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神々の塔

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第三十八話 江戸桜その二

「迷宮である」
「そのことはや」
「忘れたらあかんな」
「絶対にな」
 リーも後ろから来た格闘家力士の格好の二人のオーガを振り向かず雷の術を放って倒してから答えた。
「迷宮は迷宮やからな」
「そやな、しかしな」 
 トウェインは前から擦れ違う時に攻撃しようとしたシーフを蹴りの一撃で吹き飛ばして倒した後で応えた。
「敵もな」
「多いな」
「随分とな」
「遊郭はならず者もおってや」
 そしてというのだ。
「闇もある」
「そうした場所やってことやな」
「ああ、私も知識で知ってるだけやが」
 リーは今度はシェリルに答えた。
「しかしな」
「賑やかであって」
「スリとかカツアゲもあってな」
「闇もあったな」
「花魁さん達は何かあったらきつい折檻も受けてな」
「心中とかもあったな」
「お客さんとな」
 添い遂げられぬならせめてあの世でとなってだ。
「そして命はな」
「短かったな」
「お酒に過酷な暮らしに白粉の鉛に」
「病やな」
「脚気に結核、性病でな」
 こういった病でというのだ。
「ほんまや」
「命は短かったな」
「そやった」
 そうだったというのだ。
「一夜咲いたら散るや」
「お花みたいなもんか」
「次から次に消えていった」
 それが花魁達の一生であった、華やかな中で彼女達は若くして命を散らす者が殆どであったのが現実だったのだ。
「そうしたもんやった」
「そやな、そう思うとな」
 シェリルは悲しい目になって述べた。
「女の私から見れば」
「ええ場所やないな」
「ここは大通りでやな」
「脇に行くとな」
「もっと粗末な場所やな」
「そこで客引きしてる人がや」
 そうした女達がというのだ。
「おっとな」
「やっぱり命はやな」
「儚いもんやった」
「そやったな」
「今やとな」
 リーは起きた世界の自分達の倫理観から話した。
「絶対にや」
「許されんな」
「大抵の国でな」
「そやな」
「しかしな」
 それでもというのだ。
「それもや」
「現実でやな」
「当時はそうしたもんやった」
「遊郭は」
「他の国でもな」
「そうした場所はあって」
「こんなもんやった」
 状況は日本の遊郭と変わらなかったというのだ。 
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