新オズの臆病ライオン
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第二幕その九
「全部白黒だよ」
「見えるものはね」
「そうだよ、けれどね」
それがというのです。
「オズの国に来たら」
「色がわかる様になるんだね」
「喋られる様になってね」
そうしてというのです。
「そうなるよ」
「そうだね」
「僕はオズの国に生まれたからね」
腹ペコタイガーはこう言いました、兵隊さんに案内されて街の大通りを歩いている皆はドロシーを先頭にして皆その後を歩いています。
「最初からだよ」
「君は色がわかるね」
「そうなんだ」
こう神宝に答えます。
「僕はね」
「哺乳類は人と猿以外は色がわからないのだよ」
魔法使いが言ってきました。
「外の世界ではね」
「それでトトもですね」
「そうだよ、オズの国に入ってね」
「はじめて色がわかったんですね」
「そうなんだ」
「いや。色がわからないってね」
腹ペコタイガーはまた言いました。
「ちょっとね」
「君には実感がないね」
「うん、僕は最初から色がわかっているから」
こう魔法使いに答えました。
「実感がないよ、僕の身体だってね」
「ちゃんと黒と黄色に見えるね」
「縦縞のね」
まさにそれにというのです。
「見えるよ」
「そうだね」
「そして今もね」
「紫の街だとだね」
「ギリキンのね、わかるよ」
「そうだね」
「オズの国で色がわからない生きものはいないよ」
かかしは笑顔で言いました。
「それこそね」
「そうだね、これもオズの国だね」
樵はかかしの言葉に頷きました。
「まさに」
「その通りだね」
「白黒テレビはあったけれど」
「写真も最初はそうだったし」
「そうしたものはそうだったけれど」
「見えるものはね」
オズの国ではというのです。
「それこそね」
「誰でもだね」
「色がわかるよ」
「はっきりとね」
「色って大事なんだね」
ボタンは皆のお話を聞いて思いました。
「本当に」
「そうだよ」
「かなり大事だよ」
かかしと樵が答えました。
「わかるならね」
「こんな素晴らしいことはないよ」
「奇麗だしね」
「色々識別になるしね」
「そうなんだね、色がわかったら」
それならというのです。
「凄く役に立つんだね」
「その通りだよ」
「最初から白黒ならそれはそれでいいけれど」
「折角色がわかるならね」
「こんな有り難いことはないよ」
二人でボタンにお話します、そうしてです。
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