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ヘタリア大帝国

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TURN51 降伏その四

「あいつとはちょっとやったな」
「あの敗戦の時ですね」
「攻めて来たけれど弱かったな」
 イタリアの弱さは最早圧倒的だった。
「俺あの時ぼろぼろだったんだけれどな」
「それでもですね」
「やり返せて逆にイタリン領に攻め込めたんだよ」
 その敗戦でぼろぼろになっているオフランス軍にすら勝てなかったのだ。それがイタリンの強さの証明である。
「けれどその直前で降伏したからな」
「上司の方がですね」
「だから攻め込むことは出来なかったけれどな」
「それでもですね」
「イタリアは弱かったな」
 フランスはまたこのことを言う。
「とにかく滅茶苦茶弱い」
「そういえば北アフリカ戦線でも」
「イギリスに蛸殴りにされてたからな」
「全く相手にならなかったそうですね」
「戦うよりも飲んで食ってな」
 そしてだった。
「寝る、女の子と遊ぶからだからな」
「イタリア君とロマーノ君らしいですね」
「妹さん達は違うけれどな」
 兄達とは正反対に妹達は強い。イタリン軍は彼女達が頑張って何とか力になっているのだ。
「まああの二人とポルコ族はな」
「あまり戦力としては」
「全然ならないからな」
 フランスの方が辛辣だった。やはりイタリアを知っているだけはある。
「けれどそれがな」
「イタリンのそうしたところがですね」
「嫌いじゃないんだよな」
 フランスは今度は仕方ないな、という顔で話す。
「むしろ憎めなくてな」
「ついついですね」
「許せるんだよ、あいつは」
 これがフランスのイタリアへの本音だった。もっともその本音を最初から隠してはいないが。
「攻められはしたけれどな」
「だからですか」
「あいつとも戦えるんだよ」
 そうだというのだ。
「で、御前ともな」
「私ともですか」
「最初から特に利害関係もないからな」 
 それでだというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「ああ、楽しくって言う訳にはいかないけれどな」
 戦争をしているからには流石にそれは無理だった。
「一緒にな」
「戦いますか」
「頑張って太平洋を手に入れてな」
「太平洋経済圏ですね」
「築くか。俺は欧州だけれどな」
 しかしそれでもだというのだ。
「協力させてもらうぜ」
「共に」
「よし、じゃあな」
「それでは」
 こうして彼等は共に手を結んだ。フランス達を加えた太平洋軍はマダガスカルからハワイに向かう。一連のことはすぐに連合側にも伝わった。
 アメリカはハワイにいた。そこで意を決した顔で自国の省兵達に告げた。
「よし、いよいよだ!」
「そうね。決戦ね」
 キャロルが自分の祖国の言葉に明るく応える。二人は今ハワイのビーチにそれぞれ軍服姿でいて
明るく話している。
「お握り野郎共ぶっ潰すわよ!」
「そうだな。それでキャロル」
「何、祖国ちゃん」
「ギガマクロさんはどうしているんだ?」
 アメリカは不意にこの名前を出した。
「今日はここで待ち合わせして一緒にステーキを食べる約束なんだが」
「そうよね。けれど」
「遅れてるのか?何かあったのか?」
「どうなのかしら」
「イザベラ、知ってるか?」
 アメリカは二人と共にいる彼女に問うた。見れば二人よりもガメリカ軍の青い軍服を生真面目に着こなしている。 
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