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星河の覇皇

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第八十五部第二章 日本大使館その十

「連合市民ですから」
「それぞれの政府にいればそれぞれの政府の為に働き」
「中央政府にいるなら中央政府の為に働く」
「それが連合市民ですね」
「まさにそれぞれの場所で働くことですね」
「今私は中央政府にいますので」 
 だからだというのだ。
「中央政府の人としてです」
「働かれますね」
「そうされますね」
「中央政府外務省日本大使として」
「そうされますね」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「国益を手に入れます」
「中央政府、連合市民全体の」
「それをですね」
「日本政府と対して」
「そうしてですね」
「わくわくしますね」
 チバは今度はにこやかに話した、見ればその鳶色の瞳はアジア系のものだ。肌の感じもアジア系のものである。
「どうも」
「伊東首相と対するとなると」
「それならですか」
「そう思われますか」
「そうなのですね」
「自然と。敬愛する人と対することが出来るとは」 
 そうした状況はというのだ。
「スポーツの様ですね」
「スポーツではよくあることですね」
「敬愛する選手と対決する」
「スポーツの醍醐味と言われていますね」
「よく」
「私は学生時代体操をしていました」
 小学生の頃からそうしていた、そのことからチバは小柄なのではと言われている。体操選手は小柄であることが多いからだ。
「体操は得点を競いますが」
「まずは自分自身ですね」
「自分がどれだけのものを行うか」
「それが問題ですね」
「相手と競うよりも」
 それ以上にというのだ。
「まさにです」
「自分自身ですね」
「自分自身との勝負ですね」
「相手よりも」
「そうした競技ですね」
「ですから相手の方と直接対峙して勝負することは」 
 このことはというのだ。
「実感はありませんが憧れていますので」
「だからですね」
「対したい」
「それで楽しみにされていますか」
「そうなのです」
 表情は笑っている、それも心からだ。そこには暗いものはない。
「今は」
「そうですか」
「日本のことを学ばれ」
「そしてですね」
「伊東首相とですね」
「対されますね」
「そして日本とも」
 この国とも、というのだ。
「そうしていきたいです」
「左様ですか」
「ではですね」
「今は情報収集をしていますが」
「動かれますか」
「時と場合に応じて。スキャンダルの種があれば」
 日本政府にとだ、まるで高校生が学校の授業のことを話す様な何でもないといった口調での言葉だった。 
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