神々の塔
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第三十九話 象の神その七
「神様は神様ってな」
「考えるで」
「キリスト教とかでもな」
「そやからある宗教だけって言われたら」
一つの宗教を信仰し他の宗教を否定せよと言われると、というのだ。
「めっちゃ抵抗あるで」
「そやな」
「大友宗麟さんがそれやって」
九州の戦国大名だった彼がというのだ。
「それでめっちゃ批判受けたわ」
「当時な」
「家臣の人達の間でも不満が凄い溜まって」
彼が寺社を破壊するのを目の当たりにしてだ、それを耳川の戦いの前に進軍する途中でも行っていたのだ。これが島津家との決戦であるこの戦での士気に影響したと言われている。
「その結果大友家が没落することにもなったし」
「自分等の信仰否定されるとな」
「誰かて不満に思うし」
「宗麟さんは失敗したな」
「信長さんと違って」
「信長さんはキリスト教を認めたけどな」
このことは広く知られている通りだ。
「そやけどな」
「それでもやったね」
「他の宗教の否定はさせんかった」
「神道も仏教もやで」
「そういえばあの人元はあれやろ」
施が言ってきた。
「神主さんのお家やろ」
「越前、福井県の方の」
綾乃は施のその言葉に答えた。
「そやで」
「そやったな」
「元々は名古屋の人やなかったんやな」
羅も言ってきた。
「お家の方は」
「生まれやそやけどね」
「それで神主さんの出で」
メルヴィルは考える顔で話した。
「仏教は日蓮宗か」
「そうやねん」
「それなりに宗教と縁があったんやな」
信長にしろそうであったのだ、その実は。
「神主さんの家で日蓮宗で」
「それで安土城も結界の塊にしたんやな」
トウェインはこの世界では豪華絢爛な威容を見せたままのこの城の話をした、この城は綾乃達にとて重要な軍事基地そして行政庁の一つであったし今も近江の南のそれになっている。
「そやな」
「仏像とか墓石を石垣にして」
「天主閣に色々な宗教画も描かせてか」
「そやねん、一つの宗教にはこだわらんかってん」
信長はというのだ。
「あの人も」
「というか一番わからんのは法皇さん達や」
シェリルがどうかという顔で言ってきた。
「日本のな」
「出家された上皇の方々やね」
「あの人達何や」
綾乃にどうかという顔で尋ねた。
「一体って」
「そやからお坊さんになった上皇様やで」
「皇室って神道やろ」
そもそもというのだ。
「その総本山みたいなお家やな」
「天照大神の流れやね」
「何でそのお家の方々が仏教信仰してな」
「出家までされるかやね」
「これがな」
どうにもというのだ。
「中々な」
「わからへんねんやね」
「神道の総本山のな」
「その頂点の方々やね」
「帝やったさかい」
「まあ他の国ではおかしいけど」
それでもというのだ。
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