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セドナの夢

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第一章

                セドナの夢
 イヌイットにセドナという娘がいた、黒く長い会の毛と楚々とした細い白い顔と長い睫毛を持つ流流麗な顔立ちをしている小柄な少女であった。
 セドナは小柄だが誰よりも食欲が旺盛であった、それで常に何かを食べたいと思ってそうしていた。
 その彼女にだ、両親はこう言った。
「そこまで食べたいならだ」
「あんたが漁をしなさい」
「そして好きなだけ食べるのだ
「釣り針や網の使い方を教えてあげるから」
「わかったわ」 
 セドナは両親の言葉に素直に頷いてだった。
 自分で漁をして海の幸を採って食べる様になった、すると漁の才能があったのか。
 自分の旺盛な食欲を満足させられるだけのものをいつも採れる様になった、それでいつも魚等を食べていたが。
 そんな彼女にだ、両親は今度はこんなことを言った。
「そんなに採れるならな」
「もうあんた一人で暮らせるわね」
「わし等から言うことは何もない」
「これからは好きにしたらいいわ」
「一人暮らしね、そう言われても」 
 セドナは両親から独立を言われ首を傾げさせて返した。
「何処に行っていいか」
「そんなの魚が一番採れるろころでいいだろ」
「そうでしょ」
「お前はいつも漁で暮らしているからな」
「それならね」
「そうなのね。それは何処かしら」
 セドナは両親に言われて考え込んだ、暫く考えてだった。
 彼女は両親にだ、こう言った。
「私海の中に住むわ」
「そうするのか」
「これからはそこで暮らすの」
「お魚が一番多いのは何処か」
 それはというのだ。
「考えたけれど」
「海だな、言われてみれば」
「まさにね」
「魚は海の中を泳いでいる」
「それならね」
「だからこれからは海の中で暮らして」
 そしてというのだ。
「自分の食べる分をね」
「採って食うか」
「そうして暮らすの」
「そうするわ」
 こう両親に言ってだった。
 セドナは海に入った、そうしてだった。 
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