暗殺教室 in Hero
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緑谷出久の暗殺教室44 死神の時間 終了のチャイム
「頑張れよー!頑張れば大概...どうにかなるさー!!」
出久は返事をしようとしたがやはり口はモヤとなっており、声出せない。
「おぉい!お口がないのか!どんまいさ!」
出久(こんなはっきりと...面影とかそういう類のものじゃない!夢でもない!この人は...継承者達は...!OFAの中で生きているのか!?!?)
OFAの中で生きているのであれば、初代と先代と会えたのにも説明がつく。
どうにか話をしたいが、どうやっても声が出せない。そう思っている間に継承者の男の体が無くなり始める。
「ああ?時間は限られてるみてぇだな。よし坊主よ!お前が今出した力は俺の“個性”さ!触手と一緒にするのはやめてほしいのさ!」
触手とは違うとちょっと強めに言われたので出久はブンブンと頭を縦に振る。
「俺たちの因子は、力の核に混ざってずっとOFAの中にずうっと在った。小さな核さ。揺らめく炎、あるいは波打つ水面の中にある小さな点。培われた力に覆われる力の原始。そいつが今になって大きく...胎動を始めたさ」
何故自分が継承した時にそのようなことが起きているのか疑問に思う出久。
「OFAそのものが成長している」
出久(本当に何が起きているんだ...!?オールマイトからそんな現象なんて聞いたことない)
「お前さ、さっき“捕える”か“掴む”。そう思ったんじゃねぇか?思ったなぁ!」
出久(あの先生達を助けようと化け物を捕まえようとしていた時に...!)
「その思いに適した個性が俺の“黒鞭”。お前最初が俺でよかったさ。これは良いー個性さ」
出久(黒鞭...!)
「だけどな!この個性もまたOFAに蓄積された力が上乗せされ、俺の頃よりも大幅に強化されている!」
出久(確かに...死神と化け物にダメージを与えられていたのは覚えている...もしあれを使いこなせるようになったら...!)
「わっ!!」
男の体の実体が先ほどよりも消え始めている。
もう時間がないのだろう。
「いかん消えるさ...すごく...フワッとしてきたもんよ。俺はよ、心だけの存在だからよ」
すると男は右腕を前に出して出久の胸に突きつける。
「いいか?怒りのままに力を振るえば力は応える。“肝心なのは心を制する事さ”。怒るのは良い、怒りは力の源さ。なればこそ最も慎重にコントロールしてかねばならん。暗殺でも感情的に動くことは良くないはずさ。それは分かっているんだろう?」
出久(暗殺のことを普通に...じゃあ今の僕の現状は把握されているんだ...)
「8人の人間を渡ってOFAはとてつもなく大きな力となった。良いか坊主、お前にはこれから“6つの個性”が発現するさ」
声が遠くなっていく、それでも男の言葉は出久の耳に入ってくる。
「心を制して、俺たちを使いこなせ。頑張れ坊主!俺達がついてる!OFAを完遂させるのはお前だ!」
景色が全てモヤで覆われ意識が飛んでいく。
そして徐々になにかを呼ぶ声が聞こえてくる。
「ーーくーーじょーー」
「ーい、ーをあけたー」
「ーずくー目が覚めた!?」
出久(...この声はみんなの声だ)
中村「起きた!!出久大丈夫!?」
出久「...うん」
神崎「よかった...」
寺坂「お前ら、緑谷が起きたぞ」
出久「......っ!全員無事!?死神は!?あの化け物は!?」
寺坂「うぉぉぉ!?!?!?」
出久はガバッと起き上がり寺坂の体をブンブンと揺らす。
村松「平気だから寺坂を離してやれ!揺らしすぎて白目剥いてるから!」
出久「あ、ご、ごめん」
殺せんせー「おおお!!よかった緑谷君!!先生心配してましたよー!!!」
出久「お騒がせしました...」
出久が起きるとそこは侵入してきた際に使用した入り口付近の外だった。
空を見るとすでに真っ暗で、烏間が読んだ政府の人間達が使用しているライトで明るくはなっている。
周りを見れば全員無事で、死神、脳無は拘束されて運ばれていた。
殺せんせー「...影響を与えた者が愚かでした。あれ程の才能、いくらでも使い道はあった筈なのに」
殺せんせーは死神を見つめながらそう呟いた。
烏間「人間を生かすも殺す、人間次第か...それとあのヴィランだが、こちらで調査する...気になることがあるからな」
殺せんせー「わかりました。...イリーナ先生、今回のことで人間次第だってこと分かりましたよね」
殺せんせーが何気なくそう言って全員が振り返ると、コソコソとトンズラしようとしているイリーナが。
先生・出久以外「...待てやビッチ!!!」
イリーナ「ひぃぃーーっ!?!?」
イリーナは逃げるがあっけなくお縄につき、全員に囲まれながら不満丸出しの表情となっていた。
イリーナ「ああもう!好きなようにすりゃぁいいわ!!!男子は日頃から溜まりに溜まりまくった獣欲を!女子は私の美貌への嫉妬を、思う存分性的な暴力で発散させれば良いじゃない!」
木村「発想が荒んでんな...」
寺坂「いいから普段通り来いよ学校。何日もバックれてねえでよ」
矢田「続き気になってたんだよね。アラブの王様誑かして戦争寸前まで行った話」
片岡「来ないんなら花男の仏語版借りパクしちゃうよ〜」
イリーナ「殺す寸前まで行ったのよ...?あんた達のこと...」
竹林「何か問題でも?裏切ったりやばいことしたり、それでこそのビッチじゃないか」
出久(別にビ、ビッチじゃないけどね...)
轟「俺達には先生の力が必要です。だから明日からもよろしくお願いします」
中村「たかがビッチと学校生活楽しめないんじゃ、ウチら殺し屋兼中学生できないよ」
烏間「そう言う事だ」
烏間が、薔薇の花を持ち現れる。その薔薇は死神の奥の手で使用していた薔薇である。
烏間「この花は、生徒達からの借り物じゃない。敵を倒して得たものだ。誕生日は、それなら良いか?」
そうやって薔薇を渡す烏間。それに対してイリーナの心は不満な気持ちだった。
イリーナ(何よそのムードの無い渡し方。しかも前より花減ってるし。ガツンと文句言ってやるわ!ええっと...こんな時は...)
けれど、彼女は素直に笑顔で受け取った。
イリーナ「はい...!」
これには生徒達は笑顔になり、殺せんせーはパパラッチの姿で興奮。それを見た出久は冷たい視線をぶつけた。
殺せんせー「はっ......!」
出久(パパラッチの姿でイリーナ先生をさらに怒らせたこと忘れてませんよね?)
喋っていないにも関わらず、出久が何を思っているかを察した殺せんせーはビクッとなり、動きを止めた。
殺せんせー「(ヤッベ)こ、こほん...!烏間先生。いやらしい展開に入る前に一言あります」
烏間「断じて入らんが言ってみろ。」
殺せんせーは生徒全員の頭に触手を乗せこう言った。
殺せんせー「今後、生徒達このような危険に巻き込まれる事なく、安心して殺し殺される環境づくりを防衛省に強く要求します...!」
烏間「分かっている...」
殺せんせー「そうですか、ではみなさんこれでおしまい...とは言えませんよね」
全員が出久の方を向いて、出久は挙動不審となり全員の顔をチラチラと見る。
出久「えっと...なにか?」
前原「なにかじゃねえよ!?なんだあの触手みたいなの!マジで驚いたからな!?」
中村「そうそう。先にビッチ先生と烏間先生をなんとかして、いやらしい展開になる前に止めてから聞こうとしてたんだから」
烏間「ならないからな。あれは個性なのか?触手だったらこのタコが黙っていないはずだからな」
出久はこの個性がOFAであることを話せない。だからなんと言えばいいのか迷う。そしてなんとか話そうとした。
出久「わからないんです...ただ...今まで信じてきたものが突然牙を剥いてきたみたいで...僕自身すごく怖かった。止めてくれてありがとうございました先生方」
殺せんせー「......その力のことは分からないんですか?」
出久「...はい。僕は遅咲きの個性じゃないですか。もしかしたら僕の個性は超パワーだと思っていたんですが、違ったかもしれません...それか個性の派生かも...」
茅野「......」
その時茅野の表情が少し動いた。
轟「お前本人でも分からない力が急に出たってことか...そりゃあんなに焦るよな」
カルマ「何かきっかけとかないわけ?」
出久「あの化け物に捕らえられてた烏間先生とイリーナの先生を助けるために、化け物の腕をどうにかしたいって、捕まえたいって思ったら急に...ごめん、僕もわからないことだらけで...」
磯貝「まあ、無事で良かったよ。なあみんな、緑谷も混乱しているみたいだし、また今度にしよう」
磯貝の言葉に全員が頷いた。
烏間「緑谷君、あの時は助かったありがとう」
イリーナ「そうね、あれは正直肝を冷やしたわ...ありがとうね」
出久「......はい!」
全員が政府が用意した車でここから離れる際に、茅野が出久に近づいてきた。
茅野「本当に大丈夫?まるで触手みたいだったからついにイトナ君みたいにとかちょっと思っちゃった。ごめんね?」
出久「ううん。僕もみんなを危険に合わせちゃったから...」
茅野「...ねえ出久君?」
出久「どうしたの?」
茅野「一部嘘ついてたでしょ?」
そう茅野に言われた瞬間、出久はゾクリと冷や汗を流した。なんで嘘が分かったのか混乱した。
出久「...嘘なんかついていないよ?」
茅野「そうなの?そっか、なんかそういう演技している人みたいだったから。ごめんね?疲れているのにまたこの話出しちゃって、じゃ帰ろうよ!」
いつもの茅野の雰囲気に戻り、出久は何も言わずに頷いた。
出久(嘘をついてたのバレてた...演技って言ってたけど...茅野さんは演劇とかそういうの見ている人なのかな...?)
茅野(なんであんなこと聞いちゃったんだろう...あの個性?で焦っちゃったからか...)
出久(そうだ!オールマイトにメールしておこう!忙しいと思うから待ち合わせの時間をいただいて...)
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後日、防衛省の一室では
烏間「暗殺に生徒達を巻き添えにした場合、賞金は一切支払われないものとする。暗殺の幅は狭まりますが、生徒が安全を求めるのも当然の権利かと。」
上司「随分子供好きになったもんだな烏間。まあいい、要求を飲もう。どのみちもう終わりだ。個人レベルのフリーの殺し屋に頼る時期はな」
そして烏間の上司は、一つのファイルを出した。そこには“最終暗殺計画要項”という文字が。
上司「世界各国で進められているものだ。最終暗殺プロジェクトだ。概要を見たがとんでもないものだ。あれは殺し屋が出る幕じゃない。さらに、シロにはシロで最終計画の用意があるとか...だが、奴には期待していないが」
烏間「...何故です」
上司「最近の彼はどうも挙動不審というかねぇ...」
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シロは担架で運ばれる死神を見て、
シロ「知ってるよ君の正体。2人目の、いや2代目の怪物を作ろう。もう私も後がない...!」
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AM「まさか後継者の個性を...!?もう暗殺に猶予はない...次会う時までにまとめるか...!よし頑張るぞ!」
休日を挟んで後日、出久はいつもの海岸でオールマイトと待ち合わせをして、先日の個性、黒鞭のことを伝えた。そしてあの化け物、脳無についても。
AM「スキンヘッドの後継者...先日初めて聞いたよ。お師匠の前の後継者は黒髪の青年と聞いている。歴代継承者の個性が備わっていたこと、恐らくお師匠もしらなかったはずだ」
出久「個性の成長でまさか僕が最初に...黒鞭はなんとか出ますが少ししか出ません」
出久の右腕からはひょろっとした黒鞭が出ている。
AM「あんまり無茶しないようにね......それと脳無の件だけど、複数の個性と薬を与えられていた」
出久「複数の個性...やっぱり......その...オールマイト...与えられたってことは...オール・フォー・ワンが...?」
AM「...奴は私が......いや、もうそう言っていられないな...」
出久「それに...OFAも...奴と似ている......」
AM「......大丈夫さ!君が正しく力を使ってきたからこそ、OFAは応えてくれたんだ!そんな顔するな少年!」
出久「...はい、分かりました...!」
AM「ああ、それと暗殺が佳境に入るところだから君も焦っているだろうと思って、これをまとめておいた」
オールマイトが出久に渡したのは、歴代後継者個性と書いてあるノートだった。
AM「まだ早いと思うが、先に知っておいた方が予測しやすいだろうと思って、先日内容を聞いてすぐこれまでの歴代後継者の情報をなんとかまとめておいたよ」
出久「ありがとうございます!!...だから目の下のクマがすごいんですか!?」
AM「いやぁ、年甲斐もなく徹夜しちゃって...」
オールマイトの目の下のクマは濃かった。
出久は頭を何度も下げて、そのノートの内容を確認し始める。
AM「二代目と三代目に関しては手掛かりも見つからなかったよ」
出久「いえそれでも......この人だ...!第5代継承者、ラリアット...!本名、万縄大悟朗。個性、黒鞭...!他には“危機感知”、“煙幕”、“浮遊”...!浮遊はオールマイトの...」
AM「ああ、お師匠の個性さ。AFOはOFAに固執していた。今では考えられないほどに空くのが力を持っていた時代、AFOは強いものを徹底的に潰していった。歯止めの効かない悪意と支配がそれを可能にしていたんだ」
出久「...そんな奴が本当に生きているなら...!」
AM「地獄の中をもがき...生き絶える中、歴代はこの力に未来を託し紡いできた。だから君がこの紡がれたきた力で...!」
出久「はい!(...この人たちは全員早くして亡くなられている...本当に地獄のような時代だったんだ...)」
AM「それで黒鞭を最初にマスターして欲しいけど、次に覚えたほうがいい個性がある」
出久「あっ、それは僕も思っていました。これかと思って...」
AM「そうかい、じゃあ次に覚えるのは」
同時にお互いの考えていた個性を伝えた。
出久「危機感知!」
AM「浮遊」
出久・AM「ん?」
2人は違った個性を出したため、首を傾げた。
AM「浮遊じゃないの...?」
出久「浮遊も素晴らしくすごい個性ですが、暗殺をするならば、危機感知で殺気を直ぐに感知できた方が良いかと思って...」
AM「そ、そうだね、でも浮けたほうが戦略の幅拡がるかなって...」
出久「殺せんせーはマッハ20ですし...」
AM「あー......でもそれに......」
出久「そ、それに?」
AM「お師匠の個性だからめっちゃ強化されるかな〜とか...」
出久「...断りづらすぎです!!!...なら両方やります!!」
AM「えっ!?あ、ごめん!あんま無茶しないでね!?」
出久「plus ultraです!!」
出久は早速黒鞭の訓練に励むのだった...
AM「......お師匠、どうか少年に力を貸してあげてください......最終暗殺プロジェクト......か...話を聞く限り...やはり本当に殺せんせーとやらは殺さなければいけない存在なのか...?」
登校日となり、出久は誰よりも早く登校して山の中で黒鞭の特訓を始めていた。
まだまだ黒鞭をうまく出せずに、何度も転んだりなどして特訓をしていたのだが...
矢田「何も言わずに1人で特訓して、挙げ句の果てに失敗して川に転落してたけどさ...何か言うことは!」
出久「...ありません」
早速1人で無茶な特訓をしていたことを彼女‘sにバレて、朝っぱらから囲まれて正座で反省していた。
まるで裁判のような光景。
弁護人は律(アンドロイドモード)だった。
倉橋「もぉ〜!その個性で大変なことあったの忘れたわけじゃないんだから、1人で特訓なんて無茶しすぎ!」
出久「おっしゃる通りです...!」
奥田「心配しているんです...その、あの時すごく痛そうでしたし...」
出久「うっ...!」
神崎「またあんなところ見たくないよ...?」
出久「ぐふっ!」
岡野「暗殺はしょうがないとして、こういう無茶のしすぎで傷つく出久はあんまり見たくないんだけど」
出久「反省してます...」
不破「漫画だと、暴走した力を制御するために凄まじい特訓をするってのが多いけど、そんなのリアルでされちゃ困るの!」
出久「許してつかぁさい...!」
速水「せめて誰か見ているところで特訓して、心配だから」
出久「承知しました...」
片岡「はぁ...また無茶ばっかするんだから...」
出久「...ハイ」
中村「こりゃあお仕置きだね〜くすぐり地獄とか...」
それを聞いて彼女’sの目がキランッ!と光った気がした。
出久「待って待って!!」
茅野「心配したことは前に言ったからいいや」
出久「......う、うん...(やっぱり気になるな...)」
律「私が出久さんのことを常に見ていますから皆さん平気ですよ?コンビの私が見ていますから」
律は律ロイドで出久の横に座って寄りかかった。
片岡(本当にコンビってところを強調して...)
岡野(もう表現豊かじゃん!)
千葉「すごい光景だな...」
杉野「ま、まあ、今回は緑谷に悪いところがあるからしょうがないな...」
殺せんせー「おはようございますみなさん!...なんかすごい光景ですね!?裁判ですか!?」
中村「そうそう、有罪でくすぐりの刑」
出久「勘弁してください!!!」
中村「閉廷!」
出久「」
殺せんせー「...緑谷君は罪を償いましょうね...ではみなさん、今日は少しいつもと違うことを考えてもらいますよ」
その言葉を聞いて生徒達は何だろうかと思いながら席についた。
殺せんせー「進路相談です!」
生徒「......あーなるほど」
出久(そっか...もう中学3年ならそうだよな...)
渚(...進路か......)
全員が納得している中、渚だけは顔を下に向けて唇を軽く噛んでいた。
渚(...高校に入れたら、僕は僕を辞めて”私“に戻る......けど、きっと私になっても自由なんてないんだろうな...)
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