星河の覇皇
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第八十五部第二章 日本大使館その四十
「韓国料理を前にして」
「匂いが駄目と言って」
「貴族の所有地で市民に開放されている庭でチゲ鍋を食べても」
「その貴族が抗議してきたとか」
食べている連合軍の将兵達にだ。
「どうにも」
「その様ね」
「その匂いが凄くて」
そのせいでだったのだ。
「エウロパ市民が迷惑だと」
「そして通り掛かった子供に食べる様に言ったら」
「逃げたとか」
「そこまで抵抗があるのね」
「タイ料理も辛いですが」
連合では人気のある料理の一つである。
「しかし」
「韓国料理程はね」
「エウロパでは否定されませんでしたね」
「その様ね」
「辛くとも」
「韓国料理はやっぱりあの匂いがね」
「強烈なので」
それでなのだ。
「抵抗があるわね」
「そうですね」
「そこは仕方ないわね」
「こちらも勧めはしますが」
それでもなのだ。
「無理強いはです」
「こちらもしないわね」
「ですから」
それでなのだ。
「連合軍もです」
「そうしましたね」
「ええ、そして」
それでなのだ。
「エウロパ人は誰もね」
「韓国料理を食べませんでした」
「そうだったわね」
「韓国料理は確かに辛いですが」
それでもとあ、金は話した。
「栄養的にはです」
「かなりのものね」
「お野菜もお肉もお魚も多く食べますし」
「唐辛子と大蒜が多くてね」
「元気も出ます」
そうなるというのだ。
「ですから」
「食べていいわね」
「そうなのです」
「そうね、この河豚鍋もいいけれど」
それでもというのだ。
「韓国料理の方もね」
「いいと思います」
「そういうことね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「これは迷信ですが」
こう前置きしてだ、金はカバリエに話した。
「かなり熱を入れれば河豚の毒はなくなる」
「そうした迷信があるの」
「連合の一部では」
「そうなの」
「ですがこれは」
「河豚の毒はテトロドキシンよ」
このことからだ、金は話した。
「あの毒は熱を通しても消えないわ」
「そこが蛇や蠍の毒とは違いますね」
「蛇や蠍の毒は蛋白質だから」
それでというのだ。
「熱を通せば変質してね」
「毒はなくなりますね」
「そうなるわ」
実際にというのだ。
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