ハッピークローバー
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第九十八話 何でも読めることその十
「言わないけれどな」
「流石に」
「実際はな、けれどちゃんとな」
「終わらせて欲しいわよね」
「ああ、本当にな」
「そんな人が昔はちゃんとお仕事してたのね」
「毎週な」
描いていたというのだ。
「そうだったんだよ」
「今じゃ信じられないわ」
「そうだろ、多分編集部と揉めなかったらな」
「ちゃんと描いていたのね」
「今だってな」
「あそこの編集部昔凄かったのよね」
「何でもかんでも格闘ものにしてな」
最初は全く違うジャンルの作品であったとしてもだ、そうする理由はその方が人気が出るからである。
「それでだよ」
「作者さんがどう思っても」
「作品の内容変えさせてな」
「描かせていたのね」
「それで実際その作者さんもな」
今話している漫画家もというのだ。
「最初は主人公が幽霊になったんだよ」
「死んで」
「それで探偵もなってな」
幽霊になったうえでというのだ。
「問題や事件を解決してたんだよ」
「格闘じゃなくて」
「それが主人公が生き返って」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「各党漫画になったの」
「しかも強さがインフレーションしたんだよ」
「どんどん強さのレベルが上がったの」
「戦闘力何万とかいう漫画みたいにな」
この作品は長い間その雑誌の看板作品であった、もう少しだけ続くと言って何年も続いたのは有名な話である。
「どんどんな」
「強さがインフレーションして」
「無茶苦茶になっていったんだよ」
「そうだったの」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「多分描きたくないもの描かされて」
「それが嫌で」
「かなり参ってな」
精神的にというのだ。
「机に向かうと吐き気がする位になって」
「それでなのね」
「今もな」
「休載ばかりなのね」
「そうかもな」
「いいお話じゃないわね」
「そうだよな、俺もそう思うよ」
兄は真剣な顔で述べた。
「本当にな」
「そうよね」
「けれどそれでもな」
「読者としてはね」
「ちゃんと描いて欲しいな」
「そう思うわよね」
「そう思うのがな」
これがというのだ。
「読者としては当然だろ」
「そう思わない読者いないわよね」
留奈も否定しなかった。
「やっぱり」
「そうだよな」
「ええ、まあ気を長くして」
「待ってか」
「読んでいくわ」
「これからもか」
「流石に下書きで出された時は呆れたけれど」
「それな」
兄はむっとした顔で応えた。
「実際にな」
「この作者さんやったしね」
「それはやったら駄目なんだよ」
「漫画家として」
「ちゃんと描き終えてな」
「出すべきよね」
「それを下書きで出すなんてな」
そうした行為はというのだ。
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