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ヘタリア大帝国

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TURN51 降伏その六

「そういうことだ」
「そうだな。絶対にな」
「わしは南洋の酋長だった」
 それはもう過去だったというのだ。
「しかしアメリカさんに国を譲ったのはだ」
「それどうしてなの?」
 二人と共にイザベラを交えてステーキを切って口の中に入れているキャロルもこう言うのだった。
「ギガマクロさんって南洋の殆どを領有してたわよね」
「ミクロネシアにラバウルもな」
「そうよね。このハワイだけじゃなく」
 全てガメリカ領になった。全てギガマクロが譲った結果である。
「どうして祖国ちゃんに譲ってくれたの?イギリスとかじゃなくて」
「イギリスなら植民地になるな」
「それがエイリスのやり方だからね」
 キャロルもこのことはよく知っていて嫌っている。彼女もガメリカ人であり植民地は忌み嫌っているのだ。
 それでこう言うのだった。
「で、あんなところに入るよりは?」
「そうした考えもあったがな」
 ベターを選んだのも事実だった。しかしそれだけではなかった。
「だがそれ以上にだ」
「それ以上にっていうと?」
「アメリカさんと会ってこれならと思ったからだ」
「南洋の人達をちゃんとしてくれるって思ったのね」
「そうだ。実際にアメリカさんは皆を大事にしてくれるな」
「ガメリカには階級なんてないぞ」
 このことはアメリカ自身も保障する。
「皆平等だ。チャンスと運さえあればな」
「誰でも成功できるな」
「考えてみてくれ。イザベラもだ」
 アメリカはここでそのイザベラを見て言う。
「ルーツは日本だぞ」
「日系ガメリカンです」
 イザベラ自身もこうギガマクロに話す。
「このことは酋長も御存知ですね」
「ははは、もう酋長じゃないがな」
「敵国にルーツがあります。ですが」
「日系人は危うく収容所送りになるところだったけれどね」
 キャロルはこのことを言うのを忘れなかった。
「祖国ちゃんのファインプレーでことなきを得たけれどね」
「本当に感謝しています」 
 イザベラはキャロルの言葉を受けてそのアメリカに頭を下げる。
「祖国さんのお陰で家族も皆も」
「そういうことはよくないからな」
 だからそうしたと言うアメリカだった。
「止めたんだ」
「そうですか」
「ガメリカはそのルーツにこだわらず皆平等だな」
「はい」
「それで敵国にルーツがあるからと言って差別したら駄目じゃないか」
 アメリカはこのことについては厳しい顔で断言する。
「だから止めたんだ」
「それでなのですね」
「そうだ。ガメリカには君の様にアジア系もいればアフリカ系もいるな」
「はい」
「皆どうしてる?平等だろ?」
「アフリカ系の提督も多いしね」
 国防長官でもあるキャロルが最もよく知っていることだった。
「軍でも優秀なら誰でも偉くなれるわよ」
「その点イザベラは凄いじゃないか」 
 アメリカはステーキのおかわりを受けながら述べる。見れば四人共ステーキを次から次に焼いてもらって食べている。まるでわんこステーキだ。
 その焼きたての分厚いステーキをフォークとナイフで食べながらそのうえでこうキャロルに対して言うのである。
「士官学校首席でな」
「しかも実際の指揮でも凄いしね」
 キャロルも笑顔で言う。
「いつも陣頭指揮で勇敢に戦ってるじゃない」
「今ハワイで一番頼りになる提督だぞ」
「そうそう。今回も期待してるわよ」
「有り難うございます」
 イザベラはキャロルと己の祖国に礼を述べた。
「ガメリカはそういう国なのですね」
「それは僕が保障するからな」
「アメリカさんは器が大きい」
 ギガマクロがここでまた言う。
 
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