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星河の覇皇

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第八十五部第二章 日本大使館その十二

「篭絡している記者もいますが」
「その記者からもですね」
「中々情報を得られていないですね」
「今のところは」
「そうですね、新聞社やテレビ局の記者を取り込み」
 自分達にというのだ。
「そうしてです」
「そしてですね」
「彼等から情報を得る」
「かつてリヒャルト=ゾルゲもしましたが」
「これも工作としてあります」
 ゾルゲが日本の新聞記者尾崎に対して行ったことだ、この尾崎はゾルゲと共に様々な暗躍を行ったことは歴史にある通りだ。
「それを我々も行なっていますが」
「それでもですね」
「政府から情報は流れないですね」
「日本政府からは」
「記者がこちらに取り込まれていることも」
 チバは目を瞬かせて話した。
「もうです」
「日本政府もわかっている」
「既に読んでいますね」
「そうしてですね」
「情報が流れない様にしていますね」
「そして工作も」 
 情報収集以外のこともというのだ。
「既にです」
「あるとですね」
「見ていてですね」
「ガードを固くして」
「それで仕掛けられない様にしていますね」
「その様ですね、閣僚同士の会談も」
 これもというのだ。
「スキャンダルに仕立てようとも」
「密会なり造反なり」
「そうした話にしようとしても」
「それでもですね」
「仕立てるにしてもですね」
「あまりにも白々しいお話は」 
 そうしたものはというのだ。
「仕立てられません」
「左様ですね」
「火のないところに水煙といいますが」
「火もないとです」
「水を使うこともないですし」
「揉み消すにも揉み消す為のお話があることが前提で」
 それでというのだ。
「スキャンダルもです」
「何か種があれば」
「そこかでお話を創り出せますが」
「それでもですね」
「それすらないと」
「お昼に会ってすぐにそれぞれの省に帰る」
 これではというのだ。
「何もおかしくありません」
「昼食の場で話しても」
「それだけですね」
「二人きりでも」
「お昼に会うのでは」
「はい、これが普通の会社では噂になるでしょう」
 既婚同士なり片方が既婚で男女が共に食事を摂ればというのだ、こうした話が怪しいと思われるのはこの時代でも同じだ。 
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