イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百二十一話 毎日見たいのでその四
「凄くな」
「お巡りさんらしくですね」
「ああ、それでいて優しくて明るくてな」
こうした面もあってというのだ。
「公平だしな」
「そんな人ですか」
「ちょっと向こう見ずっていうか考えるより動くところあるけれどな」
それでもというのだ。
「いい人って言うとな」
「そうなりますか」
「ああ」
実際にというのだ。
「そんな人だよ」
「そうですか」
「趣味は野球観戦とトレーニングだよ」
この二つだというのだ。
「Jリーグも好きでな」
「スポーツお好きなんですね」
「そうだよ、野球は横浜でな」
このチームでというのだ。
「サッカーもそっちのチームだよ」
「横浜ですか」
「ああ、あと少年漫画が好きでな」
こちらの趣味の話もした。
「結構な」
「集めておられますか」
「そうなんだよ」
漫画の方もというのだ。
「あの人はな」
「そうしたところが好きですか」
「ああ、それで悪いって言われる趣味はな」
「ないですか」
「酒は飲むけれど飲み過ぎないでな」
そうして飲んでいてというのだ。
「ギャンブルはな」
「されないですか」
「それで他にもな」
「悪いことはですか」
「しないさ」
「そうした人ですか」
「ちょっと向こう見ずなところはあってもな」
それでもというのだ。
「本当にな」
「いい人ですか」
「そうさ、それでな」
「それで、ですか」
「交友関係も広いみたいだな」
「そうですか」
「大学の同期とか同僚の人達とかとな」
そうした人達と、というのだ。
「仲がいいんだよ」
「そうなんですね」
「ああ、ただな」
咲が一番聞きたいことを察して言った。
「誰と付き合ってるかはな」
「ご存知ないですか」
「そんな話はな」
首を傾げさせつつ話した。
「俺は知らないな」
「そうですか」
「けれどな」
それでもとだ、マスターはさらに話した。
「まあいないだろうってな」
「思われますか」
「今のところな」
こう前置きしての言葉だった。
「いないと思うな、俺は」
「そうですか」
「今のところな」
「そうなんですね」
「そうだな、いないならな」
それならとだ、マスターは咲に自分の見立てからさらに話した。
ページ上へ戻る