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それは双六だ

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第二章

「やったな」
「そうだったのね」
「しかしな」
 ここでこうも言ったのだった。
「復員してからな」
「それからすぐに私と結婚してね」
「それからは遊びといったら」
 それはというと。
「麻雀だったな」
「あなた好きだからね、麻雀」
「復員してから知ってな」
 それでというのだ。
「それからな」
「はじめたのね」
「それでずっとな」
「働いている間は」
「パチンコか釣りかな」
「麻雀だったわね」
「今もどれもやってるな、それでな」
 妻にあらためて話した。
「今観たらな」
「人生ゲームは双六ね」
「最初観てそう思ってな」
 そうしてというのだ。
「ずっと観てもな」
「思ったのね」
「ああ、双六にしかな」 
 それこそというのだ。
「観えないんだがな」
「けれどあの子達は違うって言うのね」
「人生ゲームだってな」
「そうなのね」
「本当に違うのか」
 首を傾げさせつつ言うのだった。
「確かめたいな」
「だったらやってみたらいいでしょ」
 妻は即座に答えた。
「あなたがね」
「実際にか」
「何でも実際にやってみたらわかるでしょ」
「そうだな」 
 夫もそれはと答えた。
「それじゃあな」
「やってみましょう」
「ああ、ところで今日日本シリーズやってたな」
 夫はここで話題を変えてきた。
「どうなったんだ」
「さっきテレビのニュースでやってたわ」
「どっちが勝ったんだ」
「西武よ、七戦目だったけれど」
「勝ったか、じゃあ日本一だな」
「広岡さん胴上げされてたわ」
 監督の彼がというのだ。
「そうなっていたわ」
「そうなんだな、まあわし等には関係ないな」
「大阪に西武ファンっていないわね」
「元々九州のチームだろ」
 西武はとだ、夫は妻に言った。
「あそこは」
「西鉄よね」
「それが親会社が代わってな」
 そうなってというのだ。
「太平洋とかクラウンになってな」
「西武になって」
「そして埼玉に移ってな」
 そのうえでというのだ。
「西武になっただろ」
「あそこはそうね」
「関西に殆ど縁ないからな、ただな」 
 それでもというのだった。 
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