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第九十九話 寝られるだけでもその一
第九十九話 寝られるだけでも
理虹はこの時自分の部屋で予習復習をしていた、その他にも色々自分がやるべきことをしてだった。
気付けば十二時を回っていた、それで寝る前にキッチンで水を飲みに行ったが。
そこに妹がいた、妹は姉を見ると言って来た。
「お姉ちゃんまだ起きてるの」
「もう寝るわよ」
理虹はすぐにこう答えた。
「流石にね」
「そうなのね、私もね」
「寝るでしょ」
「よく寝ないと」
さもないと、とだ。妹は姉に言った。
「明日が辛いからね」
「そうよね」
「じゃあね」
「ええ、お休み」
理虹はこう言って水を飲んで寝た、その翌朝だった。
理虹は起きると朝食を食べた、ここで妹にまた言われた。
「昨日あれからすぐ寝たのね」
「そうしたわ、もうね」
それこそというのだ。
「ぐっすりだったわよ」
「私もよ、気付いたらね」
その時はというのだ。
「もうね」
「朝だったのね」
「そうだったわ」
こう言うのだった。
「身体も絶好調よ」
「それは何よりね、ただね」
「ただ?」
「いや、私達ってベッドに入ったらすぐに寝るわね」
「そうした体質ね」
「そうよね」
「それはいいことだぞ」
二人の父が言ってきた、彼もまた食べている。
「すぐに寝られることはな」
「ベッドに入ったら」
「そうだぞ、寝られることはな」
「いいことなのね」
「不眠症の人もいるしな」
世の中にはというのだ。
「それで忙しくて寝たくてもな」
「寝られない人もいるのね」
「独裁者にでもなったらな」
それこそというのだ。
「まともにだよ」
「寝られないのね」
「そうなんだ、忙しいからな」
独裁者は自分に権限を集中させる、そうすると自然に仕事も増えるものだ。権限には仕事が伴うものだ。
「それでだ」
「じゃあヒトラーとかスターリンは」
「ああ、毎日碌にな」
「寝られなかったのね」
「そうだったんだ」
彼等はというのだ。
「実はな」
「そうだったのね」
「それでな」
父はさらに言った。
「かなり大変だったんだ」
「じゃあ独裁者になんかなるものじゃないのね」
妹は朝食のご飯を目玉焼きで食べつつ言った。
「評判も悪いし」
「ああ、そうだぞ」
「暗殺とかもされるし」
「いいものじゃないぞ」
「寝られないなんてね」
妹はそれはと言うのだった。
「その時点でよ」
「駄目だな」
「私としてはね」
「そうだ、よく寝られるならな」
それならとだ、父はまた言った。
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