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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第161話

~トールズ士官学院・Ⅶ組~



「まさか並行世界のリィンが僕達の教官として授業をするなんて思いもしなかったね………」

「ああ。だがさすが現役の教官だけあって、わかりやすい授業だったな。」

「うんうん、成績の悪いボクでもわかりやすかったんだから、サラよりも授業が上手いかもしれないね~、ニシシ♪」

「後眼鏡が全然似合っていなかった。」

「いや、眼鏡は授業には関係ないだろう。」

「元々向こうの世界でも”灰色の騎士”として騒がれない為の変装だと言っていたけど、あれじゃ全然変装になっていないわよね、フフッ………」

「まあ、”C”や”蒼のジークフリート”と比べればまだまともな変装だとは思うがな。」

「そこで俺の”黒歴史”を掘り返して比較対象にするなよ!?」

エリオットとラウラの感想に頷いたミリアムはからかいの表情を浮かべ、静かな表情で呟いたフィーの感想にマキアスは呆れた表情で指摘し、アリサは苦笑し、ユーシスの指摘を聞いたクロウは疲れた表情で反論した。

「アハハ………リィンさんで思い出しましたけど……エレボニア王国にメンフィル帝国による”総督府”が置かれた事で懸念されていた、メンフィル帝国による戦後のエレボニア王国の政治・軍事を含めた様々な方面への過干渉がないのは、”総督”のリィンさんが過干渉を止めて下さっているからなんでしょうね………」

「それもあると思うが、リィンの補佐についているパント卿、そして数十年後に待っている大規模な宗教戦争に備えているメンフィル帝国の方針も関係しているのだろう。」

「セシリア将軍の話によるとパント卿の政治方針は”融和”の上、大規模な宗教戦争に備えているメンフィル帝国としてもエレボニアから戦争の件以上の反感を買う事は避ける方針なのだろうな。」

「理由を考えたら複雑だけど、メンフィル帝国の保護があるお陰で内戦と連合との戦争で財政状態が厳しいエレボニア王国の復興が進んでいるんだから、本来僕達はメンフィル帝国に感謝すべき立場なんだろうね……」

苦笑した後ある事を思い出して呟いたエマの推測に続くようにユーシスとラウラもそれぞれの推測を口にし、エリオットは複雑そうな表情で呟いた。



「メンフィルに対するエレボニアの大多数の連中の感謝云々はそれでいいとしても……エリオット、総督府が決めた”焦土作戦”を実行した親父さん達”第四”の”処罰”は本当にあれでよかったのか?」

「”焦土作戦”の件での”第四機甲師団”に降された”処罰”――――――”メンフィル帝国軍の監視付きによるクロイツェン州全土の復興活動”か………」

「自分達の町を滅茶苦茶にした張本人の”第四”に向けるクロイツェン州の人達の目は間違いなく厳しい上、下手したら罵倒や石が飛んでくるかもしれないね~。戦争中でのメンフィルによる復興活動である程度進んでいたとはいえ、それでも復興すべき部分はたくさん残っているだろうから、復興が完全に終わるのは多分”年単位”だろうから、その間”第四”はクロイツェン州の人々の”第四”への厳しい態度に耐え続けなければならないから、ある意味”生き地獄”だと思うよ~。」

「………それについては仕方ないと思っているし、多分”焦土作戦”を行った事に心から後悔している父さん達もその処罰内容を一番望んでいると思うんだ。」

「エリオット………」

「……………………」

真剣な表情で口にしたクロウの話を聞いてある事を思い出したガイウスは複雑そうな表情で呟き、ミリアムは疲れた表情で呟き、静かな表情で答えたエリオットの答えを聞いたラウラは複雑そうな表情を浮かべ、ユーシスは目を伏せて黙り込んだ。

「処罰といえば……君もあれで本当によかったのか?わざわざ君の方からアルバレア公爵家の”公爵”から”伯爵”への爵位降格と”四大名門”の家格剥奪の申し出をして………」

「何度も言っているが、その件について後悔はない。当主であった父上とその跡継ぎであった兄上が犯したエレボニアやアルノール王家に対する”大罪”を考えれば、本来ならばアルバレア家自体が”廃嫡”を命じられて当然の立場だが、メンフィル帝国の和睦条約の実行の為にアルバレア家がバリアハートとケルディックの領主を命じられた以上せめて爵位降格と”四大”の家格剥奪はしておかなければ、陛下達に顔向けできない上内戦と連合との戦争で傷つき、苦しんだ国民達への示しがつかないし、何よりも例え殿下達の寛大な御心遣いによって内戦と連合との戦争の件で犯したアルバレア家の大罪がお咎めなしになろうとも、俺自身が納得できん。」

「ユーシス………」

複雑そうな表情で指摘したマキアスの指摘に対して堂々と答えたユーシスの答えを聞いたガイウスは複雑そうな表情を浮かべた。



「えっと、それよりもメンフィル帝国の件で思い出したけどエレボニアに駐留予定のメンフィル帝国の”大使”の人物は意外な人で驚いたよね。」

「エレボニア王国に駐留するメンフィル帝国の大使――――――プリネ皇女殿下か。リベールでメンフィル帝国の大使を務めているリウイ陛下という例を考えれば、決しておかしくない人選ではあると思うが……」

「俺の予想だが公女がメンフィルに指名したから、プリネ皇女が大使としてエレボニアに派遣される羽目になったんだと思うぜ。プリネ皇女は”灰獅子隊”で共に行動したから面識はあるし、”殲滅天使”と比べれば交渉しやすい相手でもあるだろうからな。」

「確かにミュゼならありえそう。何せリィンの婚約者の内の一人になった事でメンフィルからすれば身内も同然だし、大戦で得たメンフィルからの信用もあるから、そんな自分ならメンフィルもある程度の希望は聞いてくれると判断してもおかしくない。」

「いや、幾ら彼女でもそこまで厚かましい事はしないと思うんだが………」

重苦しくなっていた空気を変える為に話を変えたエリオットの話に続くようにラウラは静かな表情で呟き、クロウの推測にジト目で同意したフィーの話を聞いたマキアスは呆れた表情で指摘した。

「何にせよ、エレボニアに派遣されることになるメンフィルの大使がプリネ皇女になった事はエレボニアとしてはラッキーだよね~。プリネ皇女は元々オリヴァルト皇子と親交はあったし、連合との戦争の時もⅦ(みんな)が黒の工房の本拠地を探す時も”剣帝”と”魔弓将”をみんなに加勢するように手配してくれるくらいにⅦ組にも友好的な人物だから万が一エレボニアに何らかの有事があった際に、メンフィル方面で協力してくれそうな有力な人物だし。」

「ミリアムちゃん……幾らなんでもその考えはプリネ皇女殿下に対して不敬ですよ……」

「それに”エレボニアに何らかの有事があった際”だなんて、縁起でもない事を言わないでよね。」

ミリアムが呟いた言葉を聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいている中エマは疲れた表情で指摘し、アリサはジト目で指摘した後無意識に仲間達と共に空席――――――リィンとセレーネの席を黙って見つめた。



「……ねえ、ミリアム。セレーネ達の進路とか、アルティナ経由で聞いたりしていないの?」

「うん、聞いているよ~。」

「ええっ!?」

「あ、あのなあ………既に知っているんだったら、何ですぐに僕達にも教えてくれないんだ!?」

「フン、そのガキの情報の小出しは今更だろうが。」

ある事が気になって訊ねたフィーの疑問に対していつもの調子で答えたミリアムの答えを聞いたエリオットは驚き、呆れた表情でミリアムに指摘するマキアスにユーシスが鼻を鳴らしてその指摘が無駄である事を口にした。

「アハハ、別にわざと黙っていた訳じゃないんだけどね~。アーちゃんの話だとセレーネは来年メンフィルの本国で訓練兵として1年間軍事を学ぶそうだよ~。」

「メンフィルの本国で訓練兵として軍事を学ぶという事は………」

「トールズに来る前のかつてのリィンや黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の連中の後輩になるって事か。………にしても、あのセレーネが軍事を学ぶだなんて意外過ぎる進路だな?」

ミリアムの説明を聞いたラウラは真剣な表情を浮かべ、静かな表情で呟いたクロウは意外そうな表情を浮かべた。

「何でも将来はリィンを秘書として軍事・政治の両方の方面で支えられるように、まずメンフィルの本国で軍事を一から学ぶ事にしたそうだよ~。政治に関しては訓練兵を卒業した後にリィンと一緒に”総督補佐”に教えてもらえるってアーちゃんが言ってたよ。」

「エレボニア総督もだがクロイツェン統括領主としてのリィンを傍で公的な立場で支える為には、文武両道でなければならないと判断したのだろうな、セレーネは。」

「ええ、セレーネらしいわね。でも、そうなると………ひょっとしたら、セレーネはガイウスの来年のクラスメイトになるかもしれないわね。」

「フフ、そうだな。」

ミリアムの話を聞いたユーシスは静かな表情で呟き、アリサは微笑んだ後ある事を思い出して仲間達と共にガイウスに視線を向け、視線を向けられたガイウスは静かな笑みを浮かべて頷いた。

「まさかガイウスの進路が、異世界――――――メンフィルの本国の留学――――――それも、かつてのリィンと同じ訓練兵という形での留学だなんて最初に話を聞いた時は驚いたよね……」

「元々異世界の事も知りたかったからな。機会があればトールズの時のように異世界に直接行って異世界の事について学びたいと考えていたのだが……連合との戦争の件で知る事ができた異世界の人々や”力”の一端、そして何よりも友人(リィン)の同級生――――――黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)との出会いが、オレの異世界を知りたいという想いを強くしたんだ。黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)にはリィンのようにかつてはエレボニア人であった者達もそうだが、先祖に”ノルドの民”がいる者もいたからな。」

「そう……」

「……それもトールズの件同様、故郷であるノルド高原を守る為か?」

苦笑を浮かべているエリオットの言葉に続くように静かな口調で答えたガイウスの説明を聞いたアリサは頷き、ユーシスは静かな表情で訊ねた。



「それもあるが、リィン達の今の祖国でもあるメンフィル帝国をより深く知りたいんだ。――――――リィン達の友人として。」

「フフ、ガイウスらしいな。」

ガイウスの話を聞いたラウラは静かな笑みを浮かべて呟いた。

「………ただ、その為とは言え殿下達には相当な無理をして頂いた事は申し訳ないと思っている。殿下達の今の立場では、メンフィル帝国に殿下達の要望を通す事は厳しかっただろうからな。」

「別にガイウスはそこまで気にしなくていいと思うよ~。ガイウスといいんちょの留学の件でのメンフィル帝国との交渉の際にミュゼに仲介してもらったそうだから、その時に機会があれば王子達に”貸し”を幾らでも作っておきたいミュゼにも説得を手伝ってもらっただろうからね~。」

「君はいい加減オブラートに包んだ言い方を覚えるべきだぞ……」

僅かに複雑そうな表情を浮かべて呟いたガイウスに呑気な様子で指摘したミリアムの指摘にその場にいる全員が冷や汗をかいている中マキアスが呆れた表情でミリアムに指摘した。

「ちなみにそのメンフィル帝国の本国の訓練兵の生活や授業等の資料で気づいたのだが……訓練兵の学級は4つあって、その4つの学級の紋章は黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)を含めてどれもオレと(ゆかり)がある学級なんだ。」

「ガイウスさんと縁ある紋章の学級ですか……?黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)以外の3つの学級はどんな紋章なのでしょうか?」

ガイウスの話を聞いてある事が気になったエマは興味ありげな様子で訊ねた。

「白鷹を紋章とする”白鷹の学級(アドラークラッセ)”、灰色の狼を紋章とする”灰狼の学級(ヴォルフクラッセ)”、そして金色の鹿を紋章とする”金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)”だ。」

「”白鷹”に”灰狼”、そして”金鹿”………言われてみれば”黒獅子”も含めてどれもガイウスと縁ある紋章だな。」

「うん。”白鷹”はガイウスの相棒の鷹で、”黒獅子”はトールズの紋章の”有角の獅子”、灰色の狼の”灰色”は”灰色の騎士”の二つ名で呼ばれているリィンや”灰の騎神”のヴァリマール、そして”金色の鹿”の”金色”はエレボニアの国旗の紋章の”黄金軍馬”だね。」

エマの疑問に答えたガイウスの説明を聞いたラウラとエリオットはそれぞれ興味ありげな様子で呟いた。



「更にどの学級の担任までは決まっていないが、それぞれの学級の担任としてエフラム皇子殿下の親衛隊長のデュッセル将軍、ヒーニアス皇子殿下の親衛隊副長のギリアム中将、リフィア皇女殿下の親衛隊副長のシグルーン中将、そしてあのセシリア将軍と同じ”皇帝三軍将”の一人であるパーシバル将軍に決まっていると資料に書いてあったな。」

「ちょっ、どの担任も”将官”クラスで、しかも皇族の親衛隊長クラスじゃん!?」

「それもどの人物も連合とエレボニアの戦争に直接参戦していたか、参戦していた人物と関りがある人物だな。」

「セシリア将軍やパント卿の件といい、メンフィルの人材の豊富さは相変わらず凄まじいな……」

「しかも王子達の話によると国力もエレボニア――――――いや、ゼムリアからすればチートクラスって話だろう?そんなに人材もそうだが国力も豊富なのに、ゼムリア側のメンフィルの領土どころかエレボニアやクロスベルの支援も必要としているとか、どんなとんでもない戦争になるんだろうな、メンフィルが確信している数十年後に起こる宗教戦争とやらは。」

「その宗教戦争が勃発した際に、連合とエレボニアの戦争での活躍で”将軍”に昇進して、”メンフィルの英雄”の一人としてメンフィル帝国からも称えられるようになったリィン達がメンフィルから求められるのは”最前線への参陣じゃなくて、戦争の影響がないゼムリア側からの後方支援”であるのが幸いよね……」

「うん………」

ガイウスの話を聞いたミリアムは驚きの表情で声を上げ、ユーシスは真剣な表情で呟き、マキアスは疲れた表情で溜息を吐き、呆れた表情で呟いたクロウの話に続くように複雑そうな表情で答えたアリサの話にエリオットも複雑そうな表情で頷いた。



「メンフィル帝国への留学で思い出したけど、いいんちょの進路も意外だったよね。――――――メンフィル帝国にある魔術学院への留学だなんて。てっきり、”本来の歴史”の時のようにエリンの里に戻って一人前の魔女としての修行をすると思っていたけど。」

「もうヴィータ姉さんを追いかける理由もなくなりましたから、魔女として一人前になる修行を急ぐ必要もなくなったという事もありますが………”全ての元凶”が滅ぼされた事で”騎神”や”起動者(ライザー)”の”役目”、そして”魔女”の”使命”もなくなりました。――――――だからこそ、”役目”から解放された事で自分達の人生を歩めるようになった騎神や起動者達を見守り、彼らに何か困った事があればそれを解決する為に支え、協力するのが”黄昏を超えた世界である今の世界の魔女の使命”だと私は考えて、私が導いた起動者であるリィンさんの今の祖国であるメンフィル帝国を学ぶ為にもメンフィル帝国の本国――――――異世界への留学を決めたんです。勿論異世界の魔法体型や魔法技術の発展具合を知りたいという魔女としての好奇心もありますが………」

「アハハ、魔女としての責任感が人一倍強いエマらしい理由だね。」

「全くだ。ヴィータにも委員長のその謙虚な部分を少しは見習ってほしいものだぜ。――――――ちなみに、魔女としての修行よりも異世界での留学を優先するなんて話、ロゼ婆さんはもう承諾したのか?」

フィーの疑問に対して答えたエマの説明を聞いたエリオットは苦笑しながら感心し、エリオットの言葉に頷いたクロウはある事を思い出してエマに訊ねた。



「ええ。お祖母(ばあ)ちゃんにも理由を説明したら納得してくれましたし、お祖母(ばあ)ちゃんも”黄昏”を乗り超え、”全ての元凶”が滅んだ事で魔女の眷属(ヘクセンブリード)も変わらなければならないと判断し、魔女の眷属(ヘクセンブリード)も異世界のことについて学ばなければならないと考えているようなんです。」

「”変わる必要がある”か………新政府や王家も総督府による協力があるとはいえ戦後の国内の復興や信用回復も少しずつ進んでいるという話だし、貴族達も復興や信用回復に協力的だと聞く。皮肉な話ではあるが、”黄昏”の件がエレボニアを良い方向に変える切っ掛けとなったようだな。」

「そうだな…………それでミリアム。セレーネの進路についてアルティナから聞いているという事は、エリスや王女殿下、アルティナ自身の進路についても聞いているのか?」

エマの話に続くように真剣な表情で答えたユーシスの話に頷いたラウラはミリアムに質問を続けた。

「うん、勿論聞いているよ~。エリスと王女殿下は帝都になったクロスベルに来年開校する事になっているクロスベルの学院に留学するつもりだそうだよ~。」

「クロスベルの………やっぱりリィンとセレーネのように、エリスさん達もアストライアに戻るつもりはないみたいね………」

「……無理もない。王女殿下はオリヴァルト殿下達の懸念――――――メンフィル帝国側として戦い、エレボニアを敗戦させた件でアストライアに限らずエレボニアの学術機関の関係者達から逆恨みをされてもおかしくない立場だし、エリスは(リィン)が”エレボニア総督”である件を考えれば悪目立ちしてエレボニアの学術機関には居辛い立場になる可能性が十分に考えられるからな………」

「それらの件を考えると外国――――――それも建国時の恩があり、戦争時は連合を組んだクロスベルの学術機関なら二人にとっては安全だろうし、悪目立ちする事なく学生生活を過ごす事ができるんだろうな。」

「…………………………セレーネ達の件を考えれば、アルティナの進路もメンフィルかクロスベルの学術機関への入学か?」

ミリアムの話を聞いたアリサとラウラ、マキアスはそれぞれ複雑そうな表情を浮かべて推測を口にし、目を伏せて黙り込んでいたユーシスは目を見開くと静かな表情でミリアムに確認した。



「ううん、アーちゃんは将来リィンの側近の一人になる為に来年トールズに入学してトールズの卒業後はメンフィルの”本国”でセレーネやガイウスみたいにメンフィルの訓練兵として学ぶつもりだそうだよ~。」

「え………じゃあ、アルティナは来年トールズの新入生として入学するつもりなんだ。」

「王太子殿下やクルトもそうだけど、サラや新学院長の話だとアッシュやミュゼも来年トールズの新入生として入学するつもりらしいから、これでユウナもトールズに留学してくれば”本来の歴史”通り”新Ⅶ組”が勢揃いする事になるね。」

「さすがに”本来の歴史”と違ってトールズ――――――わざわざクロスベルからエレボニアに留学してくる理由がないユウナ君までトールズに来る可能性は低いと思うが………なんにせよ、”二代目Ⅶ組担当教官予定”のクロウは責任重大になるな。王太子殿下もⅦ組になる事を希望しているとの事だし。」

「全くだな。何せユーゲント陛下の跡取りたる王太子殿下に現状のエレボニアで唯一メンフィルとクロスベルの両帝国からの信頼が厚い人物にしてエレボニアの貴族達を纏め上げている立場たるミルディーヌ公女、エレボニアの”二大武門”の片翼たる”ヴァンダール家”の次男に”エレボニア総督”にして将来のクロイツェン統括領主たるリィンの側近候補の担任に求められる責任は並大抵のものではないだろうからな。」

「しかもアッシュの性格を考えたら、間違いなく何らかのトラブルを起こすでしょうから、私達の時以上に大変かもしれないわよね、新Ⅶ組の担任は。」

ミリアムの説明を聞いたエリオットは目を丸くし、口元に笑みを浮かべて呟いたフィーの推測に苦笑しながら指摘したマキアスはからかいの表情を浮かべてクロウに視線を向け、マキアスの意見に同意したユーシスもマキアスに続くようにからかいの表情を浮かべてクロウに視線を向けて指摘し、アリサは苦笑しながら推測を口にしてクロウに視線を向け、マキアス達に続くようにその場にいる全員はクロウに視線を向けた。



「ぐっ………つーか、王太子殿下とクルトはともかく、他のメンツはⅦ組になるとまだ決まった訳じゃねぇだろうが!?」

「うーん、そうなんだけど、”本来の歴史”の事を考えたらそうなると思うんだよね。」

「”本来の歴史”を知っているオリヴァルト皇子もそうだけど、ミュゼが新学院長に来年のⅦ組のメンツがそうなるように手配するかもしれないね~。」

その場にいる全員に視線を向けられたクロウは唸り声を上げた後反論し、クロウの反論に対してエリオットは困った表情で、ミリアムは口元に笑みを浮かべてそれぞれ指摘した。

「それよりも先に心配なのはクロウが教官になれるかどうかだろう。」

「クロウを含めた”帝国解放戦線への処罰”の件を考えればクロウがトールズの教官に就任する事は決定事項ではあるが、トールズの教員試験の合格すらできなけば何らかのペナルティーはあるかもしれんな。」

「何せ今の学院長はあの”黄金の羅刹”なのだから、”黄金の羅刹”にとっての主でもあるミルディーヌ公女の面子を潰そうとした事や”トールズの学院長として”も、教員試験の合格ができないのにトールズの教官に就任させなければならないクロウには何らかのペナルティーを科す可能性は十分に考えられるな。」

「並行世界のリィンは現役の教官なんだから、教員試験に受かる為に並行世界のリィンがいる内にリィンとサラから教員試験関連での授業をしてもらったら?」

「だからいい加減そのネタで俺をからかうのはやめろっつーの!」

ジト目のマキアスの意見に続くようにラウラとユーシスもそれぞれ推測を口にし、フィーはからかいの表情でクロウを見つめて指摘し、仲間達からの指摘に冷や汗をかいたクロウは疲れた表情で声を上げた。



こうして……Ⅶ組はようやく戻ってきたトールズでの何気ない日々を過ごし続け、再開された”特別実習”ではエレボニアの復興に協力していた。



そして3ヶ月後――――――並行世界のリィン達を元の世界に帰す日がついに訪れた――――――



 
 

 
後書き
次回は”本来の歴史”の一つである閃Ⅳノーマルエンド後の世界に到着したら、いきなり創編の終盤に突入し、創篇ラストダンジョンである”逆しまのバベル”への突入までの話になると思います 
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