魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
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【はじめに】この作品をお読みいただく前に。
【その2】次元世界の歴史設定について。(前編)
(新暦元年までの年表)
それでは、ここで、オリジナルの設定も含めて、古代ベルカとミッドチルダの歴史を大雑把にまとめておきましょう。
【皆様からは「設定厨」とか言われてしまいそうですが。(苦笑)】
当然ながら、「公式の設定」とは幾つか食い違いもあるのですが、この作品ではおおよそ以下のような設定で行きたいと思います。
まずは、暦法の問題ですが……。
「SSX」の終盤では、イクスヴェリア自身が『(そんな簡単なことが解るようになるまで)千年以上もかかってしまいました』と言っているので、彼女が生まれたのは、新暦78年を起点として、少なくとも1000年以上は前のことのはずです。
一方、無限書庫の資料によれば、冥王イクスヴェリアは『先史224年の生まれ』ということになっておりますので、この「先史」という暦法(以下、「古代ベルカ歴」と改称)の「元年」は、新暦78年から数えて、少なくとも1223年以上は前(新暦元年から数えれば、少なくとも1146年以上は前)のことだろうと考えられます。
そこで、この作品では、150年あまりの余裕を持たせて、『新暦の「前1298年」が古代ベルカ歴の「元年」である』という設定を採用します。
さらに、「リリカルなのはStrikerS サウンドステージ03」では、シスター・シャッハが〈ゆりかご〉について『300年以上も前のものです』と述べているので、「最後の〈ゆりかご〉の聖王」であるオリヴィエは、新暦75年から数えて、三百数十年前に亡くなった人物なのだろうと(まだ丸400年は経っていないのだろうと)考えられます。
事実、TVアニメ版のStrikerS第22話でも、シスター・シャッハは『ヴィヴィオの体を調べた結果、彼女の元になった人物は「300年(以上)前の人物」だと解った』という意味内容の発言をしています。
しかし、Vividのコミックス第6巻では、アインハルトがコロナの「身体自動操作」などに対して、明らかにオリヴィエを意識しながら、『(覇王流が)600年前から取り組み続けた課題だった』と述べており、年代が相互に矛盾しています。
そこで、一体どちらが正しいのかと考えてみると……。
同8巻では、ジークリンデに関して『最低でも500年分の戦闘経験が蓄積されている』と語られていますが……『エレミアの手記』を読む限りでは、オリヴィエやクラウスの生きていた時代には、すでにそれなりの経験が蓄積されていたようです。
(同11巻で、ジークリンデの祖先であるヴィルフリッドは、アインハルトの祖先であるクラウスに対して『エレミアの技、ご覧にいれましょう』と語っています。)
よって、この作品では、「リリカルなのはStrikerS サウンドステージ03」の方の設定を採用し、オリヴィエが〈ゆりかご〉に乗ったのは、古代ベルカ暦で1016年(新暦で前283年。JS事件のおよそ360年前)の出来事であったものとします。
そして、この作品では、『シュトゥラ王国には、いわゆる「覇王クラウス」より240年ほど前の時代に「武王クラウス」という名前の王様がいて、その人物が格闘技法としての「覇王流」を創始した。そして、「覇王クラウス」はその技法を最終的に完成させたからこそ、後に「覇王」と呼ばれるようになったのだ』という設定を採用します。
【つまり、同2巻で、コロナが『そもそも(クラウスとオリヴィエは)生きた時代が違うって説が主だよね』と語っていたのも、『後世の歴史家たちが、長らく「武王クラウス」と「覇王クラウス」を混同していたからだ』という設定です。】
以上の点を踏まえた上で、独自の設定も加え、「ベルカとミッド」を中心にして〈次元世界〉の歴史を改めて年表の形にまとめると、おおむね次のようになります。
【ベルカ世界の歴史に関しては、おそらく、原作者様の脳内設定からは「相当にかけ離れた代物」になってしまっているだろうとは思いますが、何とぞ御容赦ください。
なお、以下の年表では暦法をすべてミッドで言う「新暦」に統一しておきましたが、この作品は「新暦95年」が舞台ですので、「新暦で前何年」という表現を「今から何年前」という表現に変える場合には、その数字に94(およそ100)を加算することを、どうぞお忘れなく。】
・前12000年頃 「原初の戦い」が終結。以後、〈始まりの世界アルハザード〉が一万年に亘って〈次元世界〉全体を統治した。
→人類世界の諸文明は(すでに滅亡したものまで含めて)すべて、これ以降に「人外の存在」である〈アルハザードの民〉が人類に授けたものであると伝えられる。
・前3000年頃 〈次元世界〉全体規模で、歴史の〈大断絶〉が起きた。
→具体的に何があったのかはよく解らないが、『これ以前から、独自に「次元航行技術」を保有していた』と伝えられる「有力な世界」は、みな揃ってこの時期に没落し、(少なくとも一旦は)例外なく「無人世界」と化した。
(実のところ、現存する「有人世界」の中には、「これ以前の『次元世界全体』の歴史」が正しく伝わっている世界はひとつも無く、今では、ほとんどの有人世界において、この〈大断絶〉が事実上の「歴史の起点」とされている。)
→この直後に、それまでは無人だった多くの世界に「初めて」人間が住み始めた。
(一説によれば、〈アルハザードの民〉が何らかの目的で、彼等を別の世界からまとめてそれらの無人世界へと移住させたのだと言う。)
実のところ、ミッドチルダやベルカやローゼン(この作品の「第一部」の舞台)などの諸世界に初めて人間が住み始めたのも、この時期のことなのである。
(また、この時期を境に、〈アルハザードの民〉は人類の前に直接にその姿を見せることは無くなったのだと言う。あるいは、彼等はこの頃から少しずつ「撤退」の準備を進めていたのかも知れない。)
→また、〈アルハザードの民〉は、この頃にはすでに〈本局〉の中核部分や〈無限書庫〉などの建設をも完了していた。
【全く個人的な感想なのですが、『古代ベルカや現代ミッドの技術レベルで、〈無限書庫〉の建設が可能である』とは、どうしても思えなかったので、この作品では、こういう設定にさせていただきました。
もちろん、実際には、これはもう少し前の時代の出来事だったのかも知れませんが、ともあれ、Vividのコミックス第9巻には、〈無限書庫〉について、『管理局の創設以前より存在していた』と明記されています。
そして、〈無限書庫〉自体が物理的には〈本局〉の内部に存在しているはずなので、当然ながら「今では〈本局〉と呼ばれている巨大な構造物の中核部分」もまた、それと同じ時代に(つまり、管理局創設以前の時代に)造られたものであると推測されます。
その点からも、本局そのものを「ミッドチルダ製」と考えることには「歴史的に」無理があり、また、ベルカ世界はミッドや本局からは相当に離れているはずなので、これを「古代ベルカ製」と考えることにも「地理的に」無理があると思います。】
・前2000年頃 アルハザードは「一万年の統治」を終えて、いよいよ本格的に〈次元世界〉全体からの「撤退」を始めた。
→だが、『一体「なぜ」撤退したのか? そして、一体「どこへ」撤退したのか?』に関しては、今もって全く不明である。
・前1800年頃 アルハザードは〈次元世界〉全体に幾つもの〈遺産〉を残したまま、最終的に「撤退」を完了した。
→その後、幾つもの有力な世界が「アルハザードなき後の次元世界」に覇を唱えようとして勢力を拡大。〈次元世界〉全体に戦乱が広がっていった。
・前1500年頃 ベルカ聖王家が、禁断の兵器である〈ゆりかご〉の使用を決断した。
→当時の〈ルヴェラ〉や〈サウティ〉や〈バログドゥ〉など、「次元世界の覇者」になろうとしていた幾つかの世界は、『ことごとく「最初の〈ゆりかご〉の聖王」によって討ち滅ぼされた』と伝えられる。
これら一連の戦いは〈次元世界大戦〉とも呼ばれているが、実際には、基本的な技術力に極めて大きな格差があり、特に〈ゆりかご〉の「主砲」は全く文字どおりの意味で「無敵」だったため、いずれも完全に一方的な「殲滅戦」だった。
(この戦いの直後に、「最初の〈ゆりかご〉の聖王」は死去。今も大半の世界において、これ以前の時代は「先史」と、これ以降の時代は「古代」と呼び分けられている。)
【なお、この頃までは、真竜や飛竜のような〈大型竜族〉はまだ多くの世界に生息していたのですが、その大半がそれぞれの世界で軍事的に利用されていたため、それらの〈大型竜族〉はあらかた〈ゆりかご〉によって滅ぼされてしまいました。
その結果、〈大型竜族〉は今や幾つかの世界で細々と生き残っているだけの「絶滅危惧種族」となっており、実際、「主要な世界」(つまり、次元世界の〈中央領域〉にある22個の管理世界)に限って言えば、何種類もの〈大型竜族〉がまとまって生き残っている場所は、もう〈第6管理世界パルドネア〉のアルザス地方だけになっています。
(公式には「第6管理世界の名称」は特に設定されていないようなので、独自に命名させていただきました。また、この作品では『アルザスは一般に「地方」と呼ばれてはいるが、実際には、地球で言うオーストラリア大陸のような、一個の独立した「小型の大陸」である』と考えておくことにします。)
そのため、〈中央領域〉では今や「アルザスの」という単語は、ほとんど「飛竜のような大型の竜」にかかる「枕詞」のように用いられています。
Vividのコミックス第2巻でも、アインハルトがフリードを見て驚き、思わず『あれは アルザスの飛竜……!?』と独語していますが、この「アルザスの」もただの枕詞であって、彼女も決して一見しただけで『あれは、他の世界の飛竜ではなく、アルザス産の飛竜である』と見抜いた訳ではありません。
また、管理世界でなくてもよければ、〈中央領域〉の中でも〈第9管理外世界コリンティア〉と〈第10無人世界アペリオン〉には、飛竜などの〈大型竜族〉が今も数多く生き残っています。また、せいぜい鰐のようなサイズの、知性に乏しい〈小型竜族〉ならば、さらに多くの世界に今も普通に生息しており、ミッドチルダにすら、「第四大陸」には何種類かの〈小型竜族〉が普通に生息しています。】
【ちなみに、ここで言う「竜族」とは、「脊椎を持つ六肢型の魔法生物」全般の総称ですが、これが生物学的な意味で本当に「単系統群」なのかどうかは、まだよく解っていません。
六肢型とは、『手や足や翼が合わせて六本ある』という意味で、我々人類をも含めて通常の陸上脊椎動物はすべて四肢型ですから、これとは全く系統の異なる生物群です。
(ごく稀に、第二肢が退化して、外見上は四肢型になった竜族もいるようです。)
また、魔法生物とは、「すべての個体が『当然に』リンカーコアを持っている生物種」のこと。単系統群とは、「単一の共通祖先から分化したグループ全体」のことです。
つまり、「共通の祖先にまで遡ると、その子孫の中には別のグループまで含まれてしまうような分類群」は、「単系統群」ではありません。
具体的に言えば、『鳥類や哺乳類は単系統群だが、爬虫類は(ワニ類・トカゲ類・ヘビ類・カメ類の共通祖先まで遡ると、その子孫の中には鳥類や哺乳類まで含まれてしまうので)単系統群では無い』ということになります。】
→この〈次元世界大戦〉の後、多くの世界で文明は凋落し、人々は自分たちの世界のことだけで手一杯になってしまい、結果としては次元航行そのものが衰退していった。
ベルカ世界でも、この一件によって「先史ベルカ時代」と呼ばれる〈栄光の時代〉は正式に終了した。以後、およそ200年に亘って〈空白の時代〉(大半の世界で歴史的な資料がろくに残されていない時代)が続いた。
なお、その200年の間に、ベルカ世界では一気に寒冷化が進み、海面が下降して、「中央島」とその四方に隣接していた「四つの小型の大陸」がすべて地続きとなって、巨大な〈中央大陸〉が形成された。
【どうやら、ベルカ世界も地球と同じように「氷期と間氷期」を繰り返しているようなので、十万年単位の長い目で見れば、ここは『上昇していた海面が本来の高さに戻り、巨大な〈中央大陸〉が復活した』と表現するべきところなのかも知れません。】
→後に、その大陸全土で何らかの戦いが起きたようだが、詳細は不明である。
(あるいは、伝説に語られる「巨人族との戦い」とは、この戦いのことか?)
【なお、ベルカでも、ミッドチルダと同様、人類は「ただ一つの大陸」にだけ居住して、他の大陸には全く居住していなかったようです。】
・前1298年 古代ベルカ歴、元年。
→何らかの戦いによって〈空白の時代〉が終了し、後に「古代ベルカ時代」と総称されることになる「1080年間」が始まった。
(二人目の〈ゆりかご〉の聖王、死去。これから300年ほどは平和な時代が続いた。)
次元世界では、この頃から再び次元航行が盛んに行われるようになり、これ以降、ベルカ世界は720年余に亘って「次元世界における中心世界」となった。
【中心世界とは言っても、現代でも「ミッド文化の影響力」が必ずしも〈辺境領域〉にまでは充分に及んでいないのと同じように、その当時も「ベルカ文化の影響力」は必ずしも南方の諸世界にまでは及んでいませんでした。
(次元世界は、全体としては「平たい円盤状の領域」であり、現在では便宜的に、ミッドチルダを中心として、そこから見たベルカの方角を「北」と呼んでいます。)
もう少し具体的に言うと、当時、〈ベルカ〉の勢力圏は、今で言う〈中央領域〉の南端部のあたりにまでは拡がっていましたが、それよりもさらに南方の諸世界は、ベルカとはまた別の「遺失世界」である〈ジェブロン〉や〈ズムド〉などの勢力圏だったのです。
(なお、〈古代ジェブロン帝国〉は、次元世界大戦で滅び去った〈先史ルヴェラ文明〉の「敵対的な」継承者であり、同様に、〈古代ズムド王国〉は〈先史サウティ文明〉の「正統な」後継者でした。)】
・前1100年頃 この頃から、ベルカ世界では『先史時代の技術を再現しよう』とする試みが本格的に始まったが、そうした技術の多くは、後に軍事目的に転用されてしまう結果となった。
→この時期に(正確に言えば、前1066年・古代ベルカ歴233年に)、ガレア王国では、末の王女イクスヴェリア(9歳)が不老不死の〈冥王〉と化した。
(なお、ベルカ聖王家がミッドチルダを始めとする十二世界を「聖王家直轄領」としたのも、この時期のことである。)
・前1000年頃 ベルカ世界で、第一戦乱期が始まる。
【以前は、この頃からオリヴィエの時代まで七百年余の長きに亘って一連の「古代ベルカ戦争」が延々と続いていたかのように考えられていましたが、その後、古代ベルカ史の研究が進んだ結果、今では、『実際に「世界規模の(大陸全体規模の)戦乱」があった時期(戦乱期)は、三つに分かれており、それら三つの「戦乱期」の間には二つの比較的平穏な時代(中間期)が存在していた』と考えられています。
(なお、「第一中間期」は、前940年頃からの、およそ240年間。「第二中間期」は、前560年頃からの、やはり240年ほどですが、当然ながら、それらの中間期にも「地域的な紛争」は常に存在していました。)
そして、この「第一戦乱期」を終わらせたのも、やはり〈ゆりかご〉の力でした。
無論、当時の聖王家にとっては、それもまた「やむを得ない判断」だったのでしょうが、その行為は結果として「悪い先例」となってしまいました。
つまり、この一件によって、諸王はみな、『戦乱を終わらせるのは、いつだって〈ゆりかご〉の力だ。……ということは、逆に考えれば、〈ゆりかご〉が出て来るまで、我々は戦い続けていても構わないのだ』と考えるようになり、あまり「終戦に向けての努力」をしないようになってしまったのです。】
・前940年頃 第一中間期、始まる。
(三人目の〈ゆりかご〉の聖王、死去。)
→この第一中間期の初期(今から千年あまり前)に、さまざまな「戦闘用の魔法」が〈ベルカ式魔法〉として急速に体系化されてゆき、それとともに各種のデバイスも開発されていった。
【この作品では、『そうした「戦闘用の魔法の体系化」から脱落した「非戦闘用の古代魔術」をも可能な限りそのままの形で後世に伝えていったのが、いわゆる「正統派魔女」である』という設定で行きます。】
→また、この時代には、ベルカの諸王は各々、自国の国力を増すために、近隣の諸世界と独自に同盟関係を結んで行った。「同盟国」と言えば聞こえは良いが、事実上の「植民地」である。
【なお、この時代の〈次元世界〉は『ベルカとジェブロンとズムドの三大勢力によって三分されていた』と表現されることもありますが、実際の力関係は決して対等ではなく、『ジェブロンの勢力とズムドの勢力を合わせても(その最盛期においてすら)ベルカの勢力には遠く及ばない』というのが実情でした。
(時代によって多少の変動はありますが、ごく大雑把に言って、その勢力は六対二対二といったところでしょうか。)】
・前700年頃 第二戦乱期、始まる。
→この頃には、「夜天の魔導書」はすでに「闇の書」と化していた。守護騎士たちの「最も古い記憶」も、この時代のベルカ世界における「戦乱の記憶」である。
(これもまた、「リリカルなのはStrikerS サウンドステージ03」を御参照ください。)
【この戦乱期は三つの戦乱期の中では最も長く、百年以上も続きましたが、その初頭には、ちょうど「魔導師たちが普通に空を飛ぶ高さ」のあたりに「人工的に造られた、毒性のある魔力素」が大量に散布されました。
そのため、これ以降のベルカでは、魔導師が生身のままで空を飛ぶと、ただそれだけでリンカーコアに「ある種の毒」が回り、ほんの何回かそれを繰り返しただけで死に至るようになってしまいました。
その結果として、この第二戦乱期には、〈ゆりかご〉を真似て造られた戦船が多用された訳ですが、その「排気」のせいで、ますます空は澱み、雨も黒ずみ、やがては大地までもが痩せ衰えていきました。すなわち、「惑星規模での汚染」が始まったのです。】
・前680年代 〈次元震動兵器〉が使用され、ベルカ世界の周囲では多くの〈次元航路〉が一斉に崩壊(実際には、潜在化)した。
【この〈次元航路〉については、また「背景設定5」で詳しく述べます。】
・前664年 ジェブロン帝国は、ベルカが内戦を続けているのを好機と見て一気に北上したが、総力を挙げた〈パルドネア攻略戦〉で「まさか」の大敗北を喫し、保有する次元航行船の「およそ三分の一」を一挙に失ってしまった。
→これを機に、ジェブロン帝国は「最盛期」を終え、急速に衰退し始める。また、ズムド王国もこの頃から、激しい内紛と王位継承戦争によって急速な衰退を始めた。
・前580年 第二戦乱期の末期に、最初の〈エレミア〉が生まれた。
【なお、エレミアの一族については、かなり特殊な設定を用意させていただきました。】
・前560年頃 聖王家が〈ゆりかご〉の力で、ベルカ世界から他の戦船や「闇の書」などを一斉に追放した。
(四人目の〈ゆりかご〉の聖王、死去。)
→これによって、第二戦乱期は終了し、第二中間期が始まる。しかし、およそ百四十年も続いた戦乱によって、貴重な歴史資料の多くが失われてしまったため、これ以前のベルカ世界の歴史に関しては、今もなお不明の点が多い。
【ジェブロン帝国やズムド王国が「最終的に」滅亡したのも、この時期のことであり、今も多くの世界で、この時期が「中世」の起点と考えられています。】
→ベルカ世界は何とか生き残ったが、近隣の諸世界(事実上の植民地)は軒並みこの戦乱に巻き込まれて荒廃し、その多くはそのまま滅び去った。その一方で、ミッドチルダなど、やや遠方の諸世界は次々にベルカから独立していった。
(荒廃したベルカには、もはや軍事的にも文化的にも、その流れをあえて押し止められるほどの力は無かった。)
【以後、ベルカ世界は「次元世界における中心世界」としては機能しなくなり、植民地を失った諸王の勢力は、互いに一定の均衡を保ちながらも、全体としてはゆっくりと衰退していきました。
そして、独立した諸世界はそれぞれに独自の道を歩み、その中の幾つかは「近隣世界における地域的な中心世界」へと成長していきました。ミッドチルダもそのうちの一つで、この時代には、さまざまな魔法が「ミッド式」として急速に体系化されたりもしました。
今で言う「ミッドの旧暦」も、この時期に「ベルカからの正式な独立」を記念して新たに始められた暦法であり、古代ベルカ歴760年(新暦で前539年)を「元年」としています。
なお、ミッドの歴史学では、ミッドが〈聖王家直轄領〉となる以前の千八百年余を全部まとめて「上代」と、それから正式な独立までの五百数十年を「古代」と、旧暦の最初の四百六十年あまりを「中世」と、そして、管理局の創設以降の百数十年を「近代」と呼称しています。】
・前520年代 ベルカ各地で散発的な地域紛争が続く中で、諸王は「来るべき最後の戦い」に備えて武術を奨励し、シュトゥラ王国でも、武王クラウスによって「覇王流」が創始された。
→また、この頃から「一体どういう訳か」ベルカ世界の各地で一斉に「聖王家への不満」が噴出し始めた。(←重要)
・前320年頃 第三戦乱期、始まる。
→今まではあくまでも「戦争の調停者」だった聖王家が、この戦乱で初めて「戦争の当事者」になったため、この戦乱期は「聖王家までもが巻き込まれてしまった戦争」という意味で、俗に「聖王戦争」とも呼ばれている。
この時代には、ベルカ世界にもすでに戦船は無く、空ももう澱みすぎていて、魔導師たちも空を飛ぶことなど全くできないという状況だったため、結果としては戦闘行為の大半が古典的な陸戦となった。
(第二戦乱期と比べれば「相対的に規模の小さな戦闘」がねちねちと続いた時代だった、と言って良いだろう。)
・前285年頃 大陸全土でさまざまな〈禁忌兵器〉が使用され、環境の汚染はさらに深刻なものになっていった。
・前283年 古代ベルカ歴1016年。戦乱期の開始から丸40年も経たないうちに、オリヴィエ(15歳)が「五人目の〈ゆりかご〉の聖王」に選ばれた。
・前282年 オリヴィエは「何故か」突如として〈ゆりかご〉とともに、ベルカを離れてミッドチルダへ飛び、その地下に〈ゆりかご〉を隠して、葬り去った。
(ミッドでは旧暦258年。オリヴィエ自身は、この時点で〈ゆりかご〉を内部から破壊しており、「もう二度とは飛び立てないように」したつもりだった。)
【私がVividのコミックスを読んで最も強く疑問に感じたのは、『これでは、「Vividにおける〈ゆりかご〉の物語」と「StrikerSにおける〈ゆりかご〉の過去設定」とが上手くつながらないのではないか?』ということでした。つまり、Vividのコミックスを読んだ限りでは、『オリヴィエが、一体なぜ〈ゆりかご〉をベルカ世界から「引き離して」ミッドに持って来てしまったのか?』という点がよく解らないのです。
この一件を始めとする、リリカルなのはシリーズの「数々の謎のすべて」に対して「納得できる回答」を示したいと思って、私はこの作品を書き始めました。
(オリヴィエの動機に関しては、また「第二部」で詳しくやります。)】
・前281年 ベルカ世界に、オリヴィエからの「大脱出を勧告するメッセージ」が伝えられた。
→また、教会側の伝承によれば、この年に、オリヴィエの指示によって、まずはミッドチルダで「教会」の組織が成立した。
(ただし、彼女自身は、あくまでも「これから散り散りとなってしまうであろうベルカ人のための相互扶助組織」のようなモノを考えていただけで、自分が神のごとく祭り上げられてしまうことは全く想定していなかったらしい。)
・前280年 オリヴィエ、ミッド〈中央部〉の北部区画で死去。享年18歳。後に、その一帯はミッドチルダ政府からも〈ベルカ自治領〉として追認された。
→なお、ミッドでは、この頃から惑星全体規模での急速な「温暖化と海面上昇」が始まった。
→同じ頃、ベルカ世界では、シュトゥラ王国の国王が病床に就き、クラウスは18歳でやむなく王位を継承した。
そして、オリヴィエの死亡が確認された後、クラウスは瀕死の父親からの懇願を断り切れなくなり、仕方なく「母方の従姉」である大公家の公女マルガレーテ(20歳)を妃に迎えた。
・前268年 覇王クラウス、死去。享年30歳。直後に、第三戦乱期は「正式に」終了した。
(同年、ダムノニア王国の「剣王アルトゥリウス」も「カムランの戦い」において42歳で死去したと伝えられるが、『その年に戦場で死んだのは影武者の方だった』という説も根強い。)
→時に、古代ベルカ暦1031年。「最後の地上の聖王」アルテアの勅令により、「最後の〈ゆりかご〉の聖王」オリヴィエからの勧告のままに、以後50年に及ぶ「ベルカ世界からの〈大脱出〉」が始まった。
→シュトゥラ王国では、クラウスの一子ハインツが「形式的に」王位を継いだが、彼は当時まだ8歳だったので、実際の政務はすべて母親のマルガレーテ(32歳)が取り仕切ったと伝えられる。
・前260年 聖王アルテアの崩御により、聖王家が断絶する。すなわち、「事実上の、古代ベルカの滅亡」である。
(時に、古代ベルカ歴1039年。ミッドでは旧暦280年の出来事であった。)
→以後、〈大脱出〉が本格化した。
・前258年 〈雷帝〉の末子ヴェンデルを皮切りに、イクスヴェリアやハインツを始めとするベルカ諸王国の王侯貴族たちも、相次いでミッドなどへ移住した。
→ヴィルフリッド(40歳)やクロゼルグ(36歳)も同じ年に、それぞれ「一人娘」とともに、ミッドへ移住した。
→ミッドチルダに移住したベルカ人の多くは、そのままベルカ自治領に住み着いたが、ハインツ(18歳)は後日、「オリヴィエの神格化」に対して「どうしようもない違和感」を抱き、単身でその自治領から離脱した。
そして、彼はやがて、ベルカ系ミッド人の少女アニィ・ストラトスと恋に落ち、翌年、アニィが17歳になるのを待って結婚した。
(古来、ミッドの慣習法では「男女とも結婚は17歳から」ということになっていたので、ハインツもそれに従ったのである。)
後に、二人は流れ流れて、遠くアンクレス地方に住み着いたのだと言う。
・前219年 古代ベルカ歴1080年。〈大脱出〉が完了し、「古代ベルカ時代」は終焉を迎えた。
→〈最後の移民船〉は、『ベルカ世界につながる次元航路を「謎の技術」ですべて「封鎖」した上で、ベルカ世界を後にした』と伝えられる。
(なお、その「封鎖状態」は以後、140年余に亘って持続したが、〈最後の移民船〉がその後、どの世界へ渡ったのかは、誰も知らない。)
以後、新暦76年まで、ベルカ世界はほぼ300年に亘って「完全に」無人の世界となった。
→一方、ミッドでは、旧暦321年。この頃になって、海面の急速な上昇はようやく止まり、海面は現在と「ほぼ」同じ水準になった。
(南極大陸の氷床がすべて融解した結果、わずか60年余の間に、ミッドの海面は20メートルほど上昇した。実は、その後も別の理由によって、「10年につき5センチほど」の至極ゆっくりとした速度で、海面上昇は今もなお続いている。)
【念のために言い添えておきますが、もしも地球で同じ現象が起きたら、海面上昇は20メートルどころでは済みません。『当時のミッドチルダの南極大陸の氷床は、現在の地球の南極大陸の氷床よりもだいぶ薄かったのだ』という設定です。
また、『現在のミッド地上に、「歴史ある街並み」がほとんど残されていないのも、半ば水没したような「廃棄都市」が幾つも存在しているのも、この時代の海面上昇が原因である』という設定で行きます。つまり、昔からの都市は、その多くが「海抜の低い土地」を選んで造られていたため、すでにあらかた水没してしまっているのです。】
・前151年 ミッドでは、旧暦389年。〈本局〉にかけられていた〈アルテアの封印〉が解け、「ロッド・ゼガリオス将軍」の主導によって〈九世界連合〉が成立した。
→これによって、ミッドチルダは「次元世界における、新たな中心世界」への道を歩み始めたのであった。
【この作品では、以下のような設定で行きます。
『元来、〈本局〉は〈ゆりかご〉と同じく「アルハザードの遺産」であり、長らくベルカ聖王家が秘密裡にこれを管理していたが、聖王戦争の末期に〈ゆりかご〉が失われた結果、アルテアは期せずして「最後の地上の聖王」となった。
同時に、彼女は『聖王家の断絶も、ベルカ世界の滅亡も、もはや避けられない』と悟り、可能な限り多くの知識を「次の時代」に残すため、ベルカ世界から〈無限書庫〉へと幾つもの書物庫を丸ごと転送し、その上で、この「アルハザードの遺産」が「混乱の時代」に悪用されることを怖れて〈本局〉を丸ごと「通常の亜空間とは〈位相〉の異なる亜空間」へと封印した。
そして、「百年余の封印」が解け、通常の亜空間へと戻って来た〈本局〉を、ミッドチルダの次元航行艦隊がいち早く見つけて占拠し、八つの同盟世界とともにこれを管理・運営し、さらには増築することにした。これが〈九世界連合〉の始まりである』
(なお、空間の〈位相〉についても、また「背景設定5」で詳しく述べます。)】
・前119年 「古代ベルカの終焉」からちょうど百年後の、ミッド旧暦421年。造営に十年余の歳月をかけた「新首都クラナガン」がついに完成し、すでに旧市街が水没した「首都パドマーレ」からの遷都が実行された。
→以後、パドマーレは「州都」に「格下げ」となり、東方州都ヴァストーラや西方州都ラムゼリエと同格の存在となった。
・前78年 ミッド旧暦462年。とあるロストロギアの暴走によって〈次元断層事件〉が引き起こされ、高名な〈レガルミア〉を始めとする幾つもの世界が滅び去った。
【この〈次元断層事件〉に関しては、TVアニメの「無印」第7話を御参照ください。】
・前75年 ミッド旧暦465年。上記の事件で一挙に危機感が高まり、〈九世界連合〉を母体として、13個の世界から成る〈時空管理局〉が成立した。
(ここで言う「時空」は、やや文学的な表現であり、実際には、この用語は単に「次元世界全体」を意味しているに過ぎない。)
【公式の設定とは異なりますが、この作品では「管理局の創設」と「新暦の開始」とを分けて考えることにします。】
→管理局は「質量兵器の廃絶」と「ロストロギアの管理」を根本理念として掲げ、直ちに〈統合戦争〉を開始した。
なお、「オルランド・マドリガル議長」を始めとする〈最高評議会〉の三人組は「管理局の創設者」として、この頃から大いに活躍した。
【三人とも、前100年頃の生まれで、当時はまだ二十代半ばの「本当に立派な天才たち」でした。しかし、彼等は後に、お互いの妹を妻に迎え合って、非常に閉鎖的な人間関係(家庭環境)を構築してゆくことになります。】
→同じ頃、(次元断層事件の影響で?)ベルカ世界につながる次元航路の「封鎖」も多くが崩壊し、ベルカ世界への渡航が「技術的には」可能となったのだが、〈最高評議会〉の三人組は巧みな情報操作によってその事実を隠蔽し、ベルカ世界への中継拠点となる幾つかの無人世界を制圧して、「事実上、誰もベルカ世界へは渡航できない状況」を懸命に維持し続けた。
・前72年 それまでは「伝説上の存在」かと思われていた「スクライア一族」が、初めて公式の場にその姿を現した。
→彼等はみずから〈本局〉を訪れ、『古代ベルカで発行された』という「聖王勅許状」を盾に、管理局に対して「数百年来の既得権」を今後とも保証するように要求し、〈最高評議会〉はその要求をそのまま受け入れた。
これによって、『スクライア一族は今までどおりに、あらゆる世界を自由に往来し、無人世界においては、遺跡の発掘や調査を自由に行なっても良い』と、管理局が「一定の条件つきで」正式に認めた形となった。
(オルランド議長が『何故こんな無茶な要求を拒否しなかったのか』については、今もなお不明のままである。)
・前24年 〈最高評議会〉の三人組が現役を引退し、初代の〈三元老〉となった。
→表向きの規定としては、〈三元老〉は『形式的には「時空管理局の最高責任者」だが、「平時には」何の実権も持たない、ただの名誉職である』ということになっている。
つまり、「非常事態宣言」が出された時に限っては、『管理局〈上層部〉の権限を完全に停止し、それに代わって管理局全体を指揮する』という絶大な権限を持つ。
(オルランドたち三人組は、「念のために」法令にはこうした〈元老大権〉を設定しておいたのだが、実際には、一度もこれを使う機会は無かった。また、彼等の妻子や孫たちも一度として歴史の「表舞台」に立つことは無かった。)
→これ以降、「総代」が管理局の「事実上の最高責任者」となり、「最高評議会」も「制度としては存続するが、実際にはずっと空席のまま」という扱いになった。
(なお、管理局における「元帥(名誉元帥)」とは、あくまでも「引退した総代の中でも、格別の功績があった者にのみ与えられる名誉職」の名前である。)
【これ以降、〈ゆりかご事件〉までおよそ百年の間、最初の10代の「総代」たちはみな、基本的には「オルランドたち三人組の傀儡」でした。】
・前19年 ミッド旧暦521年。首都クラナガンでは「遷都百年祭」が盛大に催された。
→この頃には、シガルディスもデヴォルザムもリベルタも、すでに管理局の軍門に下っており、「南方の四世界同盟」も『もはや戦局を覆すことは絶望的』といった状況で、統合戦争における「管理局の勝利それ自体」は最早確定的なものとなっていた。
(以後、管理局はもっぱら「ロストロギアの発見と回収」および「戦後体制に関する協議」などにその力を注いでゆくこととなる。)
→また、この頃には、オルランドら元最高評議会の三人組もすでに八十歳前後の老人となっており、彼等は揃いも揃って妻や息子たちに先立たれた後、ついに「生身の肉体を捨て、脳髄と脊髄だけの姿となって生き続けること」を選択した。
そして、まずは〈第9管理世界ドナリム〉で「生体実験」を繰り返して必要なデータを蓄積し、数年後には、そのための技術を完成させて、自分たちの肉体に適用した。
・前11年 現行の「BU式駆動炉」が初めて実用化された。
(次元航行船の航続距離が飛躍的に伸びて、現在とほぼ同じ水準になった。)
→同じ頃、オルランドたち三人組はついに〈三脳髄〉と化し、表向きは三人とも九十歳前後で死亡したことにして、裏では「管理局の実質的な支配」を続けた。
これ以降、〈三元老〉は本当に「単なる名誉職」となった。
→なお、この名誉職は(管理局の制度としては必ずしも「不可欠の存在」ではなかったために)しばしば空席となることもあったが、彼等はみな、歴代の「総代」らと同様、「三脳髄の傀儡」でしかなく、それ故に、〈三脳髄〉も「元老大権に関する法令」をあえて書き換えるほどの必要性を覚えなかった。(←重要)
・前9年 ミッド北部に深刻な疫病が流行し、ベルカ系の人々を中心として、わずか半年たらずの間に、四百万を超える人命が失われた。
【ミッドの歴史学では、これを「ミッド北部、疫病大禍」と呼びます。】
→後に、その疫病は「愚かな密航者が、大昔からその危険性ゆえに『渡航禁止世界』に指定されていた〈第2無人世界カルナージ〉を密かに訪れて、そこからわざわざ持ち帰って来た病原体」によるものであることが判明し、管理局の内部では、今さらながら「惑星カルナージ改造論」が勢いを増した。
(なお、その改造、つまり、「惑星全体規模での、病原体そのものの根絶」は、新暦76年になってようやく正式に完了した。)
・前4年 統合戦争における、事実上の「最後の大規模戦闘」が行なわれ、モザヴァディーメやフォルスでは、それなりの被害が出た。
→マグゼレナにおける、今なお原因不明の〈ディオステラの悲劇〉も、当初はこれによるものと考えられていた。
(後に、マグゼレナ中央政府は遷都を余儀なくされ、「廃都」となったディオステラでは、翌年、「アヴェニール四兄妹」を始めとする幾人かの戦災孤児たちが「スクライア一族」に拾われたのだと言う。)
・新暦元年 旧暦540年。統合戦争の終結と〈中央領域〉の統一を記念して改暦。
→同時に、「BU式駆動炉」の普及により、四半世紀に亘る「大航海時代」が始まる。
【改暦の時点ですでに管理世界となっていた22個の世界が、俗に言う「主要な世界」です。この作品では、それらの世界の「固有名称」を番号順に以下のとおりとします。
1.ミッドチルダ、2.ガウラーデ、3.ヴァイゼン、4.ファストラウム、
5.ゼナドリィ、6.パルドネア、7.モザヴァディーメ、8.フォルス、9.ドナリム、
10.ルーフェン、11.セクターティ、12.フェディキア、13.マグゼレナ、
14.シガルディス、15.デヴォルザム、16.リベルタ、
17.イラクリオン、18.ラシティ、
19.ゲルドラング、20.ザウクァロス、21.ヴェトルーザ、22.ハドマンド。
1~9がかつての〈九世界連合〉のメンバーであり、これらの九世界は俗に『ひとケタ台の管理世界』とも呼ばれ、『総代は事実上、これら九世界の出身者に限られる』など、今でもやや特別な扱いを受けています。
(この用語については、「THE MOVIE 2nd A’sドラマCD Side-T」における、ミウラのセリフを御参照ください。……と言うか、私はそもそも、この『ひとケタ台の管理世界』というセリフから〈九世界連合〉というネタを思いつきました。
『限定販売特別鑑賞券の「オマケ」にしか出て来ないような情報をそこまで重視するというのは、どうなのか?』という御意見も当然にあるだろうとは思いますが、この作品では、取りあえずこの設定で行きます。)
ちなみに、19から22までの四世界は、旧暦の時代には管理局の側から「南方の四世界同盟」と呼ばれており、「東のデヴォルザム」や「西のリベルタ」とともに「統合戦争における主敵」でした。】
【また、かつて「ベルカ聖王家の直轄領」だった「十二世界」の内訳は、今で言う「管理世界・管理外世界・無人世界」がそれぞれ四つずつで、今ではいずれも1番から4番までの番号が割り振られています。
まず、「最初の四つの管理世界」の名称は、上記のとおり。
同様に、「最初の四つの管理外世界」の名称は、番号順に、キルバリス、オルセア、シャグザード、パドローナ、です。
これら四つの世界は、ミッドチルダとも「互いに直轄領だった頃からの古い付き合い」があり、魔法文化もよく普及しているのですが、当時はいずれも「社会的な状況」に問題があったため、管理局としてもこれら四つの世界を「管理局システムの構成員」として(つまり、「管理世界」として)認めることはできませんでした。
(そして、身分制度や内戦などといった「社会的な状況」が当時と全く変わっていないため、これら四つの世界は、今もなお「管理外世界」のままになっているのです。)
また、「最初の四つの無人世界」の名称は、番号順に、アムネヴィア、カルナージ、バラガンドス、ゲボルニィ、です。
管理局は創設当初から、これら四つの無人世界に対して「領有権」を主張しており、旧暦の時代の末には、すべての「主要な世界」から正式にその権利を承認されました。
現在では、これら四つの世界以外にも、〈マニクヴァリス〉や〈アペリオン〉を始めとする、〈中央領域〉にある多くの無人世界が「管理局の領有する世界」として認められています。
(なお、個々の世界の位置関係については、「プロローグ 第6章」の中に「背景設定6」という形でまとめておきましたので、そちらを御参照ください。)】
→また、改暦直後から、幾つもの世界が「管理局システムへの参入」を希望し、自分たちの世界を「管理世界」として認めてくれるよう、〈時空管理局〉に働きかけて来たが、管理局が真っ先に〈第23管理世界〉として(つまり、「最初の、新たな管理世界」として)認定したのは、意外にも〈ルヴェラ〉だった。
【ルヴェラは、『先史時代には強大な国家を形成して周辺の諸世界を武力制圧し、それ故、〈次元世界大戦〉の折りには〈ゆりかご〉によって完膚なきまでに打ちのめされた』という「前科」のある世界です。
その後、かつてルヴェラの属国だったジェブロン王国は、ジェブロン式魔法(質量兵器との併用を前提とした魔法体系)を完成させて強大な帝国となり、その武力でルヴェラを植民地化すると、まるで大昔の怨みを晴らそうとするかのように、何世代にも亘って過酷な収奪を続けました。
その結果、ジェブロン帝国が最終的にルヴェラ世界から撤退した時には、『ルヴェラの地表には、人工の建造物など、もう「遠目には廃墟にしか見えないような、崩れかけの住居」しか残されてはいなかった』と伝えられています。
そして、ジェブロン帝国の唐突な滅亡から300年余の後、ベルカ世界からの〈大脱出〉の時代には、ルヴェラにも相当数のベルカ人がはるばるやって来て、後に「文化保護区」などと呼ばれることになる街並みを築いたりもしましたが、それでも、ルヴェラの人口や技術力や経済力は、今もなお相当に低い水準のままに止まっています。
こうした「前科」や「経済力の低さ」にもかかわらず、管理局がルヴェラを「最初の」新規加盟世界として認めたのは、当時はまだ「まともな人格と判断力」を維持していた「三脳髄」の指示によるものでした。
もちろん、『管理局はそうした事柄を問題視しない』という政治的なアピールのために、そうしたのです。】
→このアピールが功を奏したこともあって、その後、「管理世界」の数は順調に増えて行った。
しかし、〈次元世界〉の西方には、まだ〈カラバス連合〉などの「あからさまな敵対勢力」が存在していたため、その後は、おおむね東方にある諸世界の方が先に、30番台、40番台の管理世界に認定されてゆくこととなった。
【私は、『次元世界全体で見れば、無人世界の方が、管理世界よりもずっと数が多いはずなのに、〈第34無人世界マウクラン〉の近くにあるはずの〈スプールス〉が、何故「第61番」の管理世界なのか?』という点が、個人的によく解らなかったので、「スプールスの加盟が遅くなった理由」というものを自分なりに考えてみた結果、上記のような設定となりました。】
【なお、管理局への新規加盟に必要な条件は「基本的には」以下の六つだけとなっています。
1.魔法文化が広く一般に普及していること。(基礎条件)
2.「惑星統一政府」が正常に機能しており、深刻な内戦状態には無いこと。
3.身分制度が撤廃され、法治主義と「法の下の平等」が社会に根づいていること。
4.次元航行技術を自前で維持できるだけの文明があること。
5.他の世界への侵略行為などを決して行なわないと誓うこと。
6.「質量兵器の廃絶」と「ロストロギアの管理」という「管理局の根本理念」に賛同し、その実現に向けて最大限の努力を惜しまないこと。
また、「管理外世界」の中でも、1の「基礎条件」を満たしていない世界は、管理局が原則として「接触禁止世界」に指定しており、民間レベルでの接触は文字どおり禁止されています。
そして、現在では〈地球〉も含めて、「管理外世界」のほぼ三割に当たる62個の世界が、そうした「接触禁止世界」に指定されています。】
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