天才の兄の知能指数
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第二章
兄がアルバイトの塾の講師から帰ったところで言ってみた、すると細面で黒髪を後ろに撫でつけ細い切れ長の目と薄い唇に百七十位の痩せた身体の彼はこう応えた。
「じゃあやってみるよ」
「いいの?」
「僕も自分の知能指数とか知らなかったし知ってみたいと思ったからね」
こう言って実際にだった。
兄は自分の部屋のパソコンで知能指数とIQの試験をそれぞれ受けた、そして翌日家で妹にその結果とだった。
日本人の平均を言うとだった。
「どっちも平均とピタリね」
「そうだったよ」
「頭いいと思ってたのに」
「勉強は知能指数じゃないってことだね」
兄は何でもないといった顔で答えた。
「ある程度は。暗記して応用してのことだから」
「知能指数じゃないのね」
「記憶力の重点が多いかな、だからね」
「そういうのは関係ないのね」
「うん、そして僕自身の知能指数もわかったね」
「IQもね」
「平均でね、ただこうしたのは生活環境で変わるから」
「そうなの」
「何処の国のどんな人でもね」
要するに民族や人種に関係しないというのだ。
「何でもないよ」
「気にすることないのね」
「それで勉強が出来るかどうかじゃないしね」
「そうしたものなのね」
「うん、これでいいかな」
「ええ、お友達にお兄ちゃんの知能指数とIQ高いでしょって言われたけれど」
「ちぇんと平均だったって言っておいてね」
こう妹に言うのだった。
「それでね」
「いいのね」
「それでどうになる訳じゃないしね」
こう言って自分の部屋に戻って勉強に入った、そのまた翌日美希は友人に兄の知能指数とIQそして兄に言われたことをそのまま話した、するとこう言われた。
「平均でそういうのは関係ないのね」
「お勉強にね」
「そうなのね」
「これがね」
こう言うのだった、そしてだった。
この話はこれで終わった、兄は大学を卒業すると大学院に残る様に勧められそこでも学問を続けてだった。
やがて優秀な法学者として知られる様になった、美希はOLから主婦になったが兄の知能指数は普通ということは聞かれるとありのまま答えた、そして驚かれることもあったが真実を知っている彼女は言って終わりだった。兄もまったく気にしていなかった。
天才の兄の知能指数 完
2023・10・25
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