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ヘタリア大帝国

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TURN51 降伏その一

                   TURN51  降伏
 太平洋軍はマダガスカルに入った。しかしそれは戦闘の為ではなかった。
 彼等は太平洋軍の旗艦長門にシャルロット達の来訪を受けていた。すぐにその大会議室において双方が向かい合うことになった。
 太平洋側からは東郷と日本兄妹、それに山下とインドが出席している。オフランス側からはシャルロットにビジー、そしてフランス兄妹にセーシェルだった。五人と五人、十人用の席に着いてすぐにフランスが日本に言った。
「じゃあ早速はじめるか」
「降伏のことですが」
 山下が真面目な顔で切り出した。
「その文書はこちらに」
「ああ、じゃあ早速な」
「前以て申し上げさせてもらいますが」
 山下は言いたいことを抑えて礼儀正しく話していく。
「貴国の将兵の待遇は保障させてもらいます」
「捕虜ってことだな」
「一時捕虜にさせて頂き」
 そしてだというのだ。
「希望者は太平洋軍に編入となります」
「それで希望者以外はか」
「祖国、とはいってもドクツに占領されていますが」
「それでもだよな」
「はい、祖国へ戻ってもらいます」
「オフランス軍は解散か」
「そうなります」
「まあそうしたことになるよな」
 フランスも納得する。降伏の際軍と軍人がどういったことになるのかは彼がよく知っていることだった。何度も敗戦しているだけはある。
「じゃあそういうことでな」
「はい、それでは」
「後俺達だけれどな」
「枢軸軍に入ることになりますが」
 領土は完全に占領された。この世界でのルールの一つだ。
「それで宜しいでしょうか」
「ああ、俺達に」
「私もですね」
 セーシェルもだった。
「枢軸軍に加わることになりますね」
「軍服や階級はそのままですが」
「だよな。まあそれもわかってるからな」
 フランスは仕方ないというよりはもうわかっているという物腰で山下と話していく。身振りもそんな感じで然程落ち込んではいない。
「もうな」
「では」
「ただな。イタリア兄妹はともかくな」
 フランスはここでは少し苦笑いになって山下に述べた。
「ドイツと一緒に戦うのはな」
「お嫌ですか」
「感情的に無理だな」
 ドクツと戦って敗れている、それならだった。
「だからそれはな」
「そういうことですね」
「枢軸で戦うなら日本と一緒がいいな」
 フランスはこの希望を話した。
「そうさせてもらえるか?」
「わかりました、それでは」
 そして山下もこのことを快諾した。降伏の際のやり取りは完全にこの二人が中心になって行なわれていた。
「これから宜しくお願いします」
「ああ、しかしこっちの将兵の待遇は同じか」
「枢軸軍のオフランス軍の軍人となってもらいます」
「だよな。それじゃあな」
「はい、これから宜しくお願いします」
 山下の真面目な応対は変わらない。
「それでオフランス王国の国家元首は」
「私です」
 シャルロットが名乗り出る。
「シャルロット=バルトネーといいます」
「摂政殿下でしたね」
「他の王族、叔父様達は」
「ご安心下さい、どなたもドクツ第三帝国が保護しています」
「そうですか」
 シャルロットはこの場ではこれまで深刻な顔だったがそれが少しだけ変わった。身内の身の安全を聞けてほっとした顔になった。
 その顔でさらにこう言うのだった。 
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