神々の塔
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第四十一話 深き者共その二
「どうもな」
「嫌やな」
「本能的にな」
「私もや、そう感じさせることこそ」
まさにというのだ。
「あの神々のな」
「怖いところやな」
「この世界においてもな」
「そうした存在やな」
「無意識下で本能的な悪意を以て動いてる」
「そこが怖いな」
「そや、それをはじめて書いたんがな」
それがというと。
「ラグクラフトって作家さんや」
「あの人な、どうもな」
メルヴィルはその名前を聞いてどうかという顔になって言った。
「わしはその考えが好きやない」
「人種的偏見か」
「それや、トウェインもな」
「起きた世界やとアフリカ系やからやな」
「他の民族への偏見がな」
こうリーに話すのだった。
「当時のアメリカの主流やったワスプ以外へのな」
「それが強いな」
「あの人の作品を読んでるとな」
「出てるな」
「それが問題やな、当時でもな」
ラグクラフトが生きていた時代である、彼は文章だけでなく発言でも人種的偏見を持ったものがあったのだ。
「批判されてたしな」
「それも親しい人からやな」
「それがどうもな」
メルヴィルにしてもだ。
「わしは気になるな」
「そやねんな」
「それね、あたいもよ」
アレンカールもどうかという顔で言ってきた。
「あの人のね」
「そうした偏見がやな」
「どうしても気になるのよ」
「色々書いてるからな」
「クトゥルフ神話の神々や底知れぬ恐怖と一緒にね」
「そうした描写多いな」
「やけに目立つわ」
これもまたラグクラフトの作品の特徴となっているのだ。
「ほんまにね」
「それでやな」
「あたいあの人の作品嫌いなのよね」
「批判されるのも当然やな」
「そうでしょ」
「あの人の負の遺産になってるわ」
人種的偏見はというのだ。
「ほんまな」
「一歩間違えたらヒトラーかもね」
「ユダヤ系にも言ってたしな」
「そうだったわね」
「そうしたところはな」
リーにしてもだった。
「私も好きやない」
「好きやとかえって問題よね」
「ほんまな」
「どうしてもね」
「しかしああした神々を紹介したのは大きいな」
羅はこのことはよしとした。
「あの人は架空の存在としたけどな」
「この世界には実在する」
「神々としてな」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「この世界を司ってる、別に世界を滅ぼすつもりはない」
「混沌を司ってるだけやな」
「そや、善か悪かやなくてな」
そうした区分ではなくというのだ。
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