神々の塔
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第三十八話 江戸桜その四
「女性用もあって」
「同性愛の場合もな」
「あるな」
「それぞれの人の好みに合わせてな」
「この世界やとな」
「ああ、この世界でもな」
中里は確かな声で述べた。
「あるわ」
「そやな」
「そして日本では実際にな」
この世界ではというのだ。
「こうした遊郭がな」
「あるな」
「都にもあるし大坂や江戸にもな」
こうした栄えている街にもというのだ。
「あるわ」
「そやな」
「それで賑わってるわ」
芥川も言ってきた。
「いつもな」
「そやな」
「それが人や、何だかんだでだ」
「そうした欲があるな」
「欲を脱そうとしてる坊さんもな」
日本の仏教のだ。
「こっちの世界では最初から認めてるが」
「昔の日本ではやな」
「浄土真宗以外は表向きには妻帯出来んかった」
女性に触れることすら出来なかった。
「そやからな」
「色子がおったな」
「坊さんの相手する稚児さんとかがな」
「そやったな」
「修行に励んでいても」
それでもというのだ。
「どうしてもな」
「そうした欲はあるな」
「それこそ解脱せんとや」
その域に至らねばというのだ。
「人はどうしてもな」
「欲があって」
「そうした欲もや」
「あるな」
「それをどうするかとなると」
「女の人に触れられへんなら」
「そっちになるわ」
同性愛にというのだ。
「まして我が国はな」
「そっちに抵抗ないな」
「一切な」
そう言っていいまでにというのだ。
「今は多少あってもな」
「それで罪に問われることはないな」
「変わった性癖の一つやな」
こうシェリルに答えた。
「そう言ってええわ」
「それ位やな」
「罪に問われるとかな」
「そんなことはないな」
「というか何で罪に問われるんや」
芥川は首を傾げさせて言った。
「そんなことで」
「キリスト教とかやとそうなるけどな」
「それが何度聞いてもな」
「罪になるとはやな」
「思えんわ、それで子供出来んとか着蜀悪いとかやろ」
「何で否定されるかっていうとな」
「いや、普通でも子供出来ん時は出来んわ」
男女間でもとだ、芥川は言い切った。
「子供は授かりもんや」
「神様からのやな」
「そやから出来ん時はな」
どうしてもというのだ。
「出来んわ」
「そうしたもんやな」
「それで着蜀悪いって言われてもな」
それでもというのだ。
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