神々の塔
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第四十話 童話の中からその二
「実際はどやったろうな」
「我やったら武力で成敗するな」
「自分もや」
「そんな人襲って来る奴なんかな」
「お経唱えている間に襲い掛かって来るやろしな」
「僕もそうするわ」
中里もそうだと言った。
「そんな物騒な婆さんな」
「そういえば神霊さんでもおったな」
羅はその目を鋭くさせて言った。
「あの婆さん」
「ああ、岩手さんな」
「あの包丁使ってな」
「攻撃して来るわ」
中里もそうだと答えた。
「あの神霊さんは」
「そやったな」
「しかし妙な話や」
トウェインは首を傾げさせて言った。
「一介の婆さんが一人で人を取って喰う鬼になるとか」
「それは考えられんな」
「ちょっとな」
こう中里に話した。
「そこがな」
「引っ掛かるな」
「山姥は旅人をもてなして寝てる隙に襲って喰うが」
「そうそう上手くいかんな」
「若し旅人が二人か三人やとな」
「婆さん一人やと返り討ちに遭うな」
「そうなるやろ」
絶対にと言うのだった。
「普通は」
「それな」
施も言ってきた。
「元人間の婆さんってな」
「そんな力ないとな」
「そうとしか考えられんわ」
「どうしてもな」
「起きた世界で実在していても」
それでもというのだ。
「どうやって人を襲って喰ってたか」
「疑問やな」
「ああ、どうもな」
「まあ本物の鬼になってたら」
どうかとだ、中里は考えつついた。
「有り得るか」
「人間止めてか」
「それやとな」
「まあ人は人の心をなくしたらバケモンや」
メルヴィルは険しい顔で述べた。
「そうなるわ」
「狂ったにしてもな」
「ああ、バケモンになったらな」
それならというのだ。
「もうな」
「婆さんでもやな」
「とんでもない力発揮して」
「一人でも人を取って喰う様な」
「そうなってたかもな」
「そうも知れんな」
「そやな」
こうした話をしている時にだった。
中里は自分達の左手に目をやりそこに左手に持っている童子切を一閃させ衝撃波を放ってそれでだった。
密かに迫っていた熊を倒した、熊はすぐに金塊になったが彼はその金塊を見てこんなことを言った。
「只の熊やなかったな」
「今のが鬼熊やろ」
リーが冷静な顔で言ってきた。
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