決め付けが生むもの
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第二章
「そのうえでね」
「調べますか」
「そうしよう、公平な立場の人に来てもらって」
「調べてもらいますか」
「ここはね」
「わかりました」
成田も頷いた、そうしてだった。
実査に誰が盗んだのか、あるサークル仲間の財布をそうしたのか。奥平の言う通りに前科や評判を取っ払ってだ。
奥平の知り合いに調べてもらうとだった、その財布は。
「盗まれたんじゃなくて」
「部室の端っこにあったね」
「そこの割れ目に」
「そうだったね、よく調べたら」
部室の中をというのだ。
「あったね」
「そうでしたね」
「盗難じゃなかったね」
奥平は成田にキャンバスの中で話した。
「そうだったね」
「はい、確かに」
「若し彼だって決め付けて」
そうしてというのだ。
「彼を徹底的に調べてもね」
「今回はあいつがやったんじゃなかったんで」
「お財布は出なかったよ」
「そうでしたね」
「それよりもね」
「部室の中を徹底的に探して」
「見付かったね、幾ら前科があってね」
そうしてというのだ。
「評判が悪くてもね」
「やったって決め付けて調べるとね」
「その人が冤罪で捕まって」
「真犯人はそのままで」
「また悪事を犯しかねないし今回みたいにね」
「見付かることもないですね」
「そうだよ、だから決め付けないで」
そうしてというのだ。
「先入観も偏見もなくね」
「調べることですね」
「それが大事だよ」
「そうですね、俺も反省しました」
正田は実際にそうした顔になって奥平に答えた。
「今回は」
「そうだね、それじゃあ」
「気を付けていきます」
「これからはだね」
「そうしていきます」
こう約束してだった。
正田は実際にこの時から決め付けや見込みで何かをすることはなくなった。そして偏見のない人物として評価される様になった。それはこの時からのことだった。
決め付けが生むもの 完
2023・11・21
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