星河の覇皇
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第八十五部第二章 日本大使館その四十三
「そうしたものなのよ」
「あの宮内省らしいですね」
「石橋どころか超合金の橋でも叩いてね」
「少しでも不安があれば渡らない」
「そこまでの慎重さがあってね」
「ガードもですね」
「その域よ」
日本の宮内省のそれはというのだ。
「まさにね」
「そうなのですね」
「あの皇室は何かと不自由だけれど」
「河豚のこともですね」
「そのうちの一つよ」
不自由のそれのというのだ。
「まことにね」
「日本の皇室はそうしたお家ですね」
「そう、あの家はもう生活自体が儀礼でね」
「祭事ですね」
「君主家の役割は祭事だけれど」
「その生活の全てがですね」
「もう祭事よ」
そこまでのものになっているというのだ。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「そう、しかもね」
さらにというのだ。
「生活は極めて質素ね」
「連合第三位の大国の国家元首とはです」
「とても思えないわね」
「宮内省の予算も少ないですね」
「驚くまでにね」
「左様ですね」
「連合には他にも君主は存在していてね」
「皇室、王室が存在していますね」
尚共和国の方がかなり多い、君主制の国は共和制の国と比べて随分と少ないことが実情である。ただし複数の君主家が存在する連合王国も存在している。
「連合の中に」
「ええ、けれどね」
「それ君主家の中でもですね」
「日本の皇室は質素よ」
「それが際立っていますね」
「二十一世紀の話だけれど」
カバリエは鍋から自分の碗に白菜を入れつつ話した。
「北朝鮮の将軍様一人の贅沢費よりね」
「日本の皇室の予算は少なかったですね」
「そうだったわね」
「そのお話は私も聞いていましたが」
「当時から日本の経済規模は世界第三位だったけれど」
「その三位の国の皇室の予算は、ですね」
「最貧国の独裁者個人のものより少なかったのよ」
そうだったというのだ。
「恐ろしい現実ね」
「そして今もですね」
「日本の皇室は質素でね」
「お食事も質素ですね」
「何から何まで質素で」
言うまでもなく皇居もだ。
「それでもね」
「そうしたもので」
「河豚はそうだから」
「それで、ですね」
「私としてはね」
美食家のカバリエとしてはだ。
「あの国の皇室の様にはね」
「いられないですか」
「到底ね」
まさにというのだ。
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