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新オズの臆病ライオン

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第一幕その十二

「ずっと一緒だったしね」
「あの大平原の中で畑仕事をしてな」
「そうして暮らしていたわね」
「一軒家でな」
「何もないね」
「あの時は何もなかったけれど」
 カンサスにいた時はというのです。
「幸せだったわ」
「大変だったんだよね」
 臆病ライオンはドロシーにカンサスにいた時のことを尋ねました。
「何かと」
「ええ、何もなくて借金ばかりあってね」
 ドロシーは臆病ライオンに答えて言いました。
「そして」
「苦労したね」
「そうだったわ、けれどね」
「そんな中でもだね」
「私はおじさんとおばさん、それにトトと一緒にいて」
 トトも見て言うのでした。
「あの時もね」
「幸せだったんだね」
「そうだったの」
 まさにというのです。
「今もそう思うわ」
「そうなんだね」
「そして今もね」
 臆病ライオンにさらにお話しました。
「幸せでね」
「おじさんおばさんともだね」
「毎月一回でもね」
「ここまで来て」
「会ってね」
 そうしてというのです。
「楽しくね」
「一緒の時間を過ごしているね」
「そうなのよ」
「それで今回も来たから」
「嬉しいわ、それじゃあね」
「おじさんおばさんとも会ったし」
「気分よくね」
 そのうえでというのです。
「ギリキンの国にね」
「行くね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「それとね」
 さらに言うドロシーでした。
「おじさんとおばさんは冒険はね」
「ああ、わし等はここで暮らしているよ」
「ずっとね」
 お二人でドロシーに答えました。
「他の場所にはだ」
「行くつもりはないわ」
「ここで畑仕事をして二人で暮らして」
「ドロシーも来てくれたらね」
「わし等はそれで充分だ」
「何もいらないわ」
「そうなのよね、冒険や旅行は最高に楽しいけれど」
 それでもというのです。
「私がそう思うことで」
「わし等はここにいて畑仕事が出来ればだよ」
「それで最高に幸せなのよ」
「だからな」
「今回もここにいるわね」
「わかったわ、じゃあまた来るわね」
 おじさんとおばさんににこりと笑って告げました。
「そうするわね」
「ああ、それじゃあな」
「またね」
 二人も笑いました、そしてドロシーに暫しの別れを言いました。
 ドロシーは皆を連れて飛行機が垂直に着陸した方に行きました、いよいよギリキンでの楽しい沢山の出来事がはじまるのでした。 
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