような事に……」
「それに皇太女殿下の事を”元”と言った事から察するに、そちらの世界の皇太女殿下は恐らく何らかの事情によってアルノール皇家の一員でなくなったか、リィン君に降嫁されたようですね。」
レンの口から出た更なる驚愕の事実にその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中”エリゼ”は再び呆けた声を出し、アルフィン皇太女は驚きの表情で声を上げた後信じられない表情で呟き、”アンゼリカ”は興味ありげな表情で推測した。
「いい加減にしなさい、レン!今は雑談をしている場合ではない事くらいはわかるでしょう!?」
「は~い、ごめんなさい、プリネお姉さ……いえ――――――カリン・アストレイお姉様♪」
「え………その名前は確かヨシュアさんの………」
「ちょ、ちょっと!?まさかとは思うけどそちらの世界では”剣帝”どころか、”ハーメル”の件で亡くなったヨシュアのお姉さんまで生きているの……!?」
するとその時レンに注意するプリネの声が映像端末から聞こえ、プリネの注意に対して謝罪してプリネの名前を言いかけた後ある事を思いつくと意味ありげな表情を浮かべてプリネにある名前で返事をし、レンが口にしたある名前を耳にした”クローディア王太女”は目を丸くした後戸惑いの表情で呟き、”シェラザード皇子妃”は信じられない表情でレンに訊ね
「ハハ、今回の件が終わったらリィン君達の件も含めて”そちらの世界”についても色々と聞かせてもらいたいが………先程君達は現在戦っているのはあくまで”正当防衛”であって、私達と連携するつもりはないとの事だが、それならば今そちらで戦っている私達の世界のリィン君達をそちらで戦わさせずにこの船か、デアフリンガー号に送り届けるべきだと思うのだが、その点についてはどう考えているのだい?」
「勿論、当初は”転位”でそっちの甲板に送る事を考えたわよ。だけど現在起こっているクロスベルの事情を知ったこの世界のリィンお兄さん達から転位で送るなら、現在新旧Ⅶ組が戦っている場所――――――”逆しまのバベル”に送ってくれって頼まれたのよ。で、レン達としても”正当防衛”を終わらせる為には現在起こっているクロスベルの戦いの”元凶”を叩く必要があると判断したから、この艦ごと”元凶”がいる”逆しまのバベル”に突入する為にハッキングで”元凶”や”逆しまのバベル”に突入したクロスベル解放勢力の位置を調べている間に、この世界のリィンお兄さん達にもこの艦を守る為に戦ってもらっているのよ。」
「帰還して早々Ⅶ組が戦っている事を知れば、Ⅶ組の元へ行く事を望む………リィン君達らしい選択だね。」
「そ、それよりも”この艦ごと逆しまのバベルに突入する”って言ったけど、どうやって飛行船ごと突入するつもりなの……!?」
苦笑した”オリヴァルト皇子”はすぐに表情を引き締めてレンにある指摘をし、その指摘に対して答えたレンの答えを聞いた”アンゼリカ”は苦笑し、レンの話を聞いてある事が気になった”ルーシー”は戸惑いの表情で疑問を口にした。
「それに関しては、”この世界にはない力”で突入するとだけ言っておくわ♪――――――という訳で各勢力へのレン達に関する説明や連絡は任せたわよ♪」
「やれやれ……どうやらクロスベルで戦っている各勢力にも”相互不干渉”である事を伝えさせる為に我々を連絡係として選んでコンタクトをしてきたようですな、並行世界のレン達は。」
そして”オリヴァルト皇子”達に自分達の要求を伝えたレンは通信を切り、通信が切られると”カシウス中将”は疲れた表情で溜息を吐き
「……何はともあれリィン君達が生還してきてくれたのはとてつもない朗報だ。――――――アルフィン、エリゼ君、直ちに各勢力に”灰色の翼”についての説明や連絡の手配を。」
「「はい……ッ!」」
静かな笑みを浮かべて呟い”たオリヴァルト皇子”は表情を引き締めて”エリゼ”とアルフィン皇太女に指示をし、”オリヴァルト皇子”の指示に二人は力強く答えた。
1時間後――――――
~レボリューション・ブリッジ~
「解析完了……!”元凶”と”逆しまのバベル”に突入したクロスベル解放勢力の位置はほぼ同じです……!」
「位置がほぼ同じという事は、どうやらこちらの世界のロイドさん達は既に”元凶”の元に辿り着いて戦闘を始めているようね。中の様子はわかるかしら?」
「可能です……!今、映像に出します……!」
1時間後”逆しまのバベル”へのハッキングをして”逆しまのバベル”内の状況を確認したティオは報告し、ティオの報告を聞いて真剣な表情で推測したプリネはある事を訊ね、プリネの質問に対して答えたジョルジュが端末を操作すると映像端末に並行世界のロイド達が見守っている中金色の魔煌機兵と見た事もない騎神らしき機体と戦っている様子が映った。
「やはり、既に戦闘が始まっていたようですね……!」
「ああ…………どうやら金色の魔煌機兵がこの世界の俺達側で、その相手が”元凶”のようだが……一体何なんだ、あの”騎神”らしき機体は。」
「……恐らくではありますが、あの機体は”全ての騎神の力が集まった機体――――――巨イナル一そのもの”ではないかと。」
「うん、ミュゼの推測通りだよ。――――――”零の騎神”ゾア・ギルスティン。『七の騎神の力全てが集まった事で巨イナル一そのもの』と言っても過言ではない騎神だよ。」
映像端末に映る状況を確認したクレアとレクターは厳しい表情で呟き、レクターの疑問にミュゼが自身の推測を答えると”零の至宝”キーアが頷いて説明をし、その説明を聞いたその場にいる全員は血相を変えた。
「まさかこんな形で『巨イナル一そのもの』を目にする日が来るなんてね………」
「どうやら他の機体は既に戦闘不能まで追いやられてしまったようね。」
「黄金の魔煌機兵の操縦者はルーファスだよ!まだ、粘っているようだけどこのままだと……!」
ジョルジュは複雑そうな表情で映像端末に映る”零の騎神”ゾア=ギルスティンを見つめて呟き、レンは金色の魔煌機兵の背後にそれぞれ煙を上げて待機状態になっている機甲兵達に気づくと厳しい表情で戦況を分析し、金色の魔煌機兵の操縦者を分析したキーアは真剣な表情で忠告した。
「レン、主砲でバベルを覆う障壁ごと破壊して更に中にいる”零の騎神”まで貫通させる事は可能かしら!?」
「ちょっと待ってて……!――――――可能よ!どうやら中での戦いとレン達とクロスベル解放勢力による反撃に向こうにとっても予想以上のエネルギーを消費された事で、バベルを守る障壁のエネルギーも一時的に減少しているから、このレボリューションの主砲なら貫けるわ!」
プリネに訊ねられたレンは凄まじい指の速さで端末を操作して分析結果を報告した。
「わかったわ!総員、直ちにレボリューションの中に一時撤収しなさい!これよりレボリューションは”逆しまのバベル”への突入を開始します!繰り返す!これよりレボリューションは”逆しまのバベル”への突入を開始するので総員、レボリューションの中に一時撤収しなさい!――――――主砲の発射準備を!」
「イエス・マイロード!!」
分析結果を聞いたプリネはリィン達には通信で、甲板で戦っている面々には艦内の放送で同時に撤収指示を出した後ブリッジの面々に指示を出した。
~クロスベル領空~
撤収指示を聞いた甲板の面々は戦闘を中断してレボリューション内へと撤収し、空で戦っていた面々もレボリューションの格納庫内へと戻って行った。そしてレボリューションは旋回して”逆しまのバベル”を正面にする位置まで移動した後、機体の正面にある砲口を起動させて砲口に凄まじいエネルギーを溜め込み始めた。
~レボリューション・ブリッジ~
「主砲、エネルギー充電完了しました!」
「目標、”逆しまのバベル”中枢区画内の”零の騎神”ゾア=ギルスティン、ロックオン完了!」
「撃てっ!!」
軍人とレンの報告を聞いたプリネは指示を出した。
~クロスベル領空~
エネルギーを溜め終えたレボリューションの主砲はプリネの指示によってエネルギーを放つと、エネルギーは極太の凝縮したエネルギーとなり、”逆しまのバベル”の障壁を易々と貫き、更に”逆しまのバベル”自身を貫いた!
少し前―――――
~逆しまのバベル・中枢区画~
レボリューションが主砲を放つ少し前、”零の騎神”ゾア=ギルスティンと戦闘を繰り広げていた機甲兵は全て戦闘不能状態に陥り、ルーファスが操縦する魔煌機兵も満身創痍の状態であった。
「……ぅ……あ………」
「………くそ……ッ!」
「二つの至宝を合わせた力……ここまでとはな………」
戦闘不能になった機甲兵の操縦席で”ミュゼ”は敵の凄まじい強さに思わず恐怖の声を出し、”クルト”は無念そうな様子で声を上げた。ルーファスは敵の強さに重々しい様子を纏って呟いた。
「ユウナッ……!」
「機甲兵でも敵わないなんて……!」
「こ、このままじゃ……!」
味方の危機に”ロイド”は心配そうな表情で声を上げ、”ノエル”と”マキアス”は不安そうな表情で声を上げた。
「これでわかっただろう。エリュシオンの予言は絶対だと。貴様たちに希望などない。――――――いい加減諦める事だ。リィン・シュバルツァー…………かつて奴があの幻想機動要塞で全てを捨てた時のように。」
「……ッ!貴方なんかがリィンの事をわかった風に語らないで!」
「リィン教官はいつか必ず戻ってきます……!そう約束して、飛び立ったのですから……!」
「……………ッ!」
”零の騎神”の起動者――――――イシュメルガ=リィンの宣言に対してアリサとアルティナは怒りの表情で声を上げて反論し、アルティナの反論を聞き、バベルの”外”の状況――――――『”リィン”が帰還していること』を知っているイシュメルガ=リィンは思わず唇を噛み締めた。
~レボリューション内~
「”諦める?”…………あの時の俺は……全てを”諦めて”それを選んだわけじゃない。いつか絶対に皆の所に戻る――――――その覚悟をもって腹を括っただけだ。結果的にそれが叶わなかったとしても……自分自身を失うことになったとしても……最後のその瞬間まで、大切な人達を思って戦った……!」
「リィン……」
同じ頃、アリサ達と共にレボリューション内へと一時撤収した”リィン”はレン達のバベルへのハッキングによって艦内に備え付けられている映像端末でバベル内の状況を見ると静かな怒りを纏って呟き、”リィン”の様子を”ミリアム”は心配そうな表情で見つめた。
「諦めろ……諦めろだって?――――ふざけるな。俺を大切に想ってくれる多くの人達を……俺を”誇り”だと言ってくれた”アイツ”を!ガッカリさせるような真似、できるわけがないだろう!?」
そしてリィンが怒りの表情で映像端末に映るゾア=ギルスティンを睨みながら叫んだその時
よくぞ言った、リィン。
突如その場に”リィン”やその場にいる多くの者達にとって聞き覚えのある声が聞こえた後、”リィン”と”クロウ”は光に包まれ始めた。
「これ、は………それに今の声は……」
「おいおい、一体どうなっていやがるんだ……!?」
「リ、リィンとクロウが包まれている光って……!」
「起動者が騎神に乗降する時の光です……!」
「こっちの世界の騎神達は消えたのに、一体何が起こっているのよ……!?」
光に包まれた”リィン”は呆け、”クロウ”は困惑し、二人の自分達にとっても見覚えのある状況にエリオットとエマは驚きの表情で声を上げ、セリーヌが困惑の表情で疑問を口にしたその時”リィン”と”クロウ”をそれぞれ包んだ光は格納庫へと凄まじいスピードに向かった。
~格納庫~
「なっ!?ヴァリマール、一体何が起きたんだ!?」
「!おい、リィン、あれを見ろ!」
一方その頃それぞれ光に包まれたヴァリマールとオルディーネからリィンとクロウがそれぞれの機体から光に包まれて核内から降ろされ、その事に驚いたリィンがヴァリマールに状況を訊ねると天井から現れた二つの光の球体に気づいたクロウが声を上げた。そして二つの光の球体はそれぞれヴァリマールとオルディーネの核の中へと入った。
「ま、まさか今の二つの光の球体は……!」
「並行世界の兄様とクロウさん……!?」
その状況を見ていたセドリックとエリスは信じられない表情で呟いた。
「――――ヴァリマール!あの時、並行世界の幻想機動要塞で消えて行った俺達の世界のヴァリマールなんだな!?」
一方その頃、核の中にある操縦席に乗った”リィン”は信じられない表情でヴァリマールに訊ねた。
「ああ――――――並行世界の幻想機動要塞以来だな、相棒。エリュシオンなるものが生み出した”零の騎神”という因果……それは消え去った”七の騎神”の存在を一時的に再定義したようだ。そして並行世界の騎神を”特異点”として、理の外から何とか”繋がる”ことができた。」
”リィン”の確認に対して並行世界のヴァリマール――――――”ヴァリマール”は頷いて自分達の状況について説明した。
~逆しまのバベル・中枢区画~
「馬鹿な……そのようなことが……!」
同じ頃ルーファスの機体もヴァリマール達のように光に包まれて、更に機体のダメージを完全に回復させ、”ヴァリマール”とほぼ同じ内容を説明したルーファスの機体に宿る騎神――――――”エル=プラド―”の説明を聞いたイシュメルガ=リィンは信じられない様子で声を上げた。
~レボリューション・格納庫~
「―――――行くぞ、クロウ。今こそそなたらと共に征こう。」
「オルディーネ………ハハ、まさかまた会えるなんてな。――――――つー訳で少しの間だけ、オルディーネ達を借りさせてもらうぜ!」
”オルディーネ”の言葉を聞いた”クロウ”は苦笑した後リィンとクロウにヴァリマールとオルディーネを一時的に借りる事を宣言し
「ったく、こうなっちまった以上仕方ねぇな。」
「”そちらの皆と共に必ず勝て”――――――それが俺達の”相棒”を貸す”対価”だ!」
「ああ――――――言われるまでもない!」
”クロウ”の宣言に対して溜息を吐いたクロウは苦笑しながら”オルディーネ”を見つめ、リィンは真剣な表情で”ヴァリマール”を見つめながら要求し、リィンの要求に”リィン”は力強く頷いて答えた。
~逆しまのバベル・中枢区画~
「………フフ、またこの私と戦ってくれるというのか。」
一方その頃ルーファスは”エル=プラドー”の加勢に苦笑しながら呟いた。
「あくまで仮初の力ではあるがな。――――――行くぞ、ルーファス。そなたが”変わった”ということを示すときであろう――――――!」
「…………!」
そして”エル=プラドー”の言葉を聞くと表情を引き締めた。
「まさかこのようなイレギュラーがあるとはな。だが――――――それがどうしたというのだ?吾は”零”。七の騎神の全てを内包するもの。死にぞこないの――――――」
対するイシュメルガ=リィンは若干驚いた様子で呟いたがすぐに気を取り直して余裕を持った様子で答えかけた。するとのその時レボリューションの主砲から放たれた極太のエネルギーがバベルの壁を易々と破壊してゾア=ギルスティンを襲った!
「な―――――ぐがあああああああ…………ッ!?」
予想外の攻撃に驚いたイシュメルガ=リィンはダメージを受けた事で思わず声を上げた。
「へ。」
「今の攻撃は一体………」
「!?皆さん、あそこを見て下さい……!」
突然の出来事に”エステル”は呆けた声を出し、”ヨシュア”は戸惑いの表情で呟き、レボリューションの主砲によって開けられた巨大な穴と突撃してくるレボリューションに気づいた”リーシャ”は視線をレボリューションに向けて声を上げ
「は、”灰色のアルセイユ”………!?」
レボリューションを目にした”ティータ”が困惑の表情で声を上げたその時、バベル内に突入したレボリューションが”ロイド達”の頭上で滞空を始めた――――――
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