先生とロバ
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第一章
先生とロバ
学校で教師をしているメルトア=コック髪の毛が薄く彫のある顔立ちの彼はそのロバを見てこれはと言う顔になって言った。
「放ってはおけないよ」
「そう言ってくれますか」
「この子の話は聞いた」
そのロバまだ生まれたばかりと思われる雄の彼を見て言うのだった。
「とてもだよ」
「放ってはおけないですか」
「母親が出産の後だね」
「すぐにです」
「死んで何日も離れなかったんだね」
「路上で」
「つまり身よりもない」
このことを言うのだった。
「そうだね」
「はい、本当に」
「そんな子を助けないで」
そうしてというのだ。
「生きものを保護する活動をしてもね」
「意味がないですか」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「だからね」
「この子をですね」
「助けるよ」
「そうしてくれますか」
「絶対にね」
このことを約束するのだった。
「そうするよ」
「それでは」
「名前を決めよう」
引き取ると言ってだ、コックはすぐにその話をした。
「そうだな、カデイフェにしよう」
「それがこの子の名前ですね」
「そうだよ、そしてうちの施設でね」
「これからはですね」
「暮らすよ」
そうなるというのだ。
「そういうことでね」
「ではお願いします」
カデイフェと名付けられた彼を連れて来たコックの友人である酒場の親父はこう言った、そして今は自分の店に戻った。
そして後日コックが経営している保護施設に行くと。
「ヒヒン」
「ワン」
「ワンワン」
「元気ですね、それに」
今の彼を見てコックに話した。
「ここにいる子達とも」
「犬が多いけれどね、うちは」
「ロバと犬でも」
生きものの種類は違うがというのだ。
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