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神々の塔

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第四十話 童話の中からその十一

「こっちの世界では創設以来やが」
「起きた世界ではね」
「もうな」
 それこそというのだ。
「未来永劫や」
「最下位でないとね」
「オープン戦、交流戦、二軍もずっとやが」 
 こうしたことも全て二十年連続最下位であるのだ。
「これからもや」
「ずっとね」
「あのチームは最下位や」
「何か巨人が最下位やと」
「世界はええ感じやな」
「そうなのよね」
「それは巨人が兎に角嫌われててや」
 まずこのことがあるというのだ。
「大嫌いな巨人が負けるの見てな」
「皆元気が出るのね」
「それでお仕事に勉強に頑張る」
「そやからええのね」
「これは日本のことやが」
 巨人があるこの国のことだというのだ。
「日本は世界に影響あるさかい」
「その日本が元気やと」
「世界も引っ張られてな」
「主力選手が元気やとチームの調子もようなるわね」
「しかも日本って先発の柱の一人かクリーンアップの一角や」
 そこまでの存在だというのだ。
「二桁勝利か三割四十本は打つ」
「確かにそれだけの存在ね、日本って」
「世界ではな、その日本が元気やと」
「世界も引っ張られるわね」
「そやから巨人が弱いとな」
 それならというのだ。
「それだけな」
「世界にええことなのね」
「そやからな」
「巨人はこれからも弱くて負け続ける」
「それが正しい姿や、巨人よ負けろ」
 中里は心からこの言葉を出した。
「ほんま思うわ」
「星の子で巨人ファン一人もおらんしね」 
 綾乃はこのことを言った、野球にさして興味のない者もいるが共通しているのはアンチ巨人ということだ。
「そのこともええことやね」
「ほんま巨人極悪やさかいな」
「応援したらあかんね」
「むしろ負ける姿を見て」
 そうしてというのだ。
「喜ぶんや」
「幸い大抵負けてるし」
「このまま未来永劫な」
「続いて」
「起きた世界はもっとよおなるんや」
 中里の言葉に誰もが頷いた、邪悪の限りを尽くしてきた巨人は何があっても最下位であり続けねばならないとだ。
 そうした話をして神霊達が待っている階に来ると一行は開口一番桃太郎に仕える犬と雉、猿から本気で怒られてしまった。
「我が主様は巨人になぞ入りません」
「あんなカスチームにどうして入るんだ」
「この世界では最下位以外になったことないでしょ」
 こう言うのだった。
「弱いし柄も悪くて」
「チンピラと変わらないだろ」
「そんなチームに入ることはありません」
「やっぱりそうですね、まあ起きた世界の漫画のことなんで」
 中里もそれはと答えた。
「気分を悪くしたらすいません」
「巨人に入る位ならホークスにずっと留まります」
「それか阪神だろ」
「備前は結構甲子園に近いしね」
「あっ、言われてみれば」 
 シェリルは三匹のお供の言葉にはっとなった。
「桃太郎は備前で」
「そうです、備前は甲子園のある播磨の隣国ですよ」
「まあカープの安芸にも近いけれどな」
「それでも甲子園の方が近いでしょ」
「ほなセリーグならですね」
 そちらに移籍するならというのだ。 
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