神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十三話 新選組その六
「それなりの教養もな」
「備えていたのね」
「全くの無学やったかというと」
創作である様にだ。
「身分は低くても武士らしくな」
「それなりのものを受けていて」
「そんなアホでもな」
「なかったのね」
「そやけどな」
「その剣の腕がかえってで」
「その結果な」
アレンカールに残念そうに述べた。
「暗殺に用いられたんや」
「そやったのね」
「それで果てはああなったんや」
処刑されたというのだ。
「天寿を全う出来んかった」
「そやねんな」
「それで岡田さん処刑したん後藤象二郎さんか」
こう言ったのは羅だった。
「子供の頃からいじめてて」
「そんな筈ないやろ」
芥川はその話を即刻否定した。
「会ったことなかったわ」
「身分が地価がって住むとこ違ってか」
「擦れ違うことすらな」
それもというのだ。
「なかったわ」
「そやったか」
「そや、まして処刑首切りも専門職やったしな」
当時はだ、これは欧州でも同じだった。
「後藤さんがすることはな」
「なかったんやな」
「ほなあれか」
今度は施が言って来た。
「板垣退助さんが処刑場で暴れる岡田さんを後ろから刺した」
「それも絶対になかったわ」
芥川はこの話も否定した。
「有り得んかったわ」
「同じ様な理由でか」
「そや、板垣さんも身分高かったからな」
だからだというのだ。
「岡田さん達と住んでるとこ違って」
「処刑する立場でもなかったか」
「そやった、まして人を後ろから刺す様な」
そうしたというのだ。
「こともせん人やった」
「というか何でその人達悪人扱いするのは」
どうかとだ、メルヴィルは言った。
「やり過ぎか」
「事実とちゃうどころやないからな」
「もう捏造か」
「悪く言うとな」
「その域か」
「二人共そこまで酷くなかったしな」
人間としてだ。
「むしろ板垣さん討幕派で」
「あの人も志士やったか」
「中岡慎太郎さんと盟友同士やったわ」
「そやったな、そういえば」
「中岡さんが暗殺しに来て」
板垣当時乾退助といった彼をだ。
「その中岡さんを説得してな」
「盟友同士になったか」
「それで身分の低い相手にも寛容でな」
「ええ人やったんか」
「そや、卑怯なことはな」
それはというと。
「むしろ西郷さん以上にな」
「せん人か」
「その分世渡り下手やったかも知れんが」
それでもというのだ。
ページ上へ戻る