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第百四話 過ごしやすくなってその十四

「それに越したことないわよね」
「そうよね」 
 理虹は味噌汁の中の椎茸大好物のそれを食べる妹に答えた。
「やっぱり」
「それは言えるわね」
「若しね」
 さらに言うのだった。
「昔みたいに安く食べられたら」
「いいわよね」
「そうよね、あんたも好きだしね」
 母は妹にも言った。
「秋刀魚が安かったら」
「いいわよね」
「お母さんもね、ただね」
「ただ?」
「あんた達とお母さんは秋刀魚の骨残すでしょ」
 この魚のこの部分はというのだ。
「それで頭も食べないでしょ」
「お父さん全部食べるわね」
 理虹はこう応えた。栗ご飯をおかわりしながらそうした。
「骨も頭も」
「秋刀魚は全部食べられるから」
「そうよね」
「お父さん鰯も鮎もそうして食べるでしょ」
「いつもね」
「そうして食べてもね」 
 こうした魚達はというのだ。
「いいのよ、むしろ骨はカルシウムが多いから」
「頭も頭蓋骨だから」
「いいのよ」
 そうした部分を食べてもというのだ。
「身体にね」
「そうよね」
「だからお父さんはね」
「間違ってないのね」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「むしろ栄養を考えたらね」
「いいことなのね」
「ええ、お母さん達は無理でもね」
 秋刀魚等を頭から食べたり骨も食べることはというのだ。
「いいことよ」
「そうなのね」
「まあ骨もあったら」 
 そうした魚のというのだ。
「猫や犬の餌になるけれどね」
「そうした生きもの飼ってるお家だと」
「なるけれど」
 それでもというのだ。
「骨や頭もいいのよ」
「身体には」
「そのことも覚えておいてね」
「わかったわ」
 理虹は母のその言葉に頷いた。
「秋刀魚の骨や頭も食べられたら」
「食べるのよ」
「お父さんみたいに」
「そうすればいいわ」
「それじゃあね、それと」
 母はさらに言った。
「松茸は買わないわよ」
「別にね、いいわよ」
「私も」
 理虹も妹も興味ないといった感じで答えた。
「椎茸あるし」
「他の茸だってね」
「松茸高いしね」
「匂いも味もいいと思わないし」
「お母さんもお父さんも興味ないから。ただね」
 母は娘達に言った。
「お祖母ちゃんが好きでしょ」
「ああ、ひいお祖母ちゃんね」
「奈良のね」
 二人も言われて応えた。
「年に一回は食べたい」
「そう言ってるわね」
「それでよかったら送るって言うけれど」
 それでもというのだ。
「今年も断るわね」
「それよりも椎茸よ」 
 妹は言い切った。
「やっぱり」
「あんたはそうね」
「ええ」 
 当然という返事だった。
「松茸よりもね」
「それで満足なら」
「いいでしょ」
「そうね」
 理虹はそれならと頷いた。
「本当に」
「松茸食べなくても幸せでしょ」
「別に松茸に興味ないなら」
「それで他の茸が好きならね」
 それならというのだ。
「もうね」
「それでいいわね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「こうしてね」
「椎茸食べるのね」
「そうするわ、そして」
 そのうえでというのだ。
「楽しむわ」
「じゃあ私もね」
 理虹は妹の話をここまで聞いて述べた。
「最後はデザートにね」
「柿食べるのね」
「それで楽しい思いするのね」
「幸せなね」
 こう言ってだった。
 理虹は栗ご飯を味噌汁とその中にある椎茸をはじめとした茸達を楽しんだ、その後で大好きな柿を食べて最高に幸せだと感じたのだった。


第百四話   完


                    2023・10・1 
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