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X ーthe another storyー

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第四十一話 好意その二

「そうよ」
「そうでしょうか」
「そうよ」
「母さんを殺しても何も感じていませんし」
 今現在というのだ。
「それでは」
「どうかしら。表ではそう思っていても」
「裏ではですか」
「ええ。けれどね」
 息子の目を見て言った。
「終わらせてもいいのよ」
「終わらせるとは」
「だから桜塚護をね」
 このこと自体をというのだ。
「終わらせてもね」
「いいのですか」
「そうよ。星ちゃんが殺されても」
「僕が好きな人に」
「その時に嘘吐きの星ちゃんならわかるわね」
「そういうことですか」
「ええ、星ちゃんはその好きな人を大事にしてね」
 こう言うのだった。
「そうしてね」
「そうすればですか」
「終わるわ。私は星ちゃんを愛してしまって」
「僕に殺されて」
「終わらせられなかったけれど」
 それでもというのだ。
「もうね」
「僕がですか」
「終わらせることもね」
「考えることですか」
「ええ、じゃあ幸せになってね」
 身体が次第に冷たくなっていく、その中での言葉だった。
「私の分まで」
「僕が母さんを殺したんですが」
「それでも願うわ。愛している息子だから」
「父さんにもそう言われたんですか」
「言われたわ、愛される相手に殺される」
 また静かに微笑んで話した。
「悪くないわ。けれどね」
「終わらせることもですか」
「考えてね。じゃあさよなら」
 最後まで微笑んでだった。
 母は去った、そしてだった。
 彼は桜塚護となった、その時のことを思い出してだった。
 甘味屋に入るとそこで善哉を食べつつだ、彼はこのことも二人との一年の生活のことも話した。その結末のことを。
 最後まで聞いてだ、草薙は腕を組み強く目を閉じて言った。
「辛かったな、あんたも」
「いえ、何も感じていませんが」
「嘘だな」
 草薙は即座に否定した、今の彼の言葉を。
「それはな」
「嘘ですか」
「聞いて見てわかるさ」
 そうすればというのだ。
「あんたの目までな」
「僕のですか」
「いつもの微笑みだけれどな」
 それを浮かべているがというのだ。
「目にほんの少しな」
「出ていますか」
「痛かったことがな」
「さて。僕は人の心の痛みはわからないですが」
「自分でそう言う人は違うんじゃないですか?」
 哪吒は首を傾げさせて言った。
「実は」
「そうね」
 颯姫は哪吒のその言葉に頷いた、二人と遊人がお汁粉で他の面々は善哉を食べてそのうえで楽しんでいる。 
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