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暗殺教室 in Hero

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緑谷出久の暗殺教室14 夏の時間

夏...エアコンのない旧校舎はすでにサウナのような暑さになっていた...

三村「地獄だぜ...」

殺せんせー「だらしない!夏の暑さは当然のことです!温暖湿潤気候で暮らすのだから諦めなさい。ちなみに先生は放課後には寒帯に逃げます」

殺せんせーは誰よりも暑さでダウンしていた。

一同「ずりぃ!!!」

倉橋「でも今日プール開きだよねぇ」

木村「そのプールが俺たちにとって地獄なんだよ」

E組はわざわざ炎天下の山道を下って、本校舎のプールに入りにいかなくてはいけないのだ。帰り道はプール疲れして山登り。カラスの餌になるかもしれないのだ。

前原「本校舎まで運んでくれよ殺せんせー...」

殺せんせー「先生のスピードを当てにするんじゃありません!いくらマッハでもできないことがあるんです!...でもまぁ気持ちは分かります。全員水着に着替えてついてきなさい」

殺せんせーに言われて、そばの裏山の小さな沢がある場所に向かっていた。しかしその場所には足首まで歩かないかの深さ...

水かけ遊びができるならいいとついていくと、水が溜まっていたのだ。余裕でプールでの遊びが可能だ。殺せんせーが小さな沢を塞き止めて、水が貯まるまで20時間。

殺せんせー「制作に1日、移動に1分。あとは1秒でもあれば飛び込めますよ」

殺せんせーがそう言うと、生徒達はジャージを脱いで、水着で飛び込んだ。

E組「いやっほー!!!」

出久(こう言う事をしてくれるから、先生が殺しづらい!)

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茅野「楽しいけどちょっと憂鬱...泳ぎは苦手だし...水着は身体のラインがはっきり出るし」

岡島「大丈夫さ茅野...その体もいつかどこかで需要があるさ」

盗撮用のカメラを構えながら二枚目面で答える岡島に茅野は呆れた。

茅野「それにしても渚、アレルギーとかで長い間プールに入れないとかかわいそうだね」

渚「う、うん...まあしょうがないよ。生まれつきだから...」

出久(随分暗い顔だな...まあこんな暑い中プールに入れないのはきついだろうな...殺せんせーが気を遣って、渚君に団扇とか仰いであげてるけど)

するとプールにいる監視係の真似をしている殺せんせーが笛を鳴らした。

殺せんせー「木村君!プールサイドを走ってはいけません!原さん!中村さん!長く潜っていると溺れたかと心配します!岡島君のカメラも没収!間さんも本ばかり読まない!」

ピピピピと笛をずっと鳴らしている殺せんせーに鬱陶しさを感じ始める生徒。

自分で作ったため、王様気分になるタイプでありがたみが薄れていく。

倉橋「硬いこと言わないでよ殺せんせ〜水かけちゃえ!」

そう言って水を殺せんせーにかけると


殺せんせー「きゃんっ!!!」


E組「...は?」

カルマがすかさず、殺せんせーが座っている椅子を揺らす。

殺せんせー「きゃあっ!?揺らさないで水に落ちるぅ!!!.........いや、別に泳ぐ気分じゃないだけだしぃ?水中だと触手がふやけて動けなくなるとかそんなん無いしぃ?」

三村「手にビート板持ってるのに?」

殺せんせー「これはふ菓子です」

三村「おやつかよ!!」

生徒達はこれまでで1番の殺せんせーの弱点を知れたと直感で感じた。

そう“水殺”である。

茅野「うわっ!?バランスが!」

浮き輪に浮いていた茅野がバランスを崩して水に落ちてしまった。

殺せんせー「あわわわ!!!このふ菓子に捕まってぇ!」

出久は個性をすぐに使って茅野に近づいて、腕を腰に回して運び始めた。

茅野「ありがとう緑谷君...助かったよ...」

出久「うん。気にしないで...というかごめんピッタリくっついちゃって...」

茅野「あ、あはは、気にしないで」




片岡「......水の中なら出番かもね...」



プールの後に生徒達で水の中で殺せんせーを暗殺するという作戦になった。ふやけて動きが悪くなったところを狙う。

そこで昨年度水泳部クロール学年代表だった片岡が先陣を切ることになった。

三村「流石イケメグだな」

菅谷「こういう時の頼れる度合いは半端ないな」

片岡は女子なのにイケメン。文武両道で面倒見がよく、颯爽として凛々しい姿からついたあだ名は“イケメグ”。

出久「...うーん...でも殺せんせーなら...」

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その後片岡がプールでの自己ベストを目指すために水泳をしていた。

律「26.08秒。片岡さんの50m自己記録には0.7秒届いていてません」

茅野「うーむ、カッコいい」

渚「責任感の塊だね。それであっちも張り切ってるね」


出久「水中で個性を使うと身体が重く感じる...でも体力をつけるにはピッタリだ...!」

片岡「張り切りすぎて足攣らないでよ?」

出久「う、うん」

律「!片岡さん、多川心菜という方からメールです」

片岡「あー...友達...悪いけど読んでくれない?」

律「はい。“めぐめぐ、げんきぃ〜。じつゎまたべんきょ教えてほしいんだ〜♡とりま駅前のファミレスしゅ〜ご〜。いぇー!”以上です。知能指数がやや劣る方と推察されます」

茅野「こらこら」

片岡「わかった。すぐ行くって伝えて。ちょっと用事できたから。緑谷は特訓頑張って」

友達と会う割には暗い顔が気になり、3人で行くことに...なろうとしていたが、どこからともなく殺せんせーも現れて参加することに。

殺せんせー「しっかり者の彼女だけに心配ですね。みんなから頼られる人は自分の苦しみを1人で抱えてしまいがちです」

そして4人で駅前のファミレスで監視を始めた。多川という女子は片岡に聞いてばっかで、片岡が自身のやりたいことがあると言ったら、


多川「私のこと殺しかけたくせに...!あなたのせいで死にかけてから...私怖くて水にも入れないんだよ?支えてくれるよね?一生」

出久(なんだあの人...!?)

多川はその後、友達と遊ぶ約束があると言って去った。片岡は大きなため息を出したあと
 
片岡「で、そこの不審者4人組は何か御用?」

出久「バレてた...!?」

片岡「丸見えだったんだけど...特に緑谷の癖っ毛が」

出久「」
 
店を出て経緯を聞くことに。
 
片岡「去年の夏にね、同じ組だったあの娘から泳ぎを教えてくれってたのまれたの。好きな男子含むグループで海に行く事になったらしくて、カッコ悪いとこを見せたくないからって」

1回目のトレーニングでなんとか泳げるようになった彼女はそれで満足してしまい。反復練習に誘ってもそれを無視されて海に行ってしまったらしい。

そして案の定、多川は海で溺れてしまい救助沙汰に。

自業自得にも関わらず、片岡に逆恨みして、償いをしろと言ってきたのだ。片岡はそれを断れずにテストのたびにつきっきり教えていたら、自分の苦手科目が足を引っ張り、E組に落ちてしまったのだった...

茅野「そんな...片岡さんに甘えすぎじゃないの?」

片岡「いいよ。こういうの慣れっこだから」

出久「でもそれじゃ片岡さんが心配だよ...」

片岡「...私が?」

出久「クラスでいつも見てるから分かるけど、片岡さんの責任感とかいつもすごいと思ってるんだ。けどそれを利用され続けてたら、片岡さんの自由がなくなっちゃうよ...」

片岡「緑谷...」

殺せんせー「そうですねぇ。片岡さん、時には相手の自立心を育てることも重要です。彼女のためにも君のためにもなりません」

片岡「どうすればいいのかな殺せんせー...」


殺せんせー「決まってます、彼女が自力で泳げるようにすればいい」

こうして作戦は始まった。



多川心菜は記憶をたどるも状況が理解できない。ベッドで就寝していたら幻想的な泉でにいた……
 
多川「あぁ、夢か」
 
夢だと信じたい。何故なら魚人の格好をした人間が数人と、訳のわからない奴が1匹いるからだ。
 
「目覚めたみたいだね」
 
と声したので振り返ってみるとそこには魚人のようなカッコをした...片岡がいた...
 
片岡「えーと、こ、ここは魚の国!さぁ、私たちと一緒に泳ごうよ‼︎」
 
多川「あんた、めぐめぐに似てない?」
 
片岡「違うし、メグメグとか知らないし……魚魚(うおうお)だし」
 
多川「なにその居酒屋みたいな名前!?」
 
殺せんせー「堂々と魚を演じなさい片岡さん。夢の中だと思わせなければ我々の行為は拉致監禁です」
 
ヒソヒソと片岡に注意をすると殺せんせーも含めて残りの自己紹介をする
 
渚「僕の名前は魚太」
茅野「私は魚子だよ」
 
多川「なんであんたら2人は魚なのに浮き輪してんの⁉︎というか魚太は水に入る気なさそうな重装備だし!?」
 

出久「私が来たぁ!!私は魚(うお)ールマイト!さあ一緒に泳ごう!!」

多川「身体全然違うのに顔だけリアル!?」

殺せんせー「そして私が魚キング。川を海を自在に跳ねる水世界最強のタコです」

多川「タコかよ!?」

殺せんせー「素晴らしい連続ツッコミですね。良い準備運動になります」

そう言うと殺せんせーは速攻で水に入る為のストレッチと早着替えを触手で行い、プールへ無理矢理入水させた。突然のことで多川はパニックになるがすぐに片岡も水に入り指導をしようとすると
 
多川「今更いいわよ泳げなくて‼︎それを逆手に愛されキャラで行く事にしたし‼︎それにそうしとけばアンタに似てる友達が何でも言うこと聞いてくれるし‼︎」

出久「だめだね少女!」

多川「うおっ!?その顔でドアップは驚くわ!!」

出久「頼ってばかりじゃカッコ悪いぞ!もし泳げるようになったら、みんなが頑張ったねと褒めてくれるんじゃないか?」

多川「えっ...う、うーん...」

片岡「よしやろうか!」

今回の企画は多川を泳がせるためだけではなく、殺せんせーが本当に泳げないかどうかを確認するためのものである。

渚「ねえ、魚キングならレクチャーしてあげなよ」

殺せんせー「にゅっ...仕方ありませんね!」

そう言って殺せんせーはプールに入っていった。生徒達はまさか!?と思ったが、殺せんせーは専用の魚型水着を用意していて、余裕で泳いでいた。

しかしこれでは泳げるかどうか判別できない。

茅野「生身で泳げるか確認したかったのにぃ!」

殺せんせー「入れますよ?」

そう言って殺せんせーは水着を脱いだ。

渚「ほ、本当に生身で水に入って......いや、桶を使ってマッハで水かき出している!?」

出久「HAHAHA!流石魚キングだね!でも少しズルいんじゃないかな?」

茅野「な、なりきってるね...」


こんなやり取りをしている中、殺せんせーがしっちゃかめっちゃかにプールに渦などを作っていたため、多川のいい練習となっていたのだった...



この超生物の特訓のおかげで、夢の中だと認識したままでも現実で泳げるようになったら多川。プールの授業で褒められて、みんなから注目されていた。

そしてそれを見ていた片岡が

片岡「うん、もう私の手助けはいらないね」

多川「うぐっ!?(これじゃもう頼れない...!)」

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殺せんせー「これで彼女に責任は感じませんね片岡さん。これからは手を取って泳がせるだけじゃなくて、厳しく手を離すべき時もあると覚えてください...

あぁ、それと……察しの通り先生は泳げません。水を含むと殆ど身動きとれなくなりますから弱点としては最大級と言えるでしょう」
 
水が浸かった触手はふやけていた。しかし殺せんせーの顔は余裕の笑みを浮かべている。

殺せんせー「先生には落ちない自信もありますし、現状満足に水中で暗殺できるのはお二人ですから、それなら相手にできます。ですので自分を信じて皆で泳ぎを鍛えてください」

片岡「...2人?」

殺せんせー「緑谷君ですよ。緑谷君、君が水泳を頑張っていたのは片岡さんのサポートをしたいと思っていたからでしょ?」

出久「えっ...ま、まあ...」

殺せんせー「流石に分かりますよ。球技大会の杉野君の時がいい例です。君は他の人より目立つ部分がありますが、誰かのためにサポートに回りますからね」

出久「あー...そうです。殺せんせーも水が弱点って自覚してましたし、水に沈める作戦はいいとしても、何か対策を持ってるんじゃないかなって...だから水中戦が一番得意な片岡さんのサポートに回れる特訓をすれば、暗殺できるかなって...」

茅野「流石緑谷君、深いところまで考えるんだね」

出久「オールマイトが解決した事件にね、炎の個性を持つ敵と戦う事件があったんだ。川に落とそうとしたんだけど、けど川の場所を把握して逃げる作戦を立てていたんだ...でもすぐに消化器を使って瞬殺したけどね!」

渚「でた、オールマイトのファンならではの知識!」

殺せんせー「この通り自ら貴方の力になろうとする仲間がいるんです。責任感を忘れずにもう少し頼ることも覚えましょうね。頼りになってくれる男子がいるんですからぁ〜ヌルフフフフ〜」

片岡「茶化さないでよ、もう!」

ナイフで刺そうとするが、ニヤケ顔で避ける殺せんせーに殺意が湧いてくる。


茅野「片岡さん、なんかスッキリした感じだよね」

渚「うん。殺せんせーは流石だね...あんな作戦思いつかないよ普通...」

茅野「でも頼りになる男子だって。緑谷君はどんどんクラスでもすごい立場になってきたね〜」


出久「ええっ!?ぼ、僕はまだまだだよ...別に自慢できるような特技がないし...発言力も強いわけじゃない。だから片岡さんみたいな強くて責任感のある素敵な人に頼られるのはまだまだ力不足だよ...」

片岡「......な、何変なこと言ってるの!!」

出久「ごふっ!?!?」

片岡は顔を赤くしながら蹴りを喰らわせて、出久はプールに落とされてしまった。

出久「なぜぇ...!?」


茅野「ねえ緑谷君...どういう意味で素敵な人だって?人間性として?」

出久「う、うん...とても素晴らしい人格者だと...」

殺せんせー「煽った私も悪いですが緑谷君は言葉が足りませんよ...今のは女性として素敵な人だって言っているようなもので、口説いてるように聞こえますよ?」

出久「.........あー......す、すいません!!そういう意味では!」

片岡「別にいいわよ...蹴ってごめん」

茅野「でも片岡さんは女子って意味でも素敵だと思う。だって溺れちゃって、助けてくれた時惚れそうになったもん」

渚「か、茅野...」

出久「うん。それは僕も思う。確かに素敵だよね」

渚「あっ」


片岡「な!?な、なな、何もわかってなーい!!!」

出久「イダァァ!?!?ゴボッ!?ゴボゴボ...」

再び出久は蹴りでプールに沈んだ...

片岡「も、もう行きますから!」


殺せんせー「えっ!?あー!!緑谷君起きて!先生泳げない!片岡さん!別に緑谷君は下心があったわけじゃ!」

渚「先生麩菓子のビート板は!?」

茅野「あっちに流れていっちゃう!!」

出久「」

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片岡「今回の騒動の時からずっと思ってたけど...あんな言葉を言ってくるのに、下心がなくて、純粋に褒めてくれてるのが分かるからタチが悪い...///」


フラグ⑤ 片岡メグ


 
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