暗殺教室 in Hero
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緑谷出久の暗殺教室38 間違いの時間
殺せんせー「さぁ皆さん!二週間後は二学期の中間ですよ!!いよいよA組を越える時が来たのです!熱く行きましょう!!熱く!!熱く!!」
だれもが暑苦しいと思うくらい殺せんせーは燃えていた。
だが、生徒たちのほとんどは落ち着かない様子だった...そう、もう10月なのだ。暗殺ができないまま勉強の時間だけが過ぎていく。
暗殺期限まで残り5ヶ月
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出久は周りより遅れている轟の特訓に付き合うため、放課後残ることに...
前原「よく飽きずにほぼ毎日訓練できるな...もう俺ら中間の授業で疲れてるよ...」
岡島「勉強も真面目にやるけど、暗殺で身につけた力でもっと色んなところで使って見たいな。せっかく強くなったんだからよ」
岡島の言葉に数人が頷いた。
出久「確かにそうだね...でも、みんなのフリークライミングの動きとか見れば、個性に匹敵する強さだ。だから訓練できる場所は裏山に限られちゃうね」
木村「そりゃそうだけど、体育の時間の裏山での特訓じゃ足りてない気がするんだよな...」
出久「仕方ないよ、裏山以外でその力を使ったら危ないよ」
メグ「だよね...」
寺坂「はぁ...いいよなお前らは個性があるから。俺らはねえから遅れてるんだよ」
出久「っ......」
みんなが帰り始めて、カエデだけ少し出久の元に残っていた。
カエデ「みんな焦ってるんだよ。だからあんまり気にしちゃダメだよ」
出久「僕らは確かに個性はあるけど慢心しているわけじゃ...」
カエデ「ははっ...しょうがないよ。やっぱ私も差を感じちゃうもん...」
出久「そう...でも個性に匹敵する力を手に入れてるんだよみんな...力は正式に許可されないと使っちゃダメだよ...島の時は烏間先生がいたから個性を使えたけど...
僕の個性だって使い方を間違えたら...取り返しのつかないことになるかもしれないし...」
カエデ「...そう...もう私は遅いかもしれないけど...」ボソッ...
出久「...ごめん聞こえなかった...」
カエデ「う、ううん!許可されてないとまだ危ないよね...!じゃあそろそろ帰るね!」
出久「うん、カエデさん」
カエデ「ん?」
出久「ありがとう、話を最後まで聞いてくれて、それだけでも僕は嬉しいよ」
カエデ「...うん!」
出久「あっ、轟君がもう特訓に...さて、僕も頑張らないと!」
カエデ「...!」
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帰り道の途中...裏山と住宅街が密接している場所に渚たちがいた。
岡島「すげー通学路を開拓したんだ!ここからフリーランニングで建物の屋根を伝ってくとな、ほとんど地面に降りずに隣駅の前まで到達出来る!ただ通学するだけで訓練になる。今日から皆でここを行こうぜ!」
陽菜乃「え〜危なくない?」
メグ「そうだよ...烏間先生が裏山以外でやるなって...それに出久君も...」
岡島「へーきだって!行ってみたけど難しい場所はひとつも無かった!鍛えてきた今の俺らなら楽勝だって!それにここら辺でヒーローとかはパトロールもしてねえからバレねえって!」
磯貝「うーん...」
前原「いいじゃねーか磯貝!勉強を邪魔せず暗殺力も向上出来る!2本の刃を同時に磨く!殺せんせーの理想とするところだろ!」
杉野「良いかもな!」
渚「うん...!」
カエデ「本当に行っちゃうの?やっぱり危険なんじゃ...やめとこうよ!」
寺坂「じゃあ来なけりゃいいだろ。これ以上あいつに先をいかせてたまるかってんだ」
凛香「...うん」
岡島「よっしゃ!先導するぜついてこい!」
前原「おう!」
そして、渚、磯貝、前原、杉野、菅谷、吉田、岡島、木村、三村、村松、千葉、寺坂、メグ、ひなた、莉桜、凛香、桃花、優月の18人で行ってしまった...
カエデ「...どうしよう。出久君のことが言って事を考えてたら不安が...私ちょっと言ってくる!」
有希子「出久君が?」
カエデ「うん...個性の...力の使い方を間違えたら取り返しのつかないことになるかもって...」
愛美「せ、先生に言った方が...」
残った組は出久の言った言葉が気になり始める。出久は力を持っている...力を持っているからこそ発言力があるのだ...なので旧校舎へ引き返し、伝えることにしたのだった...
カエデ(私なんでこんな必死に...?これはカエデでしょ...?“私”じゃない...はず...。でも最近は“私”とカエデが混ざる...出久君の言葉を聞いてると特に...)
出久『僕も頑張らないと!』
『生徒達のために、私も頑張らないと!』
カエデ(そっか...まっすぐな部分が...他人を思いやるところが...諦めようとしないところが...似ているのかもしれないから...)
有希子「...どうしたの?」
カエデ「ううん!大丈夫!行こう!
(カエデとして出久君の場所へ......“私”は彼に相応しくない...彼が優しくても......
最初から嘘をついているんだから)
カエデは胸の痛みを感じながら走る...
一方岡島達は...
前原「うは!きもちー!」
三村「楽勝だな!」
岡島「だろ?体育祭でわかったろ!?もう俺ら、一般生徒とは段違いなのよ!」
今までの自分達に比べたら、成長していると実感している。誰もが暗殺も成功できると感じていた...
木村「よし!一番乗りでゴー...!?」
岡島「えっ...!?」
“ガシャァン!!!”
木村と岡島が道に降りた場所に、お爺さんが自転車で走行していたのだ。それにぶつかってしまい、お爺さんは足を抑えながら倒れている...
花屋「い、今の音何があった!?...た、大変だ!救急車を!」
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出久「みんなが街で!?ヒーローとか警察に見つかったら一発でアウトだよ!?」
カエデ「ごめん...止めたんだけど...」
出久「あっ、ち、違うよ!責めているわけじゃなくて!」
轟「電話して早く言わねえとまずいぞ...」
律「みなさん大変です!」
律ロイドが駆け寄ってきた。
律「今病院にーーーー」
出久「.........嘘だろ...!?」
出久達はすぐに病院に向かった。
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出久達が病院に着いた時にはもう夕暮れに...病院前では渚達がいた...
桃花「あっ......い、出久君...」
烏間「君らもきたのか...話は知っているな」
出久「はい...」
烏間「右大腿骨の亀裂骨折だそうだ。君らに驚きバランスを崩して転んだ拍子にヒビが入った。程度は軽いので二週間ほどで歩けるそうだが、何せ君らのことは国家機密だ。口止めと示談の交渉をしている。頑固そうな老人だったが、部下が必死に説得中だ」
その時、寒気が...振り向くと真っ黒な殺せんせーがいた...
磯貝「こ...殺せんせー...」
岡島「だ、だってまさか、あんな小道に荷物いっぱいのチャリに乗ったじーさんいるとは思わねーだろ!」
桃花「もちろん悪い事したとは思ってるけど...」
莉桜「自分の力磨くためにやってたんだし...」
凛香「遅れたくなかった...」
寺坂「地球を救う重圧と焦りが...テメーにわかんのかよ」
その時殺せんせーが出久達以外をビンタした...
殺せんせー「生徒への危害と報告しますか...烏間先生?」
烏間「...今回だけは見なかった事にする。暗殺期限まで時間が無い。危険を承知で高度な訓練を取り入れたが...やはり君らには早すぎたのかもしれん。俺の責任だ」
烏間先生はそう言うと、病院の中へと歩いていった...
一同「...ごめんなさい」
皆が小さな声で言った。
殺せんせー「君たちは、強くなりすぎたのかもしれない。そのために、身につけた力に酔い、弱い者の立場に立って考えることを忘れてしまった。それでは本校舎の生徒と変わりません」
みんなが思う...叩かれると痛くて悔しい...だけど、返せる言葉がひとつも無い。
これが、“間違う”っていうことであると...
殺せんせー「話は変わりますが、今日からテスト当日まで丁度二週間...クラス全員のテスト勉強を禁止します」
一同「!?」
殺せんせー「罰ではない。テストより優先すべき勉強をするだけです。教え忘れた先生にも責任がある。まずは被害者を穏便に説得します」
殺せんせーはマッハでどこかへ行ってしまった。
出久「......危ないって言ったじゃないか...」
前原「...分かってるって......っ!?み、緑谷...!?」
出久は涙目になっていた...
出久「...偉そうな事を言うけど...力の使い方を間違えたら危ないんだ...島でヴィランと戦っていた時...個性を使って、みんなを巻き込みそうになったのが怖かった...」
莉桜「っ...!」
渚「...どうして個性を持っていて強いのに、間違った使い方ってものを知ってるの...」
出久「...間違った力の使い方をしている人に、10年間僕は虐められてきたからかな...」
一同「っっ!!!!」
出久「やられた側はね...理不尽に痛い思いをするんだ...やられた内容によっては心が傷つく...忘れられないものにもなるんだ...」
磯貝「...すまない緑谷...!」
メグ「...ごめん本当に...」
出久「...謝るのは僕に対してじゃないよ...僕も被害者の人に謝るよ」
出久は病院内に入って行った...それに続こうとしたら轟が
轟「...なあ、最近まで俺も力に対して勘違いしていたが...お前らは俺よりも正しい力の使い方を見てきたと思うんだが...」
渚「えっ...」
轟「...今までE組で何があったか律が動画で見せてくれた...正しい力の使い方...それは今までを思い出せばわかるんじゃないか?」
轟の言葉に一同は考えた。しかし今は謝罪する事が先である。後で考えることにした...
被害者のお爺さん、松方は生徒達への怒りが収まっていなかった。
松方「あのガキども...並の謝罪じゃ許さんぞ...!こう...かつて見たこともないような...」
そう言うと、ベッドの周りに大量の花束が置かれていた。その花束の上に土下座をした殺せんせーが現れた。そう、いきなり。
殺せんせー「すいませんでしたぁぁ!!」
松方「ぎゃぁぁぁ!!!」
殺せんせー「この度わたくしの!100億円の賞金首の生徒達が大変失礼しましたぁぁぁ!!!!」
松方「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
病室の外では
出久(...穏便に...じゃないよね!?恐怖を与えてるじゃん!?)
出久だけが殺せんせーの謝罪を見てしまった。
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殺せんせー「保育施設を経営している松方さんです。まずはしっかり謝りましょう」
一同「ごめんなさい...」
皆頭を下げて謝る。無関係だった出久達も頭を下げる。
殺せんせー「プロの殺し屋である以上、君たちは責任のある1人前の人間だ。訓練中の過失には君達自身が責任を持つべきです。治療費ばかりは烏間先生に払ってもらう外ありませんが...慰謝料と仕事を休む分の損害は、君達が支払いましょう」
千葉「支払うって...」
殺せんせー「要するにタダ働きです。この人の職場をクラス全員で完璧に手伝いなさい。二週間後、松方さんが歩けるようになった時点で、賠償分の働きぶりが認められれば、今回ので事は公表しないでくれるそうです」
松方「ワシのところは大変だぞ。保育所から学童保育まで手広くやっとる。お前たちにつとまればいいがな...」
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ひとまず今日は解散することに...そして無関係組が殺せんせーと残った。
殺せんせー「えー......不公平ということで、心苦しいですが優しいビンタをします...」
カエデ「な、なるほど...」
殺せんせー「失礼します...許してつかぁさい...許してつかぁさい...許してつかぁさい...」
もっちりとした優しいビンタを謝りながら無関係組に...
殺せんせー「明日からよろしくお願いしますね...それと緑谷君、今度から特訓する時はみんなを誘うのはどうでしょう」
出久「えっ...」
殺せんせー「君は1人でなんでもやってしまう癖があります。それでは他の皆さんが距離を感じてしまいます。もう少し皆さんとやるという事を考えてみてください」
出久「…はい」
殺せんせー「...それと皆さんに強くビンタしてしまいました...」
愛美「...あー...そうです...ね」
殺せんせー「心に傷が残ったらどうしましょう...」
出久「だ、大丈夫ですよ...」
轟「もうやっちまった事を考えても...」
殺せんせーは頭を抱えて悩んでいた...
律「あの出久さん」
モバイル律が出久に対して声をかけた。
(律ロイドは、事件のことを伝えた後に本体の中に戻った。)
出久「どうしたの?」
律「みなさんの携帯の位置を調べたら、少し気になることが...」
殺せんせー「あああ!!まさかアフターケアが足りなかったんじゃ!!」
律「いえ、集まっているメンバー的に、殺せんせーではなく、出久さんのことで話していると...勝手に聞くのは良くないと判断しました。
出久さん...行ってあげてください」
出久「...うん」
出久は律に教えてもらった場所に向かった。
陽菜乃「...イズ君が行くってことは......私見に行く...」
カエデ「...私も」
それに有希子と愛美をついて行った...
殺せんせー「私たちどうしましょう...」
轟「...さぁ...」
ある公園では...桃花、メグ、凛香、莉桜、優月、ひなたの6人が集まっていた...
その場にいる全員が暗い顔をしていた...
莉桜「...出久...泣きそうになってた...力を持ってるからって、勝手なことしゃちゃダメって...なんで気づかなかったんだろ...」
ひなた「...はぁ...これじゃ私達、出久を虐めてたあいつと同じじゃん...」
桃花「...出久君...嫌いになったかな...」
出久「そんなことないっ...はぁ...はぁ...」
6人「出久(君)!?」
出久が6人の元に着いた。走ってきたため息が切れている...
出久「嫌いになんかならないよ...僕は」
凛香「出久...でも...」
出久「間違ったって自覚しているなら、僕は何も言わないよ。僕だってちゃんと物事を判断できない...街を使ってフリークライミングは確かに良い特訓にはなると思うもん...
難しいよね、そういう考えって」
出久は苦笑いしてそう言った。そして穏やかな顔となって話を続ける。
出久「君らはかっちゃんとは違う。強さも弱さも知って、力の使い方を改めて考えることができている。かっちゃんは、死ね死ねとしか言わなかったから」
ひなた「...ありがとう...それにしてもひどいねそいつ」
出久「だよね〜本当に...まあとにかく、君達を嫌うことなんてないよ.........
むしろ好意的に思ってるよ?」
メグ「それってす、好きってこと!?」
出久「い、いや、そういうわけじゃ......それにそもそもこの好きが...
恋愛感情なのかはよく分からないんだけどさ...
でも今までとは違うかもしれない...
それだけは伝えとくよ。そういえばちゃんと考えている事を伝えられてないなって思ってさ。
ごめんね、なんかクズみたいな答えで...」
莉桜「いや、ちゃんと考えてくれてるってことが分かったからいいよ。それにみんなでアピールする時が一番多いし、そういう感じになるのも理解できるよ」
凛香「そ、それで、特に誰が一番そういう感情が大きい?」
出久「分からないかな...あ、あの...そんなにジリジリと...」
ひなた「特に!?」
優月「答えないとダメだよ!!」
桃花「私だよね!!ねえ!!」
出久は逃げ始めた。
6人「待てぇ!!!」
出久「ひぃぃ!!!」
公園内で鬼ごっこが始まってしまった。だが、ちゃんと危険のない鬼ごっこ...
有希子「それは私も知りたいな」
愛美「わ、私も...」
陽菜乃「なんで私たちにそのこと言わないの〜!」
カエデ「そうだそうだ〜!」
4人増えた。
出久「嘘でしょ!?」
殺せんせー「見にきて正解でしたねぇ。女子の皆さんが特に落ち込んでいたのはなんとなく分かっていましたから...緑谷君の言葉で、元気になって良かったです。これならもう、この2週間で正しい事を学べるでしょう...。
緑谷君がここで自分の気持ちを伝えたのが元気付けるためでしょう...
緑谷君も女性心が分かってきた...つまりノンフィクション小説の内容に発展が!!」
轟「あっ、緑谷捕まった」
出久「ひぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
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