イベリス
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第百二十二話 知れば知る程その四
「それが一番です」
「最初からですね」
「失恋しないことが。ですが」
「ですが?」
「運命は多くの分かれ道があり」
そしてというのだ。
「どうなるかはです」
「わからないですか」
「占いはその人生の道標なのです」
こここの持論も述べた。
「そのことは覚えておいて下さい」
「占いは、ですね」
「そうしたものだと。そして」
速水はさらに話した。
「最悪の事態もです」
「あるんですね」
「この場合は失恋ですが」
「有り得ますか」
「ですから」
それでというのだ。
「若しです」
「私が失恋しても」
「そこからドン底にはです」
「落ちないことですか」
「本当に何かあれば」
その時はというのだ。
「ご両親でも従姉さんでも私でも」
「お話していいんですね」
「はい、泣かれても悲しまれてもいいです」
速水は真面目な声で話した。
「ですが全て履き出して」
「それで、ですね」
「失恋の苦しみを全て捨てて」
「前に向かうことですね」
「そうして下さい」
「そうすることですね」
「恋愛と失恋は表裏一体なのです」
速水はこの事実も話した。
「実ることがあれば破れることもです」
「両方あるんですね」
「そうしたものなので」
それ故にというのだ。
「何がありましても」
「それでもですね」
「吐き出すものを吐き出して」
「信頼出来る人にお話して」
「そうしてです」
「前に向かうことですね」
「そうして下さい、いいですね、丁度です」
速水はここでこうも言った。
「今は秋です」
「恋愛の秋ですね」
「そうです、ご存知ですね」
「読書の秋、芸術の秋で」
「スポーツの秋、食欲の秋で」
そしてというのだ。
「恋愛の秋です」
「その秋だから」
「恋愛もあります、ですが」
「その恋愛はですね」
「失恋もです」
これもというのだ。
「あるのです」
「秋といってもいいものばかりじゃないですか」
「失恋はいいものではないですね」
「そうですよね」
「否定出来ないですね」
速水にしてもだった。
「辛く悲しく苦しいものなので」
「だからですね」
「ですが」
それでもというのだ。
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