イベリス
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第百二十二話 知れば知る程その二
「実りもです」
「ありますか」
「恋愛は人に実りももたらしてくれるのです」
「そうしたものですね」
「時にはトラウマにもなりますが」
それでもというのだ。
「そうなる場合の方がです」
「多いですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「ですから」
「いいんですね」
「そうです、ただトラウマになる様なら」
速水は咲にこうも言った。
「お気を付け下さい、そして心ある人にです」
「お話することですね」
「相談されて下さい」
こう言うのだった。
「必ず、そしてです」
「そしてですか」
「好きになった人のことはどんどん知って下さい」
「どんな人かですね」
「それが好きであるが故なら」
それならというのだ。
「覚えられます、ですが恋は盲目なので」
速水はこうも言った。
「用心すべきこともです」
「ありますか」
「そうです、全肯定になりがちです」
その知ったことについてというのだ。
「あばたもえくぼといいますが」
「悪いものもいいものに見えますね」
「そうなり短所もです」
これもというのだ。
「見えなくなります」
「それも問題ですね」
「はい」
まさにというのだ。
「そうです、ですがそれが恋愛なのです」
「じゃあそこから酷いことにもですね」
「なります、周りが見えなくなっていて」
恋愛に落ちた時はというのだ。
「ただひたすらです」
「相手の人が素敵に見えるんですね」
「そうなります、忠告されてもです」
「耳に入らないんですね」
「そうなることもです」
まさにというのだ。
「ありますし」
「そうですか」
「ですから」
それでというのだ。
「怖くもあります、ただ痛い目に遭うこともです」
「失恋ですか」
「それもあります、そこからもです」
「学ぶんですね」
「それも恋愛です、一番いいことは」
恋愛の理想はとだ、速水は咲に話した。
「初恋がそのまま永遠にです」
「続くことですね」
「そうです、ですがそうでない場合は」
「学ぶことですか」
「失恋しても。一時落ち込んでも」
そうなってもというのだ。
「お酒を飲んででもです」
「忘れて」
「そしてです」
「また新しい恋愛にですか」
「挑む位です、あと失恋を嗤う人がいれば」
速水はそうした輩の話もした。
「相手にしないことです」
「そうすることですか」
「下らないことです」
速水は心から言った。
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