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X ーthe another storyー

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第四十三話 弔後その八

「今からお茶を飲まないか」
「封真さん、来ていたの」
「ああ、さっきまで哪吒と話していた」
 颯姫に微笑んで答えた。
「だがな」
「私もなの」
「一緒にと思ってな」 
 茶をというのだ。
「どうだろうか」
「ええ」 
 颯姫はビーストの席から封真に顔を向けて応えた。
「それならね」
「三人で飲もう」
「そうしましょう」
「どのお茶がいい」 
 封真はビーストから降りた彼女にそのことも問うた。
「それで」
「ブランデーね」
 この茶だとだ、颯姫は答えた。
「ブランデーティーをね」
「飲みたいか」
「そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「少し気をよくしたいわ」
「やはり寂しいな」
「こんな気持ちははじめてよ」
 封真のところに来てやや俯いて語った。
「寂しい、悲しいと思うことは」
「そうか」
「お友達も出来たことはなかったし」
 これまでというのだ。
「それにね」
「失うこともだな」
「なかったから。これまで持ちものを失うことはあって」
「その時はか」
「何も思わなかったけれど」
 それでもというのだ。
「今はね」
「違うか」
「寂しいとね」 
 その様にというのだ。
「心からね」
「思っているか」
「そして悲しいわ。だからね」
「今はだな」
「普通のお茶じゃなくて」
 そうでなくというのだ。
「ブランデーを入れて」
「酒でか」
「少しでもね」
「寂しさを紛らわせたいか」
「そうしたいわ」
「ならそうしたらいい」
 封真は颯姫の前に立っている、そうして彼女と正対しつつ言っていた。
「俺も同じだ、今はな」
「星史郎さんがいなくなって」
「寂しくてな」
 そしてというのだった。
「悲しい」
「そうね。大切な人を失うことは」
「こうしたことだ」
「もう誰も失いたくないわ」 
 颯姫は目が熱くなることも感じて述べた。
「二度と」
「俺もだ。どうしても経験することだが」
「生きていると」
「やはり出来るだけな」
「あって欲しくないわね」
「人間なら誰もな」
「そうね。何か」
 颯姫は自分の目がそうなっていることを感じ続けこうも言った。 
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