ハッピークローバー
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第九十八話 何でも読めることその六
「絶対な」
「長くなかったのね」
「そうだったんだよ」
「じゃあグッドバイは」
「未完に終わったかもな」
太宰が自殺せずともだ。
「そうだったかもな」
「そうなのね」
「ああ、あの人は人間失格書いてな」
この作品をというのだ。
「完結させたらな」
「全部終わらせるつもりだったのね」
「グッドバイは蛇足みたいなもんでな」
「終わりね」
「そうだったかもな」
「そうなのね」
「ああ、それでも未完の作品はな」
どうしても、そうした言葉だった。
「嫌だな」
「そうなるわね」
「だからその漫画もだよ」
留奈が今も手に持っているのを見て言った。
「出来たらな」
「終わって欲しいわね」
「何だかんだで三十巻以上続いてるしな」
休載ばかりでもだ。
「終わって欲しいな」
「そうよね」
「ずっと描いてライフワークにしていてもお亡くなりになってな」
作者がというのだ。
「そんな作品もあるけれどな」
「ライフワークでも」
「ああ、寿命でな」
「それも残念ね」
「何十年も描いて」
そうしてきてというのだ。
「遂にな」
「その場合続き描いてくれる人いてくれたらね」
「いいな」
「そうよね、それで読者さんとしてはね」
「最後までな」
「読みたいわ、規制もなくて」
そのうえでというのだ。
「最後までね」
「読みたいな」
「ええ」
実際にとだ、留奈は兄に答えた。
「そう思うわ」
「俺もだよ」
兄もこう答えた。
「どうせ読むならな」
「そうよね」
「最悪なのはほっぽり出してな」
「そのまま終わらないことね」
「あるだろ、それも」
「探したら多いのよね」
そうした作品もとだ、留奈は嫌そうに答えた。
「やっぱり」
「作品で最初と最後が一番難しいんだよ」
「はじめるのと終わらせるのが」
「それでいざ書いたり描いてもな」
「終わらせられない人もいるのね」
「幾ら無茶苦茶な終わり方でもな」
留奈に苦い顔で言った。
「それが作品世界ハルマゲドンみたいにぶっ壊すものでもな」
「終わらせることは難しいのね」
「そんな終わり方でも終わらせてるからな」
だからだというのだ。
「まだな」
「ましなのね」
「ああ」
そうだというのだ。
「そう思うよ、俺はな」
「終わらせるならね」
「まだな」
「未完よりましね」
「ほっぽり出すのは最悪でな」
「そうなのね」
「作者さんは終わらせないとな」
自分の作品をというのだ。
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