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ハッピークローバー

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第百話 彼岸を過ぎてその十

「けれどな」
「たまになのね」
「流石にいつもはな」 
 こうしたものを食べることはというのだ。
「食わないさ」
「それはいいことね」
「そうだろ、だからな」
 それでというのだ。
「これからもな」
「そうしたものは週一位ね」
「それで抑えるさ」
「それで健康なままでいて」
「長生きするよ」
「長生きしたらそれに越したことないわよね」
 成海の言葉に頷いて述べた。
「やっぱり」
「そうだよな」
「長く生きていたら」
 そうすればとだ、かな恵も言った。
「それだけ楽しい思いも出来るしね」
「そうなるよな」
「辛い思いもしても」
「そっちもあるか」
「生きてれば色々経験するでしょ」
 そうなることをだ、かな恵は成海に話した。
「そうでしょ」
「それでその中でか」
「楽しい思いをして」
 それと共にというのだ。
「辛い思いもね」
「するんだな」
「そうした経験をして。例えば」
 かな恵は眉を曇らせて言った。
「ご家族やお友達が先にね」
「死ぬんだな」
「いい人だと思っていても」
 そうであってもというのだ。
「若くしてってね」
「自分より先にか」
「そうしたことだってね」
「あるんだな」
「だからね」 
 それでというのだ。
「長生きしてると辛い経験、辛い思いもね」
「するんだな」
「どうしてもね」
「そう言われるとな」
 それならとだ、成海もかな恵の話を聞いて言った。
「確かにな」
「あるわよね」
「ああ」
 否定せずに答えた。
「そうだよな」
「長生きしたら」
「その分辛い思いもするか」
「楽しい思いもね、それでね」 
 成海に考える顔になって話した。
「成長していくみたいよ」
「人間としてか」
「そう言われたの」
「そうなんだな」
「ひいお祖父ちゃんからね」
「あの西成の」
「そうなの、西成の天下茶屋に住んでるね」 
 大阪のこの街のというのだ。
「ひいお祖父ちゃんがね」
「言ってるんだな」
「そうなの」
「一度俺あの人の家に連れて行ってもらったな」
 成海はその時のことを思い出してかな恵に話した、そうしながら脳裏に天下茶屋の風景も思い出していた。 
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