| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハッピークローバー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百五話 秋のイベントその六

「色々ね」
「努力しないとな」
「他にも国立大学出ても」
「東大でなくてもか」
「全く何も出来なくて」
 それこそというのだ。
「就職も何もまともにはね」
「出来てないんだな」
「何でもその人お食事の時にね」
 かな恵は実に嫌そうな顔になって弟に話した。
「お味噌汁飲んで」
「それは普通だろ」
「そのお茶碗に痰吐くらしいのよ」
「うわっ・・・・・・」
 その話を聞いた瞬間にだった、明男はこれ以上はないまでに顔を顰めさせた。そのうえで姉に言った。
「俺そんな人に会ったことないよ」
「私もよ」
 かな恵は嫌そうに答えた。
「もうね」
「姉ちゃんもか」
「八条学園って世界中から人集まってるけれど」
「それこそ北朝鮮以外からな」
「けれどね」
「そんなことする人いないよな」
「そんな人はじめて聞いたわ」 
 かな恵もというのだ。
「それで見た人も見た瞬間にお顔顰めさせたらしいわ」
「そりゃそうなるよな」
 明男もそれはと同意した。
「絶対に」
「それでその人まだあって」
「味噌汁茶碗に痰吐いただけじゃないか」
「食器親切で片付けたら」
「その人のか」
「次一緒に食べたら無言ですっと差し出す」
「今回も持って行けってか」
「そういう人で皆が作業していても」
 その時もというのだ。
「ぼーーーっとして動かないで」
「何か酷い話ばかりだな」
「やっと動いたら他の人がやってる一番簡単なお仕事で」
「それでか」
「出て来るのはダントツ最後で鈍重で」
「いや、それってな」
 明男はここまで聞いて呆れて姉に言葉を返した。
「駄目人間だろ」
「そう言っていいわね」
「それじゃあ国立大学出てもな」
「まともに就職出来てないの」
「それでどうして暮らしてるんだよ」
「お寺に拾われて」
 それでというのだ。
「そこで働かせてもらってね」
「生きてるんだな」
「幸い文句とか言う人じゃないから」
「お寺に入れてもらってるんだな」
「そうなの」
 これがというのだ。
「もうね」
「そうなんだな」
「まあお寺でもそんな風で」
「役に立っていないか」
「誰のね、けれど」
 それでもというのだ。
「文句や不平言わないで大人しいから」
「やっていけてるんだな」
「そうよ、けれどこんな人もいるのよ」
「学歴はあってもか」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「これがね」
「本当に学歴だけじゃ駄目なんだな」
「そう思うわ、まあ学歴もなくて」
 かな恵はさらに話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧