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神々の塔

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第三十九話 象の神その五

「他の国のモンから聞いたら何でやってなるが」
「それでもやな」
「あの国ではな」
「そうなるな」
「そや」
 まさにというのだ。
「まああの国ではってことや」
「その国それぞれやな」
「そういうことや」
「成程な」
「そういえば」
 また綾乃が言って来た。
「弥勒菩薩さんやけど」
「あの世界を救うっていう仏さんね」 
 今度はアレンカールが応えた。
「五十六億七千万年後に」
「その間ずっと修行してて」
「あの仏さんよね」
「元はミトラさんやったわ」  
 この神だったというのだ。
「ローマでも信仰されてた」
「ミトラ教ね」
「キリスト教にも対抗してた」
 ローマ帝国の中でだ。
「あの神様で」
「その神様が仏教に入ってなのね」
「弥勒菩薩さんになってるわ」
「そうなのね」
「最初このお話聞いてへえ、ってなったわ」
 綾乃にしてもというのだ。
「まさかって」
「それはな」
 芥川も言ってきた。
「意外というかな」
「思いもせんかったね」
「ああ、その話を聞いてな」
 はじめてというのだ。
「そうなんかってな」
「驚いたね」
「あのミトラ神がな」
 ローマで信仰されていたこの神がというのだ、尚この神は元々は中近東の神でありそこは同じくローマで信仰されていた女神キュベレィと同じだった。
「仏教にまで入ってな」
「弥勒菩薩になってるなんて」
「ほんまな」
「思わんかったね」
「弥勒菩薩さんはな」
「あの方だけでやね」
「完成してるって」
 その様にというのだ。
「思ってたわ」
「ほんまにね」
「弥勒菩薩さんもおられるな」
 トウェインは考える顔で述べた。
「この塔に」
「そやで、仏さんとして」
「その一柱としてな」
「おられるで」
 綾乃はトウェインに答えた。
「多くの仏さんもおられて」
「そのうちの一柱やな」
「そやで」
「そうやな」
「しかも」
 綾乃はさらに言った。
「そのお力は」
「かなりのもんやな」
「仏さんの中でも」
「正直仏教には詳しくないけどな」
 メルヴィルは首を傾げさせつつ言った。
「そやけど弥勒菩薩さんがかなり高位の仏さんなのはわかるわ」
「菩薩さんや死ね」
「天とか明王よりやな」
「暗い高いで」
「そやな」
「まあうちも専門は神道で」
 こちらの宗教でというのだ。 
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